令和を寿ぐ
■御世替わり
令和の御世替わり、日本は祝賀で沸き立っているようだ。天皇陛下の即位を祝うメッセージが、海外の首脳から届いている。
アメリカのトランプ大統領は、「令和とは『美しい調和』を意味し、この精神のもと、両国のつながりが深まることを願う」と、お祝いの声明を発表した。
中国の習近平国家主席は、「日中両国は一衣帯水、両国関係の良い未来をともに創っていくべき」との、即位を祝うメッセージを送った。
また台湾の蔡英文総統は「5月1日は私たちの大切な友人である日本にとって重要な日です。平成が終わり、新たな時代が始まりました。30余年続いた平成の時代、台湾と日本は相手を思いやりながら、最良の関係を築いてきました。令和の時代も、台日が互いに最高のパートナーであり続けられますように」とツィートした。
さらに、韓国の文在寅大統領も、天皇陛下に祝電を送った。
祝電には、「戦争の痛みを記憶して、平和のための堅固な歩みを続けることに期待する」との要望も添えられていた。
■上から目線
文大統領の祝電は何だかなあ、という感じだが、以下は5月2日付朝日新聞から。
・平成の天皇・皇后は、昭和の代とはまったく違う姿をみせ、衝撃を与えました。例えば、被災者の前でひざまずくという姿勢です。しかし、同じことを引き継いでもインパクトはないし共感は得られない。時代に即した新しい姿勢を見せなくては、人々の心に届きません。
・平成がスタートしたころは「日本国民」という共同体がまだ堅固でしたが、現代は国民というフィクションが崩れ、島宇宙的な共同体が分立しているようにみえます。日本国民という「全体」に向かって祈ることが、以前と同じリアリティーをもっては受けとめられなくなっています。
・国民全員に好かれようと「理想的」な天皇を演じることは現代の象徴天皇制にとってもプラスではない。ネットの時代には「アンチ」の人が必ず出現します。自分たちの体験に基づいた、本当に言いたいことを発信しないと、共感が得られません。
何度か読み返してみたが、自分には意味が分からない。上皇、上皇后が被災地をお見舞いされた時の真摯なお姿に朝日の記者はインパクトも共感も抱かなかったのだろうか。また今上陛下が国民に好かれようと「演じる」ことがあろうか。不敬の極み、タイだったら即刻逮捕されて禁固15年だ。
朝日には126代にわたって受け継がれてきた国柄というものが分かっていない。個人の自由な生き方こそ大切、というが今を生きる個人も亡き先人あっての自分であり、自分が亡き後もあとに続く人がいる、そういった滔々たる流れの中に今を生きていると思えば、亡き人や子孫を愛おしく、大切に思い、伝統を尊ぶ気持ちが生まれるのではないか。
■ フェイスブックの抜き書き
「天皇が交替するだけで時代が変わるという感覚は、見事に日本国内でしか通用しないガラパゴスな感覚ですよね。日本以外の世界は1ミリも時代は動きません」、これは映画監督、想田和弘氏のツィート。この人は、ただこの男女の間に生まれたという理由だけで親を尊敬しろというのはおかしい、と言ったことがある。自分の育った郷土、母校、先生や同級生、先輩を大切に思う心、共同体意識とかとその先にある愛国心は全く感じられない。
本名が和令であるお笑いタレント、カズレーザーさんが「令和に変わりましたけど」と聞かれ、「令和に変わった実感がなかったんですけど、この『実感がない』というのが上皇と上皇后のこれまでの努力の賜物なんだなと思いました」というのを令和元年早々に聞いて、どんな歴史学者のコメントよりもシビレてる、というツィートを見た。
また、フジテレビの特番「FNN報道スペシャル 平成の“大晦日”令和につなぐテレビ」で総合司会を務めたタモリは「西暦というものが、ずっと(続く)本のページ数だとすれば、元号というのは日本だけが持っている『章』。その章があるから(時代の)切り替えができますよね」と自身の考えを述べた。
上から目線の朝日新聞や国立大学出の映画監督よりも芸能タレントのほうが御世替わりに対する伝統意識を素直に代弁してくれているように思う。
なお、小西洋之という参議院議員が、
「安倍総理は新天皇陛下に対し『人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ時代を、創り上げてい』と決意表明しているが、『美しく心を寄せ合う』とは一体どのような状況なのかなど、説明を完全に拒否している。我々は安倍総理による得体の知れない時代に突入している」とツィートしている。
誰かこの人を何とかしてくれませんかねー。
写真はチェンライの花祭りから