介護ロングステイ8年7カ月
■風邪が蔓延
8月の初旬に弟夫婦が高松へ帰国した。次に和食が堪能できるようになるのは10月末ということになる。チェンライにも日本料理店は自分の知っているだけで数店あるが、日本から持参の食材で作ってもらう料理はお世辞抜きで美味しい。お礼にどこか案内しようとしたが、結局2か月弱、弟夫婦は外泊は一度もせず、家でのんびり過ごしただけだった。それと弟がちょっと風邪気味だったせいもあるかもしれない。
常夏のチェンライであるが、風邪はひくし、今年は流行した。テニス仲間も喉が痛くて咳が出る、子供も熱を出して学校を休んでいると言っていた。自分もまさに同じ症状で1月以上咳に悩まされている。慰霊祭のためチェンマイで一泊した。泊り慣れぬ高級ホテルで、エアコンの操作に不慣れのため、寒さで夜中に目覚めて治りかけた風邪がぶり返した。年を取ると、転ぶな、風邪ひくな、義理を欠けという。風邪かと思ったら肺炎で、気が付いたときは手遅れ、はよくあること。
91歳になる母も月始めから咳き込み、痰を絡ませる状態が続いた。熱も出たらしい。ブアさんが始めはティッフィを飲ませていた。ティッフィはポピュラーな風邪薬、弟も服用していたがすぐ眠くなるという。日本の風邪薬ルルと同じ成分なのだろう。ティッフィがあまり効果がなかったのか、その後も咳止め、解熱剤などを飲ませていた。
■親身の介護で回復
ブアさんとニイさんに呼ばれ、ママさんは年取っているから、ちょっとのことで肺炎になる、もしものことがあっても怒らないでくれ、と言われた。唾液の誤嚥でも老人は簡単に肺炎を起こす。咳き込んで苦しそうな時、ブアさんは大きなゴムスポイトを母の口に差し込んで、痰除去をする。一晩中だから大変だ。もう少し悪くなったら、救急車を呼んでシルブリン病院に入院させようと話していたが、食欲はあるので様子を見ていた。毎食のバナナがよかったのか、体力が充分あったのか、次第に良くなってきた。週1、2度、我が家に出張マッサージに来るNさんも、ママさんよくなってきましたね、と言ってくれた。
ブアさんは、ママさんの世話で昨夜は眠れなかったと機嫌が悪い時もある。でも今朝はニコニコしながら「朝食を食べた後、ママさん、すやすやと寝入ってしまった、赤ん坊とおんなじね」と自分の部屋に報告に来た。時には言い争いをすることもあるが、カミさんがいてもこれほど愛情を持って母の世話をしてくれないだろう。ブアさんの親身の介護には心の中で手を合わせている。
■旅券再交付
8月初めに領事出張サービスが市内のホテルで開かれた。チェンマイ総領事館から担当者がチェンライに来て、各種証明書の発行、旅券更新等の相談に乗ってくれる。こちらで更新した母の旅券の有効期限が8ヵ月を切っている。自分の10年有効の旅券もそろそろ更新時期を迎えている。それほど急ぐ話ではないが、手続きについて確認しておきたいことがあった。
旅券の更新手続きは現旅券の残存有効期間が1年を切った時からできる。海外に渡航する場合、旅券の残存有効期間が6カ月以上ないと入国が拒否される国がある。自分の場合、10月以降に新旅券を取れば大丈夫。母は海外渡航の予定はないので、現旅券失効の直前に手続しても問題はない。
母は歩くこともサインをすることもできないが、旅券交付には全く問題がない。写真と上申書を提出すれば、本人が出頭しなくても旅券は交付される。申請書類や旅券の署名も代筆でいい。但し、建前上、外務大臣の許可事項なので、書類は一度本国に送付されるので1月ほど時間がかかるとのこと。
問題というほどではないが、新旅券の有効期間を5年とするか10年とするかでちと迷う。前回、母の旅券を更新した時、10年にしとこう、といったが兄の5年でいい、の指示に従った。あの時、10年にしておけば旅券を再申請する必要なかったのによー、と兄をなじったものだ。こんなに長く生きるとは思っていなかったし、と言い訳していたが、今回10年旅券を取れば102歳になるまで有効だ。102歳まで生きたら、息子の平均年齢は80だ。同時期にひいた風邪から母は全快したのに自分はまだ時折咳が出る。テニスを休むほどではないが、回復力が低下しているのだろう。10年後だと逆縁となっているかもしれない。
弟夫婦も母のことを来るたびに体が小さくなっている感じがするというし、兄も咳き込む様子をずっと見ていて、やはりおふくろも衰えてきているなあ、と言う。
旅券の有効期間はやはり5年でいいか。それとも景気付けで10年にしようか。大した金額の差はないし。