チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

いい時に帰国

 

 

 

目黒不動

かむろ坂

目黒川の夜桜

同上

青山墓地

靖国神社能楽堂

 

いい時に帰国

■タイから日本へ

チェンライから東京へ行く場合、バンコク経由となる。バンコク発東京行きは1日に何十便もある。チケット価格はバンコク―東京往復で3万5千円前後から30万円を超えるものまで様々だ。でも安価なLCC航空券には発着時間が深夜、早朝であるとか、経由地が多く、到着まで30時間も掛かるなどデメリットがある。安さに惹かれて30時間かかる中国系のLCCを利用した人がいる。感想は「死ぬ思いだった、もう絶対乗らない」だった。バンコク―東京の直行便の飛行時間は6時間半、年を取るとこの6時間半が結構きつく感じる。価格にもよるが自分としてはチェンマイ台北―東京の便が好きだ。台北故宮博物院や夜市を1,2日楽しみ、それから東京に行く。飛行時間はそれぞれ3時間ちょっとだから新幹線の東京―大阪と大差ない。

今回の一時帰国では隣県、チェンマイの空港から出発した。前泊が必要だったが、行き慣れているチェンマイのほうが気が楽だ。チェンマイからバンコクへ、そこからハノイ行きのヴェトジェットに乗り換える。ハノイ空港では3時間半の待ち時間があったが、カード付帯のラウンジ利用権があったので、ラウンジで昼からワインやビールを飲み、食事をしながらパソコンを眺めていた。そしてハノイからヴェトジェットで5時間半、羽田に到着したのは午前1時であった。深夜到着だがLCCだから仕方がない。雨の中、タクシーで品川の家に着いた。

 

■桜を満喫

到着した4日が東京の桜の満開日だったようだ。5日は区役所や医院へ、6日は近くの目黒不動、そして目黒川で夜桜を見物した。ライトアップされた桜を楽しむ家族連れやカップルの振る舞いの優雅さに雅の国に帰ってきたという感を強くした。7日は先輩の墓参りを兼ねて友人たちと青山墓地へ行った。ここも桜の名所である。先輩は一世を風靡したテレビの歌番組のプロデューサーだった。墓誌を見ると享年67となっている。もう10年以上になるのか。華やかな一生だったと思うが、今の67は早世の部類だ。

自分は60代で死ななくて本当に良かったと思う。こうして桜を愛で、テニスを楽しめるのも長生きしたおかげだ。今日が千秋楽としても我が人生、8勝7敗の勝ち越しだったと確信を持って言える。なんといっても長生きするほうが勝ちである。

8日は横浜に行き、港に咲く桜を撮った。横浜はまだ7分咲きといった風情。9日は雨の中、銀座に出かけ、散り始めた数寄屋橋の桜をカメラに収めた。

10日は神田で友人と会い、有名な福尾商店のあんみつをご馳走になった。神田から九段下で降り、桜吹雪の舞う靖国神社に参拝、天気が良かったせいもあるが参拝を待つ人の列が20mほどできていた。靖国の神池公園の池は桜の花びらで一杯だった。桜もさることながら池を覆うもみじの若葉が鮮やかで、チェンライにはこういった明るい緑はないなあと思いながら写真を撮った。靖国から九段高、富士見坂を下って飯田橋へ、法政大学前の外堀を見下ろす土手公園は桜の名所ではあるが、混雑しているのでは、と桜撮影は飯田橋で終わりにして帰宅した。

ソメイヨシノはもう終わりだがこれから艶やかな八重桜の季節になる。いい季節はまだ続く。

 

■日本語

同年配の友人たちとの会食が続いている。でも老人の3大話である健康問題、孫自慢、相続の話はほとんど出ず、ずっと笑いが絶えない楽しい宴会ばかりだ。日本語だから相手の言っていることが理解できる。これが嬉しい。自分の発言もわかってもらえる(と思う)。タイではタイ語または英語だからお互い理解しているかどうか判然としない。場合によっては携帯の翻訳機能の助けを必要とする。タイ人同士の会話など始めから理解を放棄している。ところが地下鉄の中で会社員や奥様方の会話が理解できる。思わず耳がダンボになる。

「映像クリエイティブの専門学校に行ってて、XXプロに勤めようと思ったんですが、3カ月は無給で楽器運びというので・・・・」、「それはひどいな」。オジサンもそう思う。

「目黒川のワインクルーズって一人1万円だって…」、「ウーン、それくらいするでしょうね」。舟からの桜見物なら高くないでしょう。心の中で会話に参加する。チェンライではまず不可能だ。

日本語がわかるし、料理も酒も「ああ、これはチェンライでは絶対お目にかかれない」と感動しながら口にしている。季節もいいし、このまま日本にいたくなる。チェンライから東京へ飛んでくるにも決断力を要したが、これからチェンライに戻るにも多くの誘惑を振り切り、両頬をパンパンと叩いて覚悟を決める必要がある。