■新聞との付き合い
物心つく頃から朝日新聞を読んでいた。サザエさんが好きで、オチが分からないときはどうして面白いの、と母に聞いたものだ。サザエさんからフジ三太郎に代わって、1970年代末まで朝日を購読していた。NHKのニュースもよく見ていた。朝日を読んでNHKを見ているとバカになると言われるが、当時は自分でニュースの裏に迫ることは難しかったので、その中身を90%は信用していた。マスコミを1割ほど信用できなかったのは、自分が通った中学が不良の多い問題校と新聞に書かれ、記事内容と実際の違いに驚いたことによる。
会社に入ってイランの石油化学建設プロジェクトに参加した。バンダルシャプールの建設現場に、時折、日本から特派員がやってきた。雑談するときはそんなに変った人とは思えなかったが、記事を見てびっくりということが何度かあった。どうすればこのような内容になるのか。この記者は幼少時、親から受けた虐待がトラウマとして残って、こんないい加減な記事を書くようになったのか。
新聞も商売だから多少のトバシはあるだろう、載せてもらえなければ記者の存在価値がないしな、と多少の同情はした。知人、友人に新聞記者がいたから、あいつか同程度の人間がやっているんならこんなものかと冷めた気持もあった。
自分が学生の頃、松岡英夫という政治評論家がいてサンデー毎日などに健筆を揮っていた。毎日新聞の前身、東京日々の元記者、東京日々と言えば、戦前は読売など足元にも及ばないクオリティ・ペーパーだった。新聞社に入ったのに会社は給料を呉れない。どうしてですかと先輩に聞いたら、「お前、東京日々記者の名刺を持っているだろう」という。要するに企業を回ってこの名刺を出せばいくばくかの金子が渡される。昭和の初めにおける新聞記者の地位とはそんなものだったのだろう。俗に、三者と言って芸者、役者、記者には家を貸すな、と言われていた。
まともな稼業でないから家賃が滞る恐れがあったからだ。テレビが電波芸者と言われるのはやはりこの流れをくんでいるのだろうか。NHK職員一人当たりの平均年収は1700万円と言うし、在京各局も社員の給料は高いというから家賃くらい払えると思うが。
■それは本質的な問題ではない
あまりマスコミを信用していない自分であるが、朝日やNHKには日本の一流大学の卒業生が入社してくるのだから、その辺の週刊誌とは格が違うのでは、と思っていた。
インテリが作って、ヤクザが売り、バカが読む、と言われているが、少なくとも知性ある人が書いているのだろうと思っていた。
でも今回の慰安婦問題検証では悪知恵はあっても、捏造、誤報を詫びる誠実さに欠けている。吉田証言を引用した部分について取り消します、と言いながら強制連行はありませんでしたとはっきり言っていない。強制連行があったかどうかは問題ではなく、慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのだそうだ。卑怯である。問題をすり替えて責任逃れをしている。
もし自分が年金庁を騙して、人より多い年金を受給していたとする。それがバレた場合、「年金を多く受け取っていたということは問題ではなく、少ない年金で暮らさなければならない年寄りがいるという現実がこの問題の本質です」と言ったら、過剰支給額は返済しなくていいのか。カンニングが見つかった受験生が「カンニングは本質的な問題ではありません。人をふるい分けようという非人道的な試験制度に問題の本質があるのです」と言ったら合格させてもらえるのか。
■どうしてくれる
社会の木鐸、日本を代表する高級紙というなら、「五省」の初めの二つだけでも読んで胸に手を当てて考えてほしい。
一、至誠に悖（もと）るなかりしか 〔誠実さや真心、人の道に背くところはなかっか〕
二、言行に恥づるなかりしか〔発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか〕
多くの人が指摘しているように、朝日は世界に日本軍が性奴隷20万人を強制連行したという捏造記事を発信し、30年以上にわたって日本と日本人を貶めた。その罪は重い。NHKをはじめ、テレビ各局では朝日による検証結果の報道はあまりなかったと聞く。この問題を全く無視した地方紙もあるそうだ。マスコミはグルか。
朝日国際版には検証結果が掲載されていないそうだから、世界の人は20万人の強制連行、性奴隷の話を信じたままだ。こんなことになったのは30年以上、朝日の捏造記事を正さなかった歴代政府にも責任がある。正しい歴史を各国語に訳し、朝日と共に外務省は訂正行脚に出かけてほしい。
写真は雨上がりの花、団地内で撮ったものです。慰安婦問題など考えるより花を眺めているほうが精神衛生上いいと分かっているのですが。
