■事務所で再会
4月20日にサッカーを見に行った。試合終了後、ちょっとしたハプニングがあった。車の鍵を無くしてしまったのだ。入場券を購入する時、バッグから財布を出し、その時に落としたらしい。友人のバイクに乗せてもらい、10キロほど離れた自宅に予備の鍵を取りに行った。1時間後にスタジアムの駐車場にポツンと残っていた車を回収することができた。
翌日、誰か親切な人が届けてくれてはいないかとスタジアムの一角にあるチェンライユナイテッドの事務所に行ってみた。
はい、はい、届いております、ホンダの鍵ですね、鍵を預かっている人が外出しているので、しばらくお待ちください。へー、こういうこともあるんだ、と冷房の効いた事務所で待つことにした。そこに何と村上君がいる。事務所隣はトレーニング・ジムになっているし、事務所の大型スクリーンでは欧州プレミア・リーグのビデオを見ることができる。イメージ・トレーニングのためビデオを見に来たのだという。
彼は2月にチェンライユナイテッドに入団したが、打ち続くロードと暑さのためすっかり体調を壊したらしい。2回ほど入院したという。顔色もすぐれず、1m78cmという体も細身で迫力がない。それでも数値がよくなっていますから、チームに溶け込むよう頑張ります、などと言う。数値ってなに、とは聞かなかったが、血糖値ではないだろう。
彼の愛称はチャリである。FC岐阜にいた頃、自転車でスタジアムに通っていた。それで仲間からチャリと呼ばれるようになった。
1時間ほど話し込んでいたが、鍵を預かっている人が帰ってこない。明日、彼が来るからまた来て頂戴ね。やはりここはタイだ。出直すことにした。
■チャリに会って励まそうイベント
スタジアムでチャリを囲むファンイベントがあるとHPに出ていたので行ってみた。サッカー場に何百人か集まって、写真を撮ったり、サイングッズでも配るのかと思っていたら、スタジアム内のレストランに20人ほどのタイ人が集まっている。フェイスブックで先着20名限定の食事会らしい。
マネジメントスタッフのS君（邦人）と村上君が現れたが、部屋の隅にいる我々に目で挨拶するだけで寄ってこない。S君が気にしていたが、タイ人のいるテーブル席から動かないので帰ることにした。ノリの悪い若者だ。小川君だったら「よー来てくれました。いつも応援ありがとさんです」くらいの挨拶はするだろう。気乗りのしない様子でサインしたり、写真撮影に応じていたが、笑顔がほとんどない。まだ体調がよくないのだろうか。
■試合後会食
ファンイベントの翌日が試合だった。彼はDFでスタメン、フル出場、ホーム3試合目でやっと応援できる。娘の希望で最前列、応援団の太鼓の隣に陣取った。タイ人と一緒に声が嗄れるほど応援した。試合は0-0の引き分けであったが、DFとして村上君はいい動きをしていた。彼にボールが回ると安心して見ていられるし、パス出しも正確だ。試合終了後、S君に促されて、村上君が邦人応援団の前に挨拶に来た。ぺこりと一礼するだけで笑顔がない。
試合の後、チェンライ市内の日本食レストランで娘、その友達の日本語学校の先生2名で打ち上げ。娘がS君に電話したら2人で伺います、とのこと。
10時過ぎにS君と村上君がやって来た。彼は酒は飲まず、豚丼をかっ込む。小冊子をS君が取り出した。スタジアムで1部20バーツで販売されていたチャリ特集版だ。。わー、かっこいい、広島のご両親に100部くらい送ってあげればいいのに、などと先生や娘が騒ぐが「ボク、こういうの苦手なんですよね」と迷惑そうだ。それでも冊子にサインして一人ずつ渡してくれた。
試合中、観客席からチャリコールが何度も上がったんだけど聞こえた？と聞くと「試合中はそういうこと気にしないんですよね」と愛想がない。
小川君だったら嘘でも「よー聞こえました。日の丸と一緒でホント元気が出ますわ、これからも応援よろしくお願いします」などと如才ないところであろう。小川君はMF、村上君はDF、ポジションの違いが性格に影響するのか。
若者の話題はどこも同じ、「遠距離恋愛なんでしょう、うまくいってるの」、「ええ、まあ、いろいろ問題があって…」、「問題って？」、「まあ、いろいろです・・・」。話すのがいやだ、というわけではないらしいが、ノリは今一つ。
監督の評価は高いというし、この日の試合でもファイン・プレーが2度ほどあった。これからも先発出場すると思うが、明日、練習がないので病院に行きます、と言っていたから、まだ体調が完全ではないらしい。ピッチではもちろん飲み会でも溌剌とした彼を見たいものだ。
「応援隊」「ゲーム」「試合終了」「チャリ特集」「チャリ特集表紙」「飲み屋で娘と」
