チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

一億総活躍社会

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一億総活躍社会

■金次郎と年頭所感
二宮金次郎が20歳くらいの時のことである。ある日、農作業をしようと思ったが、生憎と鍛冶屋に修理に出していて鍬がない。それで隣の家に行き、鍬を貸して下さいと頼んだ。隣家の主人は、これから畑を耕すつもりだから、貸せない、と答えた。金次郎は、自分は親から健康な体をもらっているのに、今日一日、無駄に過ごすのではお天道様に申し訳ない、わかりました、それでは私が代わりに畑を耕しましょう、そのあとお貸しくださいと言って、隣家の畑を耕し、菜種も蒔いてあげた。どうせ途中でやめるだろうと思っていた隣家の主人は。金次郎の真摯な働きに感嘆して、これからはあなたの頼みは何でも聞くことにします、と言ったという。

一見、損したように見えても、それによって相手に喜びと感動を与え、大きな信用を得る、いわゆる「損して得取れ」を教えるエピソードとして知られているが、無駄に1日を送りたくない、という金次郎の勤労意欲が素晴らしい。

4日に国会が開会し、それに先立って安倍首相が年頭所感を述べた。その中で今年は「一億総活躍・元年」であるとし、未来は他人から与えられるものでなく、自らの手で切り開いていくべきものであり、そのために「挑戦、挑戦、そして、挑戦あるのみ」と述べている。

中性脂肪が少々高めだが、親からもらった健康な体を持ち、ボケかけているとはいえ、ネット情報に悲憤慷慨できるほどの頭を持っていながら、タイで怠惰な生活を送っている。総活躍社会というのに、何も社会のお役に立つことをせず、お天道様に申し訳ないと思わないのか、何かに挑戦しようという気はないのか、と言われているようで、心苦しい。

■活躍できる人
まだ働いている同級生はいるし、山岳民族の子に算数と英語を無償で教え続け、タイ政府に表彰された知人もいる。高齢であっても能力と高い志を持った人には頑張ってほしいと思うが、誰もが大勲位と言われるような人になれるとは限らない。

それよりも一般的に言って、高齢になれば、体力はもちろん、知的にも進歩が止まってしまう人が多い。騏驎(きりん)も老いては駑馬(どば)に劣る、という。昔千里も今一里、昔は千里を駆けた馬も、老いては一里行くのがやっと、あの優秀な部長が、今では人並み以下のモウロク爺になっちゃったよ。
若い人にそう陰口をたたかれる前に、老人は社会の一線から退くほうが望ましい。それに口ばかり達者な老人が周りにゴロゴロいたのでは、若い人が腐ってしまう。若手が1名、あと5名が60代の課長と課長代理という課があって、それぞれが、俺の時はこうだった、と指示し始めたら、若手は何かに挑戦しよう、などという気が無くなってしまう。

天下のご意見番、大久保彦左衛門も将軍様に諫言する老人が一人くらいだったから、問題はなかったのであって、ご意見番が10人も100人もいたのでは将軍もやっていられない。自分ではまだ若いと思い、総活躍社会だから、まだまだ頑張るぞ、と思う方がいてもかまわないと思うが、やれる、やれないは自分が決めることではなく、周りが決めることと自戒する必要がある。

■古人曰く
徒然草の168段には、自分のやってきたことなどすべて忘れまして、という老人は奥床しくてよろしい、と書いてある。それに続けて、

『さだかにも辨へ(わきまえ)知らず』など言ひたるは、なほ、まことに、道の主とも覚えぬべし。まして、知らぬ事、したり顔に、おとなしく、もどきぬべくもあらぬ人の言ひ聞かするを、『さもあらず』と思ひながら聞きゐたる、いとわびし。

(『その事についてははっきりとは確実に知らないが』などと言っていれば、本当に、その道の全てを大まかに知り尽くした先生のように思われるものだ。
まして、老人が知らない事をしたり顔で、大人しく物事を良く知らない若者に言い聞かせているのを見て、『そうではない(老人の言うことは間違っている)』とか思いながら聞いているのは、とてもやりきれないものだ。)

また、113段には
大方、聞きにくく、見苦しき事、老人の、若き人に交りて、興あらんと物言ひゐたる。数ならぬ身にて、世の覚えある人を隔てなきさまに言ひたる。

(大体、聞きにくくて見苦しいのは、老人が若い人に交じって、面白いだろうと思って得々と物事を語っている、大した身分でもないのに、世の中で知られている名声のある人を、自分と全く遠慮がない関係にあるかのように語っている様子である。)、とある。

働かない言訳を書くつもりが、話がそれて、自分の見苦しさを兼好法師に指摘されているような気がしてきたのでここでやめる。



写真はチェンライの花祭りから。暮から1月12日まで開催。今回の開会式に王族の方が初めてご臨席、メジャーな催しになってきました。