■開発進む中進国
フア・メ―カムを出たのは昼過ぎだった。広場ではセレモニーが続き、午後からは各山岳民族による踊りがあるようで、続々と人が集まってくる。まるで浅草寺仲見世通り、と思ったが年に一度の祭り、それも初日であるから仕方ない。フア・メ―カムからソード・タイはアップダウンを繰返しながらの下り道になる。2人乗り、3人乗りのバイク、、荷台に10人以上のピックアップ、またタイ各地からやってきた小型バスがひっきりなしに上ってくる。工事中で対向車とすれ違えない狭い道もあるので、運転には気を使う。
数年前は未舗装で、4WDの車でなければ行けなかったと言うし、十数年前に行った人のブログでは、雨季はヘリコプターでしか行けない秘境となっていた。我がカリビアンで36キロのいろは坂を右に左に約50分、それだけでソード・タイに辿り着いたのだから、まあ今では「準秘境」といったところか。
ひまわり祭りの主役、メキシコひまわりは、チェンライの山道ではよく見かける花である。雑草と言ってよく、いつも行くテニスコートへの道路わきにも咲いている。上向きに花が開くので群生していると華やかに見える。雑草であってもこれを山の斜面一杯に咲かせ、観光の目玉にしたとは素晴らしいアイデアだ。山岳民族にも知恵者がいたということか。
広場で偶然出会ったテニス仲間、トンさんの話によると、村にGHはあるというが、食堂の人に聞いても確認はできなかった。1泊2食付き350Bで村人の家に民宿できるというブログを見たが、まだホテルやGHがあちこちにあるほど開けた村ではないように思える。
来年の祭りには道が完全舗装され、さらに多くの観光客が来ることだろう。その前のシーズンオフに何度か訪れて、フア・メ―カムの魅力を探ってみたいと思っている。何にもない山村かもしれない、でも何か惹かれるものがある。
■観光客で一杯
ソード・タイではいつものプーセンタワン・リゾートに荷物を置く。友人二人はクンサー博物館へ。自分は2カ月ほど前に開店したマッサージ店へ。ここでのマッサージは2回目である。チェンマイ方式であるから揉むというより、肘を使ってゆっくりと足や背中の筋を伸ばす。色白のシャン女性が担当してくれたが技術は上の部類。料金は2時間で300Bだから、満足度は最高部類に入る。この街での楽しみが一つ増えた気がする。もう一軒、ソード・タイのゲート近くにマッサージ店ができた。シャン族のお姉さんに言わせるとマッサージより他のことをウリにする店だから、と言葉を濁した。その方面に興味のある方にはぜひ行って頂き、その結果をご教示頂きたい。
博物館から帰ってきた友人とGHのラウンジで話をしていたら、小型バスや車がどんどんやってきて、主人に部屋はないかと聞いている。あいにく本日はこんなGHでも満杯。予約なしで旅をするのは自分だけではないようだ。ソード・タイから30分も走ればホテルは見つかるはずだから、GHで断られた中国人の団体さんやタイ人グループも宿の心配はないだろう。
■甜甜餐廳(ティンティンレストラン)
いつもの雲南料理の店で夕食。相変わらず空いているな、と思っていたら、小型バスが2台、横付けしたと思うと20人ほどのタイ人が降りてきた。ほとんどが20代の女性、あらかじめ設えられたテーブルに座ると全員が携帯を取り出して、画面に見入ったり、さすったりしている。これだけの大人数が無言と言うのも不気味なものだ。おそらく、バンコク方面から来た社内旅行の団体であろう。金曜の夜出て、土曜、つまりこの日の朝に北タイに着いてひまわり祭り見学、チェンライあたりで一泊して日曜夜にバンコク帰着、月曜から仕事じゃないのか。
豚足の煮込みなど料理が運ばれてきたが女の子たちは黙って食べるだけ、時折、携帯をいじっている。会話は殆どない。去年帰国した時、電車内では多くの人が無言で携帯を操作していて、不気味に感じたが、世界中こういう傾向なのか。
下條アトムに良く似たガイドさんに聞いてみると、やはりバンコク近郊から来た工員さんたちだった。2泊3日、1泊は車中泊、かなりきつい。女性たちとは離れて男性二人が食事をしている。運転手である。食事をしながらビールを飲んでいる。大丈夫か。今日はどこに泊まるの。えっ、我々と同じGHじゃん、飲みなさい、飲みなさい。
夕食の後は夜の街を探訪、しかし8時を過ぎても人を満載したピックアップが暗い道をフア・メ―カム方面に向かって走っていく。帰りの車の90%は酒酔い運転だ。早めに帰って寝るに越したことはない。