チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

スリランカ旅行(22)

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スリランカ旅行(22)

■債務の罠
スリランカの旅も最終日、8日目を迎えた。この日はゴールからコロンボまでバスで行く。ゴールからコロンボまで20分おきにバスが出ているが、15時発のバスチケットは購入済み。コロンボでIさんの友人一家と会って食事をする。そのあとバンダラナイケ国際空港に送ってもらって、深夜のバンコク行きのタイ航空に乗る。

ホテルで朝食を摂り乍ら、本日の予定を話し合う。ホテルのチェックアウトはお昼だ。さて、バスに乗るまでどうしますか。自分はこの日、行きたいところがあった。ハンバントタ港だ。ゴールから海沿いの道を東に走って約130キロのところにある。往復しても数時間、日帰りで行ける。ホテルで運転手付きの車の手配が可能、価格は100ドル。城外でタクシーをチャーターしたほうがい安かもしれないが、ドライブから戻った時、シャワーを使わせてもらえるというのでホテルの車で行くことにした。

ハンバントタ港は西部のコロンボ港、東部のトリンコマリー港に並ぶ第三の国際港湾だ。ハンバントタはかつては漁村で、今でも野生の象やイグアナが生息する自然豊かな場所だ。港が建設されたのは2010年、親中派ラジャパクサ前政権下でのことだった。費用約13億ドル(約1440億円)の多くは中国からの融資。

世界銀行アジア開発銀行の融資は基本金利は0.75%と低利で、さらに返済が遅れた場合はリスケジューリングといって国際的に繰り延べが認められる場合が多い。ところが中国の融資の最高金利は何と6.3%、それも返済が滞った途端に金利がジャンプする。スリランカにこの金利は重くのしかかり、返済繰り延べも拒絶され、結局、港は2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされることが決まった。このハンバントタ港をめぐる決定は中国による「債務の罠」の典型例と見なされている。すなわちインフラ建設などを行うために中国からふんだんに融資を受けたものの、施設が十分な利益を生むことはなく、借金が膨らみ、返済不能になり、施設や土地を中国に明け渡さざるを得なる、そういった事例である。

中国側もスリランカ側もハンバントタ港が軍事利用されないと再三述べている。でも中国は、南シナ海スプラトリー諸島を埋め立てた人工島に軍事施設を建設するなど毛頭も考えていない、と言明してきた。ハンバントタ港の南にはインド洋が広がり、年間の航行船舶は6万隻を越えるという。一帯一路の「真珠の首飾り戦略」で重要な位置を占めるハンバントタ港を中国が軍事利用しないと誰が信じるだろうか。

■南岸の海浜を通って
出発に際してデジカメと1眼レフのSDカードを予備のものと入れ替えた。99年リースというから中国領となっているわけではないが、見学の際、記録媒体を中国関係者に取り上げられる、または破棄されるかもしれない。そうなるとスリランカの旅の思い出が消えてしまう。

車は世界ベスト10ビーチに選ばれたウナワトゥナ、伝統的釣法「ストルト・フィッシング」で知られるアハンガマの浜を右に見ながら東へ向かう。ストルト・フィッシングとは浅瀬に立てた一本の棒の上に捕まり、魚を引っ掛けて取る釣法。2010年5月9日放送の「世界の果てまでイッテQ!」でイモトがこれに挑戦して鰯を釣り上げている。この鰯を使って10種以上のハーブを入れたスリランカカレーを調理して、「ウメ―」と感嘆していた。スリランカ料理には魚が多用されているので日本人には合うと思う。ストルト・フィッシングは、早朝並びに夕方行われるのであるが、近年はSNS映えするので、鰯よりもカメラを構える観光客相手の釣人が多い。撮影料は500ルピー(350円)というから結構な値段だ。イワシより観光客を引っ掛けるほうが金になる。

遠浅で波が穏やかなサーフィンポイントのヴェリガマ、ミリッサを過ぎる。北欧のパツキン美女たちが浜で戯れていた。一泊700円程で泊まれるGHもある。ビキニ娘を見るだけでも1日700円は安い。

■ハンバントタ港到着
港に着いたが入口の警備員(スリランカ人)から入場を拒否された。1週間前から外国人は入れなくなったそうだ。理由はわからない。警備員は困惑した表情で入れませんと繰り返す。ゲートから日本の軽乗用車がひっきりなしに出てくる。軽乗用車の陸揚げがあったらしい。ゲートから見える案内板には「Port Viewing Point」の文字が読み取れた。これまでは見物人の入場は自由だったようだ。乗降客用ターミナルもできているはずだが、どうして外人は見学できないのか。
もうここはスリランカ領でないことを実感した。入場できなかったけれども緊張感から一挙に解放されたのは事実である。



写真はストルト・フィッシングのイメージ、ビーチ ハンバントタ港入口の写真、案内板に注目