チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

産経のコラムから

チェンライ花祭りから

 

同上

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蘭は花博の主役

 

産経のコラムから

■この意見に同感

産経新聞2024年5月20付「施光恒の一筆両断」から引用

 

普通の人々の質の高さこそ日本の国力

先月出版された駐日ジョージア大使のティムラズ・レジャバ氏の新刊『日本再発見』(星海社新書)が非常に面白い。日本の良さをまさに再発見できると同時に、日本の国力の源泉について確認することもできる。

レジャバ氏は1988年生まれというからまだ30代の若い外交官だ。父上の仕事の都合で4歳の時に来日し、その後、母国ジョージアに帰国した時期もあったものの、ほぼ日本で小中高大の教育を受け、会社員も経験している。大変な知日家である。

レジャバ氏が強調するのは、日本の普通の人々のレベルの高さである。例えば、街の清掃員だ。日本を訪れた外国人は「日本は道もトイレも、どこへ行ってもきれいだ」と驚く。これには、ひとり一人の衛生観念の高さもあるが、清掃員の質の高さの表れでもあると指摘する。

さらにレジャバ氏が驚嘆するのが、日本人の多くが、仕事に関係がない活動にも最大限に力を入れて取り組むという点だ。保育園の保護者会、学校のPTA活動、さまざまな趣味の集まり、街のゴミ出し――。お金にならない事柄であっても、時間をかけて議論し、細かいところまで気を遣い合い、責任感をもってこなしていく人が非常に多い。

レジャバ氏は「日本人は『普通の人』が普通でないくらいにすごい。基本的なレベルが高い」と繰り返し、「このことについて、もっと自信をもっていい」と論じる。

私も同感だ。普通の人々が高い職業倫理や社会的責任感を持っていることこそ、日本の国力の最大の源泉だと思う。

 

東日本大震災やコロナ禍のような危機的状況でも、頼りになったのは普通の日本人の意識の高さだった。今年初めの羽田空港での航空機衝突事故でも、日航機側の乗員・乗客が全員無事に脱出できたのは彼らの見事な連携の賜物(たまもの)だった。

あまり知られていないが、昔から日本の人口当たりの公務員数は世界的に見て非常に少ない。国内総生産(GDP)における政府支出の割合も、他国と比較すれば日本はかなり小さい方だ。つまり日本はだいぶ以前から小さな政府の国なのだ。だが日本の街は清潔に保たれ、各種組織の運営はどの国よりも整然としている。これは、政府の働きではなく、普通の人々の意識の高さによるものだ。

普通の人々のレベルの高さを維持することこそ、私は日本の政治の第一目標とすべきだと思う。具体的には、第一に、分厚い中間層を再生し維持することだ。レジャバ氏も指摘しているように、日本社会をしっかりと支えてきたのは中間層の存在だ。だが1990年代半ばからの新自由主義的政策の結果、「1億総中流」と称された分厚い日本の中間層も揺らぎを見せている。

第二に、家庭や地域社会、あるいは学校での教育のあり方を点検し、必要な手立てを講じていくことだ。レベルの高い普通の人々が育成されてきたのは、家庭や地域社会での暗黙裡のしつけや教育がうまくなされてきたからだろう。また学校教育においても、明示的な教科教育というよりも、むしろ係決めや給食当番などの特別活動、ならびに部活動などの教科外の教育が十分に機能してきたからだろう(レジャバ氏は学校の部活動を高く評価している)。

 

近年では、若者の雇用環境が不安定化し、経済的苦境に陥っている若い世代が多い。そのため、しっかりと家庭を作り、余裕をもって子育てを行うのが難しくなっている。地域社会も、過疎化やシャッター街化が進行し、壊滅状態だ。町内会活動やボランティア活動に参加する経済的・心理的余裕がない家庭も増加している。学校教育においては、文科省は学校部活動の地域移行という美名を前面に出しつつ、その実、部活切り捨てを行おうとしている始末である。

レジャバ氏が称賛するレベルの高い多数の普通の日本人を今後も育成し続けることができるのか、私は大いに不安である。そうした普通の人々の減少は、まさに日本の国力の衰退につながる。政治は危機感を持つべきではないか。(引用終わり)

 

■蛇足

チェンライのスーパー、BigCではソフトクリームを食べながら歩く人が少なくない。食べこぼしで汚れた床を清掃のおばさんがナプキンで拭いて回る。一回さっと拭うだけなので汚れは半分以上残ったままだ。施先生のコラムを読むにつけ、日タイ普通の人のレベルの違いを感じてしまう。

施光恒(せ・みつはる)先生は九州大学教授、長らく(せこう・わたる)と思っていたが「施」一字が苗字。全国で18,317位に出てくる珍しい姓。蛇足ながら「中西」は全国で130番目に多い姓だそうです。