チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラオス、アカ族の村を訪ねる 13

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ラオス、アカ族の村を訪ねる(13)

■ 3日目はラフ族の村へ
ムアンムン2日目はパヤンルアン村で子供たちの歓迎を受け、ジョンジェン村に行く途中から悪路に悩まされ、3度も転倒しながら何とか暗くなる前にGHにたどり着いた。怪我はしなかったが、ベッドで寝がえりを打とうとすると肋骨に痛みが走る。イテテ、これではテニスができなくなるじゃないか、と思ったが、足首を骨折して本当にテニスができなくなるのはこの時から1月後の話。

3 日目は朝からいい天気だった。この日はムアンムンからフエサイ方面に国道を戻り、沿線にあるアカ族、ラフ族の村を訪ねることになった。バイクは使わずトレッキング。9時にGHを出発。歩き始めて15分もするとバンホエタックという村に着いた。この村はラフ族の村のようだ。
道路から村に入り込む。高床式の家が点在している。どの家も竹で壁、床、屋根を葺いてある。どの家もおしなべて質素である。チェンライの山岳民族の村に行くと、スレート屋根や草葺き屋根の家が混在していて、一つの村に金持ちとそうでない家の区別があるのだが、ラオスでは金持ちと分かる家はなく、皆、平均的に貧しいといった感じの家が建ち並ぶ。

ある家の軒先で、男がフイゴで火を起こし、鉄棒を真っ赤に焼いていた。鉄棒はコンクリの柱の強度を高めるのに用いられる鉄筋のロッドだ。木炭に空気を強制的に送り込んでその高熱で鉄棒を真っ赤に熱する。赤くなったところにナイフを当て、金槌でたたき切る。その鉄片をさらに熱して金槌でたたいて伸ばしていく。小型ナイフを作っているようだが、鉄筋が材料ではそれほど切れ味は期待できないのではないか。
アランは早速、この鍛冶屋の写真を撮り始める。男はさほど迷惑そうでもなくポーズに応じている。それを村の子供たちが取り囲んでみている。

■虎を狩る人
ある家の庭先に男たちが数人かたまって何やら作業していた。我々3人連れにびっくりしたようであるが、何をしているのか見せてくれた。弓矢の矢を作っている。矢は竹を鋭く尖らしたもので矢羽には鳥の羽根の代わりに薄く削った竹のプレートを使っている。

アランが、本当に竹は便利だよな、床も壁も屋根も武器も作れるし、それに食べられる、と感心している。湯のみにもなるし、細く削れば丈夫な紐にもなる。アトゥのお父さんのお棺を縛ったのは竹の紐だった。

弓はボーガン方式の弓だった。リー君が渾身の力で引いてやっと弦を引き金近くの溝に嵌めることができた。銃身の上に矢を置く。弓を両手で抱え、引き金に指をかける。引き金は溝に引っ掛けた弦を押し上げる。弦が溝から外れた瞬間に銃身の上に置かれた矢が弦に弾かれて飛んでいく。

遊びの道具ではない。殺傷能力のある立派な武器だ。男たちは自分があまりにも感心しているので気を良くして、5mほど先の土の上に15センチほどの葉っぱを立て掛けた。竹塀の先に人がいないことを確かめると、男が無造作に弓を構えて的を狙った。鋭い音がした瞬間、矢は葉っぱの真ん中を射抜いていた。これはすごい。男は次に5センチほどの葉っぱを5mの距離から射抜いた。こりゃ神業だ。

ラフとは「勇気ある人」の意味だ。タイ語ではラフ族を「ムソー」と呼ぶがこれは「狩りをする人」の意味だ。中国人はラフ族を「虎を狩る人」と呼んでいる。リー君の話ではこの弓で野鳥はもちろん、猪、サル、シカなどをを倒すそうだ。虎を狩るのも十分可能だろう。

■撮影料は当たり前
矢作りのおじさんたちにお礼を言って、次の村、フエタンヤーイに行く。どこの村にも必ず1軒間口の小間物屋がある。アランはミネラルウォータを探していたが、ジュースやファンタはあっても水を売っている店がない。水を買う人がいないのだろう。日本で瓶入りの水を飲むようになったのは1980年代からだ。
ある店でやっとポリ瓶入りの水を買ってそこで一休みした。

この村に外人は来るかい、と店のおばさんに聞くと、バスに乗ってやってきて写真を撮って帰るよ、とのこと。ラフ族の民族衣装を着てあげてもいいけど、5万キップ(500円)出しな、という。ラフ族の衣装も美しいが、500円とはぼりすぎだ。こんな片田舎にまで金持ちのファランが来て、結果的に村人をスポイルしているのだろう。

アランはアカ族なら100円位の撮影料を出すのであるが、ラフ族には500円も出す気はないようで自分とおばさんの会話を黙って聞いていた。

この日の夜は一転、大雨となった。ムンには7つのアカ村があると聞いていたが、大半は回った。ムンには4泊し、4日目の朝、フエサイに戻ることにした。フエサイから次の目的地、ウドンムサイを目指す。


「ラフ族の家」「村の鍛冶屋」「ラフのボーガン」「葉の真ん中を射抜く」「ラオカオの黒麹」「ラフの子」