日本から来てくれた(4)
■象キャンプ
一時帰国した折には娘一家と会う。その時に幼い孫に「チェンライに来たら象に乗せてやる」と約束していた。4歳10か月と3歳であるから象にそれほど興味がないかもしれない。というより象に乗るというイメージが沸かないと思う。娘は、象乗りは体験済みだ。日本では象に触るとか餌をやるといった機会は殆どない。これを子供に体験させてやりたい、親の方が象キャンプ訪問を楽しみにしていた感がある。
我が家から1時間ほど、コック川沿いにルアムミットエレファントキャンプがある。自分がチェンライに来た頃からある施設だ。何度となく日本からの客を象キャンプに案内しているが自分は象に乗ったことがない。娘はチェンライで象はもちろん駝鳥にまで乗っている。人は動物に乗ることが好きな人とそうでない人の2つに分けられると思う。娘は前者で自分は後者、親子でも好みが違うが孫はどうだろうか。
ルアムミットはここらあたりに点在する少数民族の村のうちカレン族の村である。象使いは圧倒的にカレン族出身者が多い。チェンマイにも象キャンプがあり、象の使い方を学びに日本から留学生が来るそうだがやはりカレン族が象関係を取り仕切っている。
カレン族と言えば象使いと共に首長族としても有名、カレン族の女性が幼い時から真鍮の輪を首にはめて輪の数を次第に増やしていく。そうすると年ごろになるとなで肩になり首が長いように見える。中国の纏足と同じだが首が長いほうが美人に見えるということだろうか。象キャンプの近くに数人のカレン族の首長女性が待機している場所がある。入場料は一人200Bとのことであるが、今回は行かなかった。動物はともかく興味本位で人間を見る、はあまり趣味に会わない。
■一頭だけしかいなかった
象キャンプに行ってみて驚いた。象が一頭しかいない。以前は数頭いて鼻をぶらぶらさせせ、鎖の届く範囲で前後に歩いていた。あとで聞いたが先般の洪水で何頭もの象が溺れ死んだという。通常は鎖に繋がれているし、水が出た後では鎖を外すことができなかったのだろう。象乗りは一回り30分ほどで500B、10年前は300Bだったと思うが 諸色高直の折柄、これは仕方ない。象に乗る前にバナナとサトウキビの餌(100B)を買って、象さんに食べさせる。おっかなびっくりではあるが幼い兄弟は餌を鼻まで持っていく。象はバナナを注視していて、バナナがなければ仕方なくサトウキビを食べるといった感じ。象にも好き嫌いがあるようだ。
象は体が小さくまだ大人の象には見えなかった。人間で行ったら中学生といったところだろうか。象使いが頭の部分に乗り、象の背中に設置された座席に娘と2人の子が乗る。こっちは写真撮影で象の前後を行ったりきたり、象はゆっくり歩いているのだが歩幅が広いものだから、年寄りの駆け足ではとても追いつけない。足はダメでも我が超望遠83倍ニコンで母子を撮りまくる。孫が大きくなったら「この写真はワシが象に踏まれそうになりながら撮ったのじゃよ」と恩着せがましく言ってみたい。
■昼食は奮発
象キャンプはチェンライの観光の目玉で多くの客が訪れる。市内の超高級ホテルは概ねコック川沿いに建っているから舟でホテルから象キャンプまで歩くことなく往復できる。車だと曲がりくねった山道を1時間弱走る必要があるので、川からの風景を楽しめる小型舟利用は快適だと思われる。
また「象トレッキング&首長族の村訪問 1日ツアー」という旅行会社の案内を見るとホテルからの送迎、昼食込みのツアー料金は、大人2名+子供2名の場合:3,380THB × 2名様 + 1,080THB × 2名様 =8,920THBとなっている。
我々の場合、象乗りトレッキング500B、象の餌100B、並びにガソリン代少々ということでお爺ちゃんのお小遣いで賄うことができた。トレッキングを終えた兄弟は、少し象になれたのか母親に促されて再び餌をやり、象の鼻や足に触っていた。
折角チェンライまで来てくれたのに接待者がケチケチと倹約するのは如何なものか。昼食は市内から数キロ離れたシンハパークのバーンハウスに行った。シンハパークはチェンライ家族旅行のおすすめスポットとしてタイ人に人気の場所。12.8平方キロというから東京ドームの270倍、千代田区や文京区の面積よりも広い。公園となっていて、自然の中で様々なアクティビティが楽しめる。
湖に面したバーンハウスでは誰もが感嘆する本格的ピザが食べられる。例えばサーモンピザが1枚480Bと決して安くはないがみんなが満足してくれればこれに勝る喜びはない。年金を貯めるのが目的で暮らしているわけではない。お金は生きているうちに使わないと。