パヤム島で過ごす
■小さな島だけれど
パヤム島はネット上の「タイで訪れるべき島10選(リゾート~穴場まで)」とか「タイのビーチリゾート&離島15選」といった観光案内には出てこない。あまり旅行記も書かれていない。
朝日放送テレビ 『世界の村で発見!こんなところに日本人』という番組にタイ国境密林の島パヤム島に住む51歳の日本女性が出たことがある。2016年の放送であるが、パヤム島たった一人の日本人女性と紹介されていた。人口800人の島、ここに10万平米の土地を所有し、カシューナッツ農園やレストランを経営、51歳だが29歳のドイツ人のフェーンと楽しく暮らしている。若い愛人を持つ、は男性に限ったことではない。
でも我々が行った今年の2月には、島に何人かの日本人が住んでいると聞いた。家を持ち、長期に暮らす人もいる。パン焼きをしながらタイ人とのハーフを育てているという日本女性がいるというので訪ねていった。生憎、その日は島を離れていて会えなかった。小型のパン焼き器とハンモックを吊ったニッパヤシ葺きのバンガローがあって、かなり簡素な暮しをしているように思った。女性のほうが男よりたくましい。
島が観光客で一杯になるのは乾季の4ヶ月のみ、あとは雨に閉ざされ、閑散とした離島に戻る。ハイシーズンの乾季の期間だけイタリア人が作るイタリア料理店とか英国女性が店主のビヤレストランが開店する。ファランが作っているから、味もまずます、こんな小島で水準をいく洋食が食べられるのはありがたい。パンもタイのパンに比べれば格段に美味しい。コストは掛けられないからイスと簡単なテーブルだけの屋台のような店が多い。働いている人も季節労働者、ミャンマーはちょっと舟で渡れるほどの距離、ミャンマー人の料理人やウェイトレスを多く見かける。ミャンマーは英国の植民地であったから、彼らは英語をタイ人よりよく理解する。英語が通じるという点ではタイのリゾート地として上位に位置すると思う。
■ビール片手に
島であるから食料品から日用品まで全て本土のラノーンから船で運ばれてくる。運賃がかかるから、なんでも高い。ガソリンは1リットル50B(本土では 30 B以下)、 500ccの飲料水も15B(本土では7B)した。そこで、タイ食堂ではペットボトルへの水詰め替えサービスをやっていた。もちろん有料で5Bまたは10B払ったように思う。クイッティオ、焼き飯はチェンライの2割高、でも量がどういうわけかチェンライの2割増し、つまり通常でいう大盛なのでこれは何とか許せる。
缶ビールも10-15B高かったが、ビーチリゾートに来てそれくらいのカネをケチっても仕方がない。午後、メインダイニングの海を見下ろすテラスで長椅子に寝そべって沢木耕太郎の「旅する力」を読む。もちろん缶ビール片手、眠くなったら、本をパタリと置いて暫しまどろむ。隣のソファには猫が寝ている。空にはミサゴだろうか、鷹が大きく弧を描いて遊弋している。
自分の場合、明るいうちからビールなど飲んでお天道様に申し訳ない、という背徳感がビールの旨さを引き立てているように思う。このままではアル中に向かって一直線、自分はだめな人間だ。一億総活躍社会というのに何と怠惰な生活、この瞬間もせっせと働いて年金の掛け金を払っている祖国の若者に申し訳ないと思わないのか・・・・
反省は種々あれど、昭和、平成の御世を曲がりなりにも働き通した小市民、せめてビール片手の読書と昼寝くらいは許して下されよ。
■自然の残る島
狭い島ではあるが、島のアオヤイと言われるロングビーチだけでも4キロの長さがある。まあ頑張れば2時間で島を歩き通すことは可能だろうが、1日200Bの貸しバイクがあるのでIさんと二人で1台借りた。島の道は狭く、道は舗装されているとは限らないので、2人乗りの場合は常にIさんに運転をお願いした。雨季であれば道は泥濘と化してスリップ、転倒は免れない。観光客は乾季しか来ないと言うのもうなづける。海沿いにGHやホテルが立ち並んでいるが、内陸部はゴム林や密林で、あまり人はいない。
湿地地帯があり、夕方、湿地帯に架かる狭く長い橋を渡ることになった。こちらが道を譲っているのに対抗のバイクが中々走り出してこない。なんだよ、と思いながらこちらから橋を渡っていくと、バイクの男があれを見ろ、という。直径20僂呂△蹐Δという巨大な蛇が薄暮の湿地帯をザワザワと滑っていくのが見えた。コブラだよ。湿地帯ににはワニもいるそうだ。滞在中に極楽鳥も見かけた。海浜やビール以外にも色々楽しめる島のようだ。
浜とイタリア料理店と泊まったバンガロー