チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

台南に来たことがないと

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台南駅の看板

 

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こんなパンフが

 

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夜の林百貨店、絵になります。

 

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レトロな店内

 

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昭和初期の雰囲気

 

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林百貨店の前のカップル。アングルが悪く百貨店は写っていない。



台南に来たことがないと

 

■没来過臺南
台南は古くから拓けた土地で、17世紀にオランダ人はここに根拠地ゼーランディア城を置いた。その後、台南のヒーロー「鄭成功」がオランダを追い出し、清代には政治、経済、文化の中心地として台湾で最も繁栄した都市になった。市内には明時代からのものを含め旧跡が非常に多く残されているため、「台湾の京都」と呼ばれている。台湾旅行というと3泊4日で台北周辺だけ回って帰るツアーが多いが、台南住民としては台南に来て頂かないと、という自負があるようだ。

「台南に来たことがないと、台湾に行ったこととは言えません(没来過臺南、不算到臺灣)」。これは台南駅構内に展示されていた臺南市政府、観光旅游局の宣伝看板にあった惹句である。浴衣姿の若い女性が温泉の湯を手で掬っている。意外と知られていないが台湾は温泉天国、100以上の温泉地があり、日本統治時代からの純和風温泉旅館も少なくない。この台南の温泉は関仔嶺温泉。関仔嶺温泉は北部の北投温泉と陽明山温泉、南部の四重渓温泉と並んで台湾4大温泉の一つという。関仔嶺温泉は台湾では珍しい「泥温泉」で、硫黄成分を多く含み、灰色に濁っていて美容にも効果があると言われている。

台南には1泊しかしていないので、温泉には行っていない。また台湾に行く楽しみができた。ゆっくりと大正、昭和のレトロな和風旅館の温泉に浸かってみたいものだ。

■せつないまでの片思い
台南駅の案内所で貰った資料を読むと台湾人の日本に寄せる想いが痛いほど伝わってくる。「日本統治時代の台南を偲ぶ旅」というパンフには烏山頭ダム、八田興一記念館と並んで1902年に関仔嶺温泉に建てられた台南初の温泉旅館「吉田屋」、忠義小学校講堂、元日本勧業銀行台南支店、台南庁長官舎、日本陸軍偕行社、元台南警察署、台南師範学校本館、元日本軍歩兵第二連隊軍営など20-30カ所の日本統治時代ゆかりの建物が紹介されている。更に1923年4月に裕仁皇太子殿下(昭和天皇)が台南を行啓されたルートやスケジュールまで事細かに掲載されている。行啓の折、第二連隊軍営にガジュマルをお手植えになったが、そのガジュマルが大木となり、その一帯がガジュマル園となっていることも記載されていた。

台南の観光スポットをネットで検索すると、夜市やグルメが中心で、赤嵌楼、孔子廟、神農老街等は出てくるが統治時代の建物は少ない。このパンフを持って日本ゆかりの場所を訪ねる日本人はどれほどいるのだろうか。

ついでに書き留めておくとこのパンフには、現存はしていないが「北白川宮御遺跡所」の説明もある。1895年、日本軍の台湾征討近衛師団長であった北白川宮能久親王がこの地で戦死、薨去された部屋が「御遺跡所」とされ、その後、「台南神社」に増築された、とある。今、日本の新聞では宮様がお亡くなりになった時、「亡くなられた」と書き、「薨去」という正式な用語を使わない。しかし、台湾の観光パンフではしっかり「薨去」が用いられていることを知って感銘を受けた次第。

■林百貨店に行ってみた
林百貨店は1932年に山口県出身の林方一氏が建てたデパート、だからリンではなくハヤシ百貨である。当時台南では唯一、エレベータを備えた6階建てビルディングであった。戦後、空軍や警察の建物として使用されたが、1980年より空き家になっていた。1998年に台南市により、市定古跡に認定され、2010年1月より修復作業が行われ、2013年1月に完成した。修復に際しては、創業当時の姿が再現されたほか、米軍によって爆撃された跡や当時のままの床材の一部などを記録として残している。屋上にあった邸内神社も「林百貨頂楼神社遺跡」として残されている。

営業時間は夜10時まで、台南のお土産を買うならココ、というので行ってみた。昭和7年にできたというが、白色電球が似合いそうな大正のロマンを感じさせる店内、先ずお茶の売り場がある。小さなエレベータにも乗ったが当時はこれに乗るために行列ができたとか。ローカルの雑貨や衣服の売り場もある。屋上には甘味処、食堂があって、ゆっくり半日は過ごせそうだ。このビルは台南の目抜き通りの一角に位置している。筋向いのビルは元日本勧業銀行台南支店と思われた。ドーリア式石柱が並ぶ荘重な建物である。交差点に立ってライトアップされている林百貨店を見た。すぐ横にカメラマンが数人いて、新婚とおぼしきカップルを林百貨店を背景にして撮影していた。

夜目、遠目、自分も望遠を利用してお二人を撮ってみたが、現場のほうが美男美女だったような気がする。