■チェンライ・ユナイテッド快進撃
タイではサッカーが盛んだ。プレミアリーグに属するチームが20、これが日本の1部リーグにあたる。その下にディビジョン1（D１）というリーグに18チーム、そしてその下にディビジョン2（D2）があって1地域5チーム、6地域で30チーム。それぞれ週末毎に戦いを繰り広げている。
年間成績で下位グループとの入れ替えがある。プレミアリーグの場合、下位5チームがD1に降格となる。我がチェンライ・ユナイテッドは2011年にD1から念願のプレミアリーグ入りを果たしたが、過去3年の成績は常に10位以下の下位グループ。シーズン中は降格ポストの低位に甘んじることもあり、ファンの気をもませた。まあ降格しなければいいや、という気持で応援していた。監督が代わり、その後の選手入れ替えが成功したのか、今年はやたら勝つようになってきた。現在20チーム中5位、目覚ましい健闘ぶりである。
昨年までのブラジル人監督は、主力をブラジル人選手で固めていた。南米出身の選手は個人プレーに優れているが、得てして個人技に頼って、苦しくなってから不用意なパスを出して敵方に拾われる、こんな試合運びが多かった。「一人でやってんじゃねー、パス出せー」などとよく怒鳴ったものだ。あの監督は、プレミアリーグ昇格の立役者である小川圭祐選手をおん出した張本人なので自分も好きではなかった。サッカーの監督に結果責任が問われるのはタイでも同じ。今年、ブラジル色が薄くなったチェンライ・ユナイテッドは生き返った。
昨年、チームに加わった村上選手はすっかりチームに溶け込み、仲間の信頼を集めているのが分かる。髪を金髪に染めたせいではないだろうが一段と精悍さが増し、プレーも溌剌としている。ほぼ全試合にフル出場、日本選手の活躍を見るのは気分がいい。
昨年、厳しいタックルを受け、弓なりに反った体が地面に叩きつけられたことがあった。試合後、腰大丈夫？の声に「言い訳になりますからっ」と悔しそうに顔をしかめた。でも今年は、全く悲壮感はなく、のびのびとプレーしているように見える。
■チームに3人の邦人選手
今年、チームにFDで杉本恵太選手が加わった。名古屋グランパスで5年活躍した選手だ。さらに、この7月、D2のタイホンダで活躍している小川圭祐選手が「レンタル」の形で古巣チェンライ・ユナイテッドに戻ってきた。彼は以前、同じプレミアリーグのパタヤユナイテッドに2年在籍していた。チェンライにパタヤユナイテッドを迎えての対戦では、敵チームであるのに場内から小川コールが湧きあがったものだ。それだけ人気があった。小川君の加入をチェンライのサッカーファンも喜んでいることだろう。
これでチェンライ・ユナイテッドには村上、杉本、小川の3人の日本人選手が在籍することになった。
■スパンブリFCとの対戦
今年は旅に出たり、戒厳令で試合予定が変わったり、とあまりスタジアムに足を運んでいなかった。それにホームで試合の行われる週末、雨の日が多かった。びしょ濡れになっての観戦では風邪をひく恐れがある。風邪から肺炎、肺炎から腎不全、心停止、そういった年頃だ。
先週、スパンブリFCを迎えてのホーム試合、雨模様の天気であったが、小川君たちが出るかも、とチェンライ・ユナイテッドスタジアムへ行った。スタジアムは自宅から約10キロ、20分足らずで着く。スタジアムに駐車場が無いわけではないが、出入りに時間がとられるので路上駐車できる場所を探す。スタジアムの収容人員は1万5千人、それが一斉に帰宅するとなると駐車場所によっては帰宅時間が1時間違ってくる。試合開始1時間前に行けばまずいい場所がとれる。
メインスタンドのチケットは80バーツ。スタジアムに入る前に近くの露店で買ったビール、焼き鳥、シュウマイなどで元気を付ける。缶や瓶の持ち込みは禁止だが、観客席での飲食、飲酒はできるのでプラスチックカップのビールを持って入場、切符確認の入り口で腕に赤いスタンプを押してもらう。腕を見せれば、スタジアムの出入りが自由。日本のサッカーもこの方式か。
試合は村上、小川両君は出なかったが、杉本君がフル出場、パスも正確、運動量は多く、ボールが来る地点まで全速で駆けつける。得点はならなかったが再三のシュート、タイ人が自分に「スギモト、ディーディー（上出来）」と親指を立てる。
安倍さんの豪州連邦議会での演説もよかったが、杉本君のプレーも立派。試合は2-0でチェンライの勝利。国際関係もサッカーのようにすっきり決着がつくといいのだが。
良く写っていないが金髪の人が杉本選手
