チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ビザ更新でトラブル

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ビザ更新でトラブル

■地獄を見る
多くの在留邦人が嘆くように、タイのお役所は管轄事務所により、担当官により、その時の法律や解釈により必要書類や手続きが変わる。邦人が集まるとビザ情報交換会が持たれるが、あの人の場合はこうだった、私の時はこうだった、という参考意見に過ぎず、こうすれば完全だ、という方法はない。

在留邦人が多いチェンマイではビザの更新手続きにかなりの苦労がある。「チェンマイ・イミグレーションでの長期ビザ延長は狂気の沙汰」というブログによると、8時半の業務開始に先駆けて7時に入管事務所に出向いてみたら、もう今日の受け付けは終了と言われ唖然、翌日午前6時過ぎに出直して行列に並び、何とか当日の受付番号をもらったが、ビザ延長ができたのは9時間後の午後3時、順番を飛ばされては、とろくろく昼食もとれなかったそうだ。前夜からテントに泊まりこんで順番取り代行をする業者もいる。中には入管と結託して法外な料金を請求する手続き代行業者もいると聞く。チェンマイの邦人に言わせればチェンライの入管は天国とのこと。書類さえ揃っていれば待ち時間も含め30分足らずでビザ延長手続きは終了する。しかし好事魔多し、母のビザ延長で地獄を垣間見ることになった。それも入管ではなく銀行で。

■残高証明書がでない
ビザの延長申請にあたって、母の場合、まず健康診断書が必要だ。ここ3年ほど通院していないのであるが、以前、母を診てくれた医師に会って、昨年、一昨年と同じ診断書をお願いする。医師は、お母さんは元気?などと言いながら英文診断書を書いてくれた。入管には母名義の口座に一定金額の預金がある証明、つまり残高証明書を提出する必要がある。

毎年、残高証明書を作成して貰う日に形ばかり少額を引き出して通帳に日付を記帳していた。今年も同様に、いつもの銀行支店に行き、その日の日付の入った通帳、健康診断書、更に昨年の残高証明書のコピーも参考に提出し、ビザ延長申請に必要なので今年も同じ残高証明書を、と依頼した。

行員は書類を一瞥した後、お母さんは寝たきりなのにどうして今日の日付で引き出しがあったのか、という。カードだから誰でも引き出せる。行員は母の口座からはっきり母でない人物が金を下ろした、これはゆくゆく銀行が訴えられる恐れがある、だから残高証明は出せないという。そんな馬鹿な、これまでと同じ書類、手続きで証明書発行を頼んでいるのにどうして今年に限ってダメなのか。2時間ほど粘ったが取り付く島もない。

日本語がわかるタイ人に電話で行員と話してもらったが、まず銀行に迷惑がかからないという証明を裁判所で貰ってこい、とのこと。知人も奥さん経由で銀行に掛けあってくれたが、彼の意見もとりあえず裁判所に行ってみたら、だった。

■結果良ければ
翌日からいろいろな人の伝手で弁護士と会ったり、家庭裁判所に行ってみたり、タイ語の正式診断書を作るために救急車の送迎を頼んで母を病院に連れていったりと心労の1週間が始まった。裁判には母の預金を相続すべき我々兄弟3人の宣誓書が必要だが、これを作成するために3人揃って弁護士の許に行かねばならない。各種書類を揃えて裁判所に提出し、判決が下りるまで3カ月はかかると弁護士は言う。それじゃビザが切れて強制送還になってしまう。軍政は寝たきり老人の追い出しを謀っているのか? 帰国となれば日本の受け入れ施設を見つけておく必要がある、それよりも今の母が長旅に耐えられるか。日本にいる弟に母の戸籍謄本を持って1週間以内にチェンライに飛んでくるよう依頼した。メールや国際電話が行き交った。

そうこうするうちに書類の有無に拘らず入管担当官の一存でビザの延長は可能であることを知った。判決が出るまで母のビザ延長を頼むか。知人や友人も3ヶ月の延長はできるからと口利きの援助を約束してくれた。

銀行に行ってから1週間後、チェンライの入管に行き、事情を説明し、できれば6ヶ月、少なくとも3ヶ月のビザ延長を、と懇願した。すると女性の支署長が、市販の委任状に母の拇印を押して、市内の銀行支店に提出すれば残高証明は出るはず、問題があったら電話しなさい、と自分の携帯番号を書いてくれた。支署長の顔が慈母観音に見えた。

結果は支署長の言う通り。あっさり残高証明書が発行され、その日のうちに母の1年ビザの延長手続きが完了した。
器が小さいので、この1週間で1キロは痩せたと思う。でもこの事件でブアさん始め、何人もの友人、知人、タイ人が親身になって心配し、助けてくれた。心から感謝したい。どこでも悪い人ばかりではない。



写真は裁判所など公的機関、本当は撮影禁止だそうです。最後はおかまコンテストの入賞者、みな男です。