チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

暴走老人

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ラオスの国道

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ラオスの側道

 

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ラオスにはこんな道も

 

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我がフォルツァ

 

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タイの道路

 

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タイの道路際






暴走老人

■危険は自覚
いい年をしてスクータで1日600キロ走るなんて正気の沙汰でない、と言われた。自分でもそう思う。ラオス国内であれば、朝8時に出発して、そろそろ泊まるところ探すか、という時間にスクータを停めるのであるが、走行距離はせいぜい300キロ、道が悪ければ200キロを越えたところで夕刻となってしまう。ラオスからタイに入ると道路の良さに感激してしまう。ラオスは片側1車線の曲がりくねった山道、タイは片側2-3車線の分離帯のある平坦な直線道路。これが後進国と中進国の差か。ついついスピードが出てしまう。よってタイで1日8時間走ると、調子がよければラオスの倍、600キロ以上走ってしまうことになる。

先般、パタヤで開催された世界ドラゴンボート大会に日本チームを応援に行った折、友人から「600キロというと東京から岡山、広島くらいまで行くんじゃないの」と言われた。自分の答えは、「途中で県警、府警に何度も捕まって路銀が尽きるので辿りつけない」というものだった。タイの国道は高速道路ではないが、直線道路では時速130キロくらい出している。フォルツァを購入したころは時速100キロを越えると体が硬直するほど緊張したものだが、慣れというものは恐ろしい。でも年並みに動体視力、反射神経は衰えているわけで、そのうち一瞬の判断ミスで転倒、障害物への衝突、あえなく昇天ということになりかねない。

■若者の厳しい目
日本での二輪車の購入世代は、いわゆるリターンライダーと言われる50代が28%、60代が23%の順で、購入者の平均年齢は52.7歳となっている。熟年ライダーが多ければ事故も多くなるのは事実。警察庁の発表では交通事故の死者数が減少するなか、中高年のオートバイによる死亡事故が増えているとのこと。バイク乗りが高齢化しているのだから事故件数だけではなく、年代別の事故率を見ないと中高年だけが危ないとは言い切れない。

でもネットには「自分の体の衰えに気付かず、若かった当時の気分で乗り回してる様子、危ないから免許更新時に体力測定とかもしてほしいわ・・・」、「若い頃と同じ感覚で同じように乗っている、実際はすべて衰えてるから無茶無理無謀運転になって勝手に死ぬ。下手すりゃ他人巻き込んで迷惑かけて死ぬ。ジジイバイク乗りはこんなのばっか」、「もう残りの人生どうなってもいいって考えてる中高年が乗ってるんだろうからべつに良いんじゃない?」といった若い人の意見が寄せられている。更には熟年にも「免許を取らせない」「買わせない」「運転させない」の三ない運動を推進すべきだという声もある。熟年ライダーに対する目は厳しいようだ。運転にはお気をつけて、といった優しい言葉は期待しないが、どうも最近の日本は年寄りには住みにくいようだ。

■日本だったら半数が退学処分
1980年代にバイクブームによって急増した事故や暴走族の跋扈により、バイクが社会から否定される存在となり、1982年の全国高等学校PTA連合会にて全国で三ない運動を推進することが決まった。自分は社会人となってから自動二輪の免許を取得し、400㏄のオートバイに乗っていた。母が近所の鮮魚店で「うちの息子、オートバイに乗っているのよ」と言ったら、店員さんに「へー、親不孝者だね」と返されたそうだ。バイクは不良の乗るもの、と当時は思われていた。

本田宗一郎氏はバイク否定の三ない運動に対し、「教育の名の下に高校生からバイクを取り上げるのではなく、バイクに乗る際のルールや危険性を十分に教えるのが学校教育ではないのか」と述べている。当時の文部省も学習指導要領に存在しない「三ない運動」を容認しない立場から、高校生のオートバイ利用に対応した交通安全指導書の整備を積極的に図るようになる。

更に1991年の東京地裁で「三ない運動は違憲」という判例が出され、PTA主体の三ない運動は崩壊した。とはいえ今でも事実上、運動を実施している広島県の例もある。厳しい規制の結果、広島ではバイク事故はほとんどないが自転車事故は全国でも突出して多いという。

チェンライには公共交通機関がないから、高校生はバイク通学が一般的、市内のサマーキー、ダムロン高校のの周りはバイクで一杯だ。先生も親も生徒が免許を持っているかどうかにはあまり関心がない。免許取得率は恐らく半分以下だろう。

タイの国道の制限速度は90キロ、それをいつも100キロ以上で飛ばし、時には逆走も厭わない自分は「暴走老人」と指弾されても仕方ない。タイは何事もおおらかでいいね、と思う反面、何時か痛い目に合うのでは、と自戒しているところである。