■熱帯モンスーン気候
昨年の秋、チェンライ－チュンポン、1300キロをフォルツァで走破した。その時、同行のNさんに、チュンポンの反対側、アンダマン海に面したラノーンに行けませんかね、と訊ねた。このあたりクラ地峡と言われて一番狭いところは距離にして50キロ足らず、昔からマラッカ海峡のバイパスとしての運河掘削計画がある。Nさんは「直線距離は近いけれど山越えの悪路で結構時間がかかります」と、我がアンダマン海遠征提案は却下されてしまった。
今年の2月、プラチュアップキリカーン県からロットゥー(ミニバス)に揺られて、憧れのラノーンへ向かった。ロットゥーはチュンポンの手前で西に曲がってアンダマン海方面に向かった。やがてNさんが言っていた通り、アップダウンと急カーブの山道に差し掛かった。舗装されているからいいものの、雨天ではかなりの難所となる。この山は遠くプーケットまで続いているそうだ。この山にインド方面から吹いてくる季節風(モンスーン)が当たって雨を降らせる。ラノーンはタイでも一番年間降水量が多い県として知られている。その量、4000个魃曚┐襦1955年には年間6699.5亶澆辰燭箸いΦ録がある。因みに東京の年間平均降水量は1528.8弌一番降水量の多い9月で200伉?戮世、ラノーンでは8月に800亢瓩けが降る。年間8ヵ月は雨季で、乾季は12月から3月の4ヶ月しかない。雨季の平均降雨日数は月当たり24日－27日であるが1日の平均日照時間は4時間くらいある。派手に雨が降るけれども強烈な陽光も差す、これが熱帯モンスーン気候というのだろう。
■ラノーンの船着き場
ラノーンに到着した。すぐにパヤム島行きの船着き場に向かったので、この時の印象は薄い。漁港があるのか魚の臭いがする。またイカを満載した小型トラックとすれ違ったが、保冷用の氷は無し、街の臭いはこのせいかもしれないと思った。パヤム島行きの船を待つ間に近くの食堂で昼食、何を食べたか覚えていないのだが、食堂に魚の干物を売りに来たおばさんがいた。結構大きな魚のヒラキで飴色に乾燥している。欲しいな、と思ったがこれからパヤム島で数日過ごすし、帰りに買おうとそのままになった。でも結局、帰りには買えなかった。タイではいいなと思う品物に出会ったら、何はさておきすぐに買う、タイでは次の機会はありません、とあるガイドブックに書いてあったことを思い出したが、それこそ後の祭り。あの魚の干物を手にする日がいつか来ることを期待したい。
ファランばかりで、洋食が美味しくて、妖しくて、美しくて、刺激に満ちたパヤム島には4泊した。それ以上滞在してしまうと島の魔力に心身が蕩ける危険性があった。不思議な魅力がある島だった。
■温泉の街、ラノーン
チェンライ、チェンマイにも温泉があるが、タイで古くから知られている一番有名な温泉町はラノーンとのこと。ホテル内に温泉を引いている、いわゆる温泉旅館もいくつかある。自噴温泉が7、8カ所あるが全部が利用されているわけではなく、施設がない場所ではそのまま川に流されているらしい。
同行のIさんもラノーンと言えば温泉でしょう、と旅行最終日の宿泊先をラクサワーリン温泉に近い「温泉と滝のロッジ、ハウス・オブ・ハッピネズ」というゲストハウスを予約してくれた。GHに到着後、ミニバスで20分ほどの距離にあるポーラン温泉へと出かけた。この温泉は山の中のガオ滝国立公園内にある。
ポーラン温泉には小プールといった大小の大風呂がいくつかある。タイだから水着着用が原則。この日は他に客がいなかったため大きな風呂は二人で貸し切りとなった。手足が伸ばせるどころか泳ぐこともできる。
風呂の下には川が流れている。タイの川は小川であっても通常ラテライトで赤茶色に濁っているのであるが、この川は透明の冷たい水が流れている。温冷交代浴を繰り返す。川には天然の「ドクターフィッシュ」が無数にいて足を川に入れると魚が集まって来て足の古い角質をつついて食べてくれる。要するに足の垢を掃除してくれるわけで、つつく刺激が神経を活性化するとして、健康に効果が有ると言われている。足をポリポリ掻くと魚の数が更に増える。面白くて何度もやっていたら脹脛がヒリヒリしてしまった。
ラクサワーリン温泉にも行ってみた。ここは市民の憩いの場所になっているようで、老若男女、服を着たまま湯の中を歩いたり、浸かったりしている。若い女性が全くいないのが残念だったが、ラノーンを代表する温泉2ヵ所を体験することができて満足だった。
写真はポーラン温泉の湯船、飲泉したの川、角質をつつくドクターフィッシュ、4枚目ラクサワーリン温泉の源泉、湯の花がすごい、温泉に浸かる市民、女の子が2人、制服のまま入っていました、
