チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

掘り出しものは?

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掘り出しものは?

■チェンライ骨董街
国道1号線と1020線が交わるメーコンの交差点をチェンライ市内方面へ行く。右手にリトルダックというホテルを見ながら100mほど進むと、左側の歩道に地べたに品物を並べて売っている骨董店が見える。骨董店というよりガラクタ販売業というほうがふさわしい。数か月前にブルーシートの上に古時計、刀、欠けた壺、古い農具などを並べて売る店ができた。すると、それにつられて一人、二人と同じ商いをする人が現れ、今では数店、多い時には10を越える店が歩道に並ぶようになった。

タイ人はあまり古いものに興味はないし、大事にしないと思っていた。チェンセンの古寺、ワットチェデルワンの13世紀に遡る仏塔は、途中から折れ、雑草が生い茂って、それなりに風情があった。先日行ってみると仏塔はきれいにセメントで修復され、何の面白みも有難みもない石造タワーになっていた。日本でも欧州でも米国でも、ちょっとした街にはいわゆる骨董店があるが、タイではあまり見かけない。少なくともチェンライには無かったように思う。
だから常設のガラクタ市が立つようになったとは、自分としてはちょっとした驚きである。

■なんでも鑑定団
骨董収集の趣味はないのだが、昔からテレビ東京の「開運、なんでも鑑定団」のファンでタイに来てからもユーチューブで楽しんでいる。
世の中には書画、陶磁器などの美術品はもとより、ポスター、マッチ箱、ブリキ人形、大工道具などありとあらゆるものの収集に血道を上げるコレクターは少なくない。

陶磁器にせよ掛け軸にせよ、所謂、「逸品」が店先でコレクターに「私を買って下さい」と訴えかけるという。家に帰ってもその呼びかけが忘れられず、再び骨董店に足を運び、1割ほど負けてもらって購入する。気に入って買ったのだから、と思う反面、本当にその価値があるのだろうか、と不安になって、「なんでも鑑定団」に応募する。

■まさに驚きの鑑定結果が・・
米国で新品のカメラと古い壺を交換した人がいた。鑑定結果は、まぎれもなく殷時代の青銅器、価格は驚きの2億円。こういう幸運に恵まれる人もいれば、これこそお宝と自信満々で出演したのに、愕然とする鑑定結果に肩を落とす人もいる。

本人評価額500万円の龍泉窯の青磁の花生の鑑定額が何と5千円、鑑定士の中島誠之助先生が更に追い打ちをかける。「近現代に作られた、中国青磁の写しですね~。13世紀、南宋時代の竜泉窯で作られた青磁が日本に多く渡ってきた。特に依頼品のように首が細く鳳凰の耳がついた瓶は、日本では国宝に指定されているものもある。それらを手本にして写すということは古くから行われているんですね~。青磁の魅力は釉薬にあるが、依頼品はいかにも薄い。首の太さ、胴の太さなど全体に緊張感が足りない。ま、いいと思ってお買いになったんでしょ、大事になすって下さい。」

先生の最近の総評は、以前より辛辣になってきたように思う。

■目利きでなければすべてガラク
ともあれ、趣味であるから、好きで収集するには別段問題はない。しかし、一攫千金、儲けてやろうという邪心が入ると、欲に付け込まれて、ガラクタをつかまされる。また本人は収集に血道をあげても家族は全く理解、興味がなく、本人亡き後、収集品はまとめて業者に持って行ってもらう、欲しい人に上げてしまう、あるいはネットオークションで売ってしまう。ところがその中にとんでもないお宝があった、ということもある。番組ではお宝を巡って悲喜こもごものシーンが展開される。パターンは毎回変わらないのだが、20年以上も続く長寿番組、自分も飽きもせずずっと見ている。

別に目利きではないが、なんでも鑑定団の影響でお宝はないか、とチェンライのガラクタ市を冷かしに行くことがある。ほとんどはタダでも要らないようなものばかりだが、ラッパ式の蓄音器、ドイツ製の古い掛け時計など、インテリアとして面白いものもある。値段を聞くと「いくらなら買う?」と問い返される。ウズベクにいた時、700ドルの言い値に150ドルと答えたところ、結局、その値段になってしまって、牛皮のコートを買わざるを得なくなったという苦い経験がある。だからこちらからは値段は言わない。

そのうち、適当な染付の壺でも買って、日本の息子や娘に「困ったことがあったらこれを売りなさい」という遺言付で渡してやりたい。それをもって鑑定団に出演したら、中島先生に「お父様はユーモアのある方だったのではないですか。ま、形見として大切になすって下さい」と言われるだろう。それを想像するだけでも嬉しくなる。





写真1番上は2億円の殷の壺、あとはチェンライの骨董