チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラオス、アカ族の村を訪ねる 6

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ラオス、アカ族の村を訪ねる(6)

■最初のアカ村
ムン2日目の朝は曇り、前夜に雨が少し降った。この日はトレッキングで2つのアカ村を訪ねるという。コースについてはリー君がGHのオーナーから地図を書いてもらっていた。

9時半にGHを出発。アランとリー君は登山靴、自分ははサンダル。トレッキングといっても未舗装の国道を歩くだけであるからサンダルでも問題はない。ラテライトの赤い道は昨日の雨でしっとりとして、歩きやすい。右手には刈り入れを待つばかりの稲田が広がっている。国道といっても交通量はほとんどゼロだ。静かなのでかなり遠くを走るバイクのエンジン音が聞こえてくる。聞こえれば少し道をあける。

40分ほど国道を登るとポンサバンというアカ村に着いた。国道の上と下に50戸ほどの家が点在している。もう10時過ぎだから、みんな農作業に出払ったあとだ。この時間、家にいるのは幼児や留守番の老人だけ。閑散としている。

テラスを持つ高床式、入母屋造りの典型的なアカ家屋が多い。壁も屋根も竹で葺いてある。竹が一番安く手に入る建築資材なのだろう。傾いた家もある。
チェンライのアカ村だと、タイ風の新築家屋があったり、軒先にバイクや中古トラックなどがあって、それで貧富の差が見て取れるのだが、ポンサバンの村の家々はほぼ同じ作り、バイクも車も見当たらない。村全体がおしなべて貧しいという感じがする。幼児がところどころにいてこちらをじっと見ている。4歳くらいの女の子がいたので、カメラを向けたら火が付いたように泣きだした。

■作りたてのラオカオを入手
被写体を求めて国道を下りて村の中を行く。ドロドロの赤土がサンダルにくっついて歩きにくい。
とある家の軒先でおばさんがラオカオの蒸留をしていた。インドシナ蒸留酒の歴史は古い。10世紀ごろシャムの「透明な酒」が北宋に輸出されていたという記録がある。中国で蒸留酒が一般的になったのは13世紀の元の時代というし、ヨーロッパでウィスキーやウォッカが飲まれるようになったのは11世紀、十字軍の頃だ。

ラオカオの作り方はいたって簡単だ。もち米で天然の黒麹をつけた乾燥麹を作る。これに蒸し米、水を混ぜて発酵させる。濁酒が入った壺、臼をタライのお湯に入れる。容器の上に水を張った土鍋を載せる。濁酒が温められ、蒸発したアルコールが土鍋の底で冷やされて液体となる。その液体をパイプに引く。

アカのおばさんは10世紀以上前と全く同じ製法でラオカオを作っている。竹筒から細く透明な液体が流れ落ちている。芳香が辺りに漂う。グラスに一杯味見させてくれたがまさに生命の水、頼んでミネラルウォーターの小瓶に一本、出来立ての酒を分けてもらった。200円という。前の晩、ムンの町で買ったウィスキーの瓶に入ったラオカオが150円だから値段は倍以上だが、味は比べ物にならない。
おばさんはアカ族特有の帽子をかぶっており、アランが「はい、笑って」などと20分近く写真を撮りまくっていたから、モデル料も含まれていたのかもしれない。だが決して高い買い物ではなかったと思う。

■村の学校で
さらに坂道を下ると小学校があった。ちょうど休み時間らしく、子供たちが庭に出ている。あっ、外人だ、と子供たちに取り囲まれた。先生がこの学校には110人のアカの子供と5人の先生がいます、と説明してくれた。3,4年生の子供が20人ほどいる教室に案内された。リー君の通訳で自己紹介、子供たちが歓迎のしるしに手拍子でアカの歌を歌ってくれた。アカペラとはここからきているのか。
答礼としてアランに歌を、と子供や先生が頼むのだがアランは歌わない。代わりに自分が炭坑節を歌った。子供達はこちらが歌う前から手拍子を打っているので、「君が代」とか「四季の歌」ではずっこけると思ったからだ。炭坑節より「松の木小唄」や「お富さん」のほうが受けたかもしれない。

■2つ目のアカ村パガン
子供たちに見送られ、小学校を後にした。さらに国道を登って30分、2つ目のアカ村パガンに着いた。赤ん坊をおんぶしたおじさんが戸数33、村民210人、農業の村と教えてくれた。村の雑貨屋でお湯を沸かしてもらい、縁台に腰掛けてインスタントラーメンだけの食事、3人で180円。食べている様子を子供たちが遠巻きにして眺めている。はだしでボロをきた子が多い。アランが立ちあがって子供たちのほうへ行ったら、それこそ蜘蛛の子を散らすように子供たち逃げて行ってしまった。リー君と自分だけなら彼らにとって違和感はないのだろうが、やはりファランは警戒されるようだ。(続く)


写真はアカ村でのスナップ。