





タイの酒
■午後の酒類販売禁止を一時解除
以下は12月3日のネット記事から。
【AFP=時事】タイは3日、数十年にわたるアルコール販売規制を緩和し、これまで禁止されていた午後の時間帯にも酒類を購入できるようにした。今後、半年間にわたって試験運用する。敬虔な仏教国であるタイでは、依然として厳しいアルコール法が維持されており、販売時間は特定の時間帯に制限され、仏教上の祝日には販売が禁止されている。これまでは午後2時から同5時までの販売が禁止されていたが、試験期間中は午前11時から深夜まで販売が認められる。期間中は、今回の緩和措置の影響について調査が行われる。この規則はそもそも、政府職員が勤務時間中に飲酒するのを防ぐために導入されたもので、外国人観光客からは不可解だと受け止められてきた。(引用終わり)
スーパーやセブンイレブンでは、販売禁止時間となると酒コーナーにカーテンが引かれたり進入禁止となる。折角の販売スペースが無駄になる。販売制限時間は大手の店では守られるが、その辺の荒物屋に行けばおばちゃんがビール缶を何時でも売ってくれる。これがタイ、ルールは存在するがそれが遵守されるとは限らない。
■飲み会の思い出
宴会が昼に開かれることがある。レストランでは2時を過ぎるとビールが出てこなくなる。皆、慣れていて2時少し前になるとビールを多めに注文する。2時から酒類のオーダーはストップとなるからだ。販売は禁止でも2時以降卓上のビールをダラダラと飲むのはいいのか。本当はいけないという人もいたが、今回の緩和措置で、飲食店での販売終了時刻(通常は24:00)を過ぎても、 「その後1時間は店内で飲み続けてもよい(追加注文は不可)」 というルールが明文化されているので、当時も午後2時以降、しばらくはお目こぼしで飲めたのだろう。
十数年前、チェンライに来た頃、「水曜会」という昼飲みの集まりがあった。メンバーはチェンライ暮らしの大先輩ばかり。新参者だから彼らの言うことをすべてごもっともと拝聴していた。ビザ取得とか運転マナーなど生活に直結する話題は参考になった。それは今でも感謝している。でも「俺が現役の頃は、」の自慢話は初回はいいが行くたびに2度3度、同じ話を聞かされるには辟易した。
小柄だがジム通いが趣味のOさんは袖なしシャツから盛り上がった胸の筋肉を見せながら、中学を出てからの苦労話、大型トラック運転手だった華やかな時代、そして東京のジム仲間だった三島由紀夫の話をした。ずっと日本で過ごしていたら接点を持つ機会はなかった種類の人だった。自分の知らない世界だから感心して聞いていたが、他のメンバーは「ああ、Oさんの逆学歴自慢が始まった」と結構冷たかった。何度も聞かされていたのだろう。
12月に入ってOさんの訃報を聞いた。長らく認知症を患っていてタイ人の奥さんが日本人に会わせなかったらしい。数カ月前にあった人の話によると、痩せこけて1時間のうち2,3分だけ正気に戻るといった状態だったとか。
昼の宴会で2時近くになると数本のビールをオーダーしていたOさんを思い出す。告別式には十数人の邦人も参列していた。他の人の一生分以上のビールは飲んだのだからきっと成仏するよ、と話し合ったものだ。享年84歳、合掌。
■日本は酒飲み天国
日本は酒飲みの天国だ。早朝から深夜、自販機もあっていつでも酒が買える。輸入酒にかかる税金も極めて安い。ワインは1リットルにつき70円というからほぼ無税に近い。
タイで売られているワインやウィスキーは日本より高い。日本のスーパーで1本1000円のワインならば、自分としては、ウン、悪くない、のレベルだ。でもタイでは一番安いワインは500B前後、日本円にして2000円以上、日本ならもっとうまいワインが飲めるのに、といつも思う。前国王プミポンさんが酒が嫌いだったから酒税を上げたという説を聞いたことがある。前国王は煙草もお嫌いだったようで、価格は高いし販売店を見つけるにも苦労する。でも低所得者が買う刻み煙草はすこぶる安い。邦人でもこのキザミを器用に紙に巻いて吸っている人がいる。辛いけれどうまいとか。
今では庶民や山岳民族もビールを飲むようになったが、彼らの愛酒はラオカオ(焼酎)だろう。ラオカオの製法が琉球に伝わって泡盛となった。いいラオカオは高級泡盛にすぐるとも劣らないと自分は思う。値段は600mlで300‐400円くらい。
涼風を感じる夕暮れ、氷の入ったグラスにマナオ(タイのライム)を絞って、ラオカオと炭酸水を入れる。小さな泡が湧きたつグラスを口に運ぶ。タイにいる歓びを感じる時だ。これで自分もタイ庶民。