





大谷翔平で今年も暮れた
■楽しくやる
今年、感動したことの一つは大谷翔平選手の活躍である。成績もさることながらチームメイト、スタッフ、マスコミ、彼と接するすべての人たちが翔平クンの人間性に惹かれている。同僚、エンリケ・ロハス選手はヤンキースから年俸600万ドルを提示されたが、ショウヘイと一緒に最後の年をプレーしたいと言って500万ドルでドジャースに残留した。ショウヘイと一緒にプレーしたいという選手は他球団でも少なくない。それだけ人間的魅力を兼ね備えているのだろう。ドジャースの選手はみな家族のように和気藹々としているとか。野球とは楽しいものなのだという原点を、ショウヘイを見て思い出したという選手、監督は少なくない。確かに野球少年がそのまま大人になったような純粋さが感じられる。
自分の世代だと砂押監督の千本ノックとか、思い込んだら試練の道をの歌で始まる巨人の星、星飛雄馬の父、星一徹のスパルタ教育を思い出す。だから野球の能力向上は体力、精神力を極限に追い詰める苦しい練習の上にあると思っていた。そのイメージを払拭したのは翔平クンである。彼は同僚選手の倍の練習量を平然とこなしている。彼が加入してからドジャースの若手選手の練習量が60%増加したとか。彼には言葉ではなく行動で人を発奮させる力がある。
米国の野球少年の意識が変わっているという。リトルリーグのコーチはこれまで、君は投手に専念しろ、君は打者として頑張れと指導してきたが、子供たちが打つ、投げる、の両方やりたいと言い出した。ショウヘイだってやってるんだ、ボクだって。
スポーツは野球に限らず、本人が楽しくてやる気があるから上達する。これまでの指導法がいいのか悪いのかとコーチも戸惑っているそうだ。
■曼荼羅チャートのゴミ拾い
米国の野球少年がグラウンドのゴミを拾うようになった。翔平クンが15歳の時に書いた曼荼羅チャートは先ず8球団から一位指名されるといった大目標を書き、それを実現するための体づくり、メンタル、人間性、運、といった8つの言葉を書いた。そしてその8項目一つ一つにまた8つの要素をあげた。自分もすごいと思ったことは大目標達成の8項目の中に「運」が入っていることである。「運」の周りには”あいさつ、ゴミ拾い、部屋そうじ、審判さんへの態度、本を読む、応援される人間になる、プラス思考、道具を大切に扱う''の8要素が書かれている。この中の「ゴミ拾い」を今でも実践している姿を見た人は多いだろう。ゴミを拾うことは運を拾うことです、と翔平クンは言っている。野球少年ばかりでなくグラウンドのゴミを拾うMLB選手も出てきた。
自分もコート上の落ち葉を拾うようになった。これでテニスが上達するという大目標に近づけるかもしれない。今更、曼荼羅チャートを書く元気はないが、これも翔平クンの影響だと思う。
ところで「俺は大谷翔平だ」と呟くだけでセロトニン、オキシトシンなどの脳内ホルモンが分泌されて心が安定し、感謝の気持ちが湧いてくるそうだ。自分もやってみた。確かに「俺は石破茂だ」と呟くより気持ちがよくなるし、元気になる。
■翔平クンに文化勲章を
翔平クンの存在は日本と日本人の評価、地位を高めたと思う。彼は日本人の勤勉、謙譲、礼儀、誠実といった美徳を体現している。彼を通して日本、日本人に親近感、好意を持つようになった外国人は少なくない。
自分はその功績に対して翔平クンに文化勲章をあげてもいいのではないかと思う。ノーベル賞を受賞した科学者には通例、文化勲章が贈られる。でもノーベル賞なんか毎年10人くらい受賞しているし、日本人も湯川秀樹博士を筆頭に30人以上貰っている。それに引き換え、MVPは年間一人だけ。それも4度も選出されている。ノーベル賞受賞者の名前を知らなくても大谷翔平の名は誰でも知っている。
文化勲章は学問、芸術分野に限って授与される、と思っていたが王貞治氏が今年受賞した。スポーツ界からの前例ができた。こう言っては何だが王さんより翔平クンのほうがずっと凄い、レベルが違う。王さん自身もそう言っている。
政府として取りあえず、翔平クンに国民栄誉賞を打診したが、彼は「まだ早いです」と辞退した。野球選手で国民栄誉賞を辞退した選手として、MLB記録を塗り替える939盗塁を達成した福本豊選手、それにMLBで活躍したイチロー選手がいる。イチローは3度辞退している。福本選手の辞退の理由は「そんなもん貰ったら立小便もできなくなる」だった。