チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

原稿の書き方

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

原稿の書き方

■阿比留記者のファン
阿比留 瑠比(あびる るい)という産経新聞社の記者がいる。政治部編集委員。「極言御免」の署名記事で知られる名物記者だ。自分はこの方こそジャーナリストの鏡とひそかに尊敬している。民主党政権時代は無力感に駆られながらも政権批判をしてきた。管元首相や仙谷元官房長官には名指しで非難された。

逆に、朝日新聞慰安婦問題に関する検証記事を掲載し、『「済州島で連行」証言 裏付け得られず虚偽と判断』とし、吉田清治に関する記事(少なくとも16本)を取り消した際には 橋下徹に「あの阿比留瑠比さん。もうあの方の力なんでしょうね。まぁ、あれだけしつこくしつこく、事実に基づいて報道してああいう風になれば、朝日新聞も、もう逃げられなくなったんじゃないですか」と評価された。

阿比留さんは、新聞に書けなかったこと、個人的感想などをフェイスブックにアップしている。自分もどういうわけか、彼の5千人近い「お友達」の一人に加えてもらっている。自由に何でも書けるFBには彼の人間らしさが横溢していて、更に親しみを感じている。

■大記者でも原稿書きに苦労する
文章を書く職業、つまり新聞記者なら誰でもすらすら原稿が書ける、と思ったが、阿比留さんのボヤキを読むとそうでもないようだ。以下、彼のFBからの引用。

無能者が原稿を書くということ。本来、書きたいこと、書くべきことが頭にあって、それを原稿という形にするのが常道でしょうが、ノルマとして割り当てられることもあるので、そう理想通りにはいきません。ありていに言えば、締め切り当日にノーアイデアということも、しばしばあります。

 で、そういうときはどうしているかというと、私の場合、いったん原稿を脇に置いてスクラップを始めます。弊紙と他紙の必要な記事をゆっくり再読しながら切り抜き、大学ノートに貼っていく過程で、いくつか「これは書けるかな」というアイデアが浮かび、さらにスクラップを続けているうちに、書きだしはこれでいこうと思いつきます。スクラップという作業が、私の場合、どうやら脳に刺激を与えてくれるようです。

 実はこの時点ではまだ、全体像とかオチとかを考えついていることは少なく、第一段落を書き、第二段落へとつなげていくうちに、だんだんスペースの都合もあって書く内容が決まっていく、という感じです。

 他の記者はどうしているか知りませんが、私はいつも綱渡り、ぎりぎりのところで何とかマス目を埋めているのでした。それこそ、何のオチもないつまらない楽屋話ですみません。いまさっき一本、原稿を出してほっとしたので、ついどうでもいいことを記してしまいました。(引用終わり)

■更に無能な自分の場合
阿比留さんは自らを「無能者」と卑下されているが、朝日や毎日では決してお目にかかれない大記者、国を愛するジャーナリストだ。そんな阿比留さんに比ぶべきもないが、締切当日にノーアイデアは当方も同じ。阿比留さんはスクラップという作業を通じて、書き出しとかアイデアを得るという。

自分の場合、どうしようかな、と思いながらもフリーセルというゲームを始める。いくつかクリアするうちに、アイデアが湧けばいいのだが、頭の中はトランプの札が飛び交っている。1800字も書くなんて自分の能力を超えている、だめな人間だ、と自己嫌悪だけが募る。

それでも気を取り直して、ネットで、へー、とかスゴイ!とか思った記事をコピペしてあるページを読む。まとまりのない記事を眺めているうちに、書き出しのアイデアが出てくることがある。また「社会実情データ図録」もアイデア発見の糸口になる。この図録には、神についての考えの国際比較、世界各国のコーヒー消費、老親の世話は誰がすべきか(国際比較)、江戸の人口分布と商業分布、未婚者のセックス体験率の推移など、種々雑多な統計が収録されている。問題はそういった統計に興じて原稿を書く時間が無くなってしまうことである。

■複雑な気持ち
学者でも独創的なことを発表せず、これまでの学説や歴史をかいつまんで話すだけの学者がいる。日本で経済学を教えている先生の9割以上はこのタイプ。世の中にはこういうコピペ学者も必要。自分だって窮余の策としてコピペで原稿を仕上げることがある。もちろん阿比留さんは職業倫理としてコピペなどしない。
自分としても、和辻が、マキャベリが、阿比留記者が、という書き出しの原稿は恥ずかしいと思う。でも無い知恵を絞って書くオリジナル旅行記より、コピペ原稿のほうが「いいね」や読者数が多い傾向がある。複雑な気持ちである。



写真は山道のドライブから