チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ9年1カ月

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介護ロングステイ9年1カ月

■バナナのお陰
2月に入ってまた高松から弟夫婦がやってきた。兄と自分の食生活はかなり向上する。でも母の食事はいつもと変わらず、野菜、卵入りお粥、すりつぶしたバナナ3本、時折、珈琲店で買ってくるムースを食間に食べるくらい。これで数年以上健康に暮らしているのだからバナナの力は凄いと思う。タイに来て初めて知ったが、バナナにも多くの種類があり、母の食べるバナナは我が家から20キロほど離れたブアさんの出身村、ロンブ―から手に入れるずんぐりした形のバナナだ。老人食に最適の種類とか、いつもブアの姉さんから購入する。市場で買うよりかなり安い。バナナの木、正確には木ではないがバナナの房が10個以上ついた木一本分のバナナを二人で抱えて車に載せる。15キロくらいあるから一人では無理だ。

バナナの房は上から順番に追熟していく。熟れるそばからもいでいくのだが、とても追いつかない。バナナは熟れると表面に黒い斑点が出てくる。これはシュガースポットといってバナナの食べ頃というサインだそうだ。甘みも栄養価もこの時が一番高い。黒点が出ると、ブアさんはバナナを冷蔵庫へ入れる。皮は真っ黒に変色するが味は変わらない。でも薄くなった黒皮をむくのは面倒なので、冷蔵庫の黒バナナ母は専用となる。少し青いバナナを買っても日持ちするのは1週間くらいだろうか。

ためしてガッテンで、バナナが3倍日持ちする方法が紹介されている。その方法とは、バナナを房から外して50度のお湯に5分間浸けておき、その後1時間以上室温に置いておく。これを一本ずつラップで包んで冷蔵庫で保存するというもので、この方法だと冷蔵庫に入れておいても黒くもならないとのこと。
これは50度という強いストレスを与える事で熱ショックたんぱく質という物質が生成されバナナ自身が守ろうとするからだという。

でもこちらではそんな面倒なことをしなくても、1週間もすれば姉さんから電話でバナナを取りに来るように、という連絡がある。こちらではバナナとスイカは1年中ある。バナナは市場で買っても1房20B、スイカは一個30Bくらいだ。

■旅券用写真
5年前に切り替えた母の旅券の有効期限が切れるころとなった。新しい旅券を申請する必要がある。前回、自分は10年有効の旅券を取ろうと言ったのだが、5年有効でいいという兄の意見に従った。あっという間にその5年目が来たというわけだ。あの時10年の旅券を取っていれば、再申請しなくても良かったのに、となじると、兄はこんなに長生きするとは思わなかったもんなー、と笑った。

チェンライの出入国管理事務所の1年毎のビザ申請に使用する顔写真は10年前に日本で撮った写りのいい写真を使っていた。でも日本旅券申請には6ヶ月以内の写真を使用することとなっている。5年前は嫌がる母を椅子に座らせて、ニイさんと兄が背景にシーツを広げて申請写真を撮った覚えがある。今回は寝ている母の真上から顔写真を撮った。伸び放題の髪や枕が写っていたが、スーパー、ビッグCにある写真屋はPCを使って背景を作り、髪の毛も適当に消去して「散髪したて」のポートレートにしてくれた。これで10枚50Bは安い。

■旅券の切替発給
旅券の切替発給はまず申請、その3日後に発給される。と言うことはチェンマイ総領事館へ2回行かねばならない。チェンマイ往復400キロ、折角行くのだからと、1泊してイタリア料理などを食べれば結構かかる。金銭的な問題もさることながら運転も疲れる。
今回は2月にチェンライへ領事出張サービスがあったので、そこで申請することができた。古い旅券、申請書類に写真2枚、それに母が出頭できない手書きの理由書、本来これだけで受け付けされるのであるが、数カ月前の健康診断書、ベッドに横たわる母の写真を貼付した。

日本語の堪能な中年のタイ女性が親切に対応してくれて、申請手続きは5分足らずで終わった。本人が出頭しなくてもこんなに簡単に旅券申請ができるとは。10年前、母を車いすに乗せ、山手線で有楽町の東京交通会館まで行ったことを思い出す。あの頃は足は弱っていてもサインもできたし、受け答えもはっきりしていた。でも理由書だけで本人出頭免除となると知っていれば、あんなに苦労しなかったのに。

その次の週にチェンマイ総領事館に赴き、そこで母の新しい旅券を受け取ることができた。旅券の有効期間は5年とした。5年後は兄弟そろって後期高齢者、どっちが先に逝くかわからない。それに手続きは至極簡単だから、5年後でもなんとかできるだろう。