チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラオス、アカ族の村を訪ねる 5

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

ラオス、アカ族の村を訪ねる(5)

■ムンの宿
ひなびた町である。フエサイからの国道が二股に分かれていて、二つの道路に沿って家が並んでいる。道は1キロくらい先で1本になり山へ続いている。10分も歩けば町はずれに出てしまう。食堂が2,3軒、荒物屋もある。飲み屋はないが、西部劇に出てくる開拓時代の町みたいな雰囲気がある。
ゲストハウスが2軒あった。ちょうどムン郡のお役人の集まりがあり、1軒は満室、そこよりちょっと古いGH は2室のみ空きがあるという。値段は1泊500円だ。アランは3,4日泊まるのだから、1泊300円に負けろ、と交渉していたが、足元を見られたのか不調に終わる。宿賃は宿を出る時に支払う、と決めたのがせいぜい。

安い宿は概ね、前払いを要求される。それが普通だと思っていたが、強硬に言えば後払いでもいいみたいだ。先に払ってしまったら何かあった時にもめる、アランの言うことはもっともだ。

部屋はベッド、机、椅子、トイレ付。シャワーはなく、便器の横に大きなバケツがあり、ここに貯めた水で用をたす。ラオスもここまで北に上がってくると、朝夕はヤッケが必要なほど冷える。水浴びは日中でなければ、水垢離修行と言っていいほど厳しい。

この宿、インタフォン・ゲストハウスには先客がいた。まだ日が高いというのにロビーでゴロゴロ寝転がって酒を飲んでいる。上半身裸の男もいたから中国人と分かる。このあたり、中国のテレビ放送が入るから中国の活劇を見ている。この数人の中国人は、我々の滞在中、朝から晩までずっとテレビの前に寝そべっていた。ちょうど中国共産党全国代表大会が開かれている時期で、新しく選出された常任委員の顔ぶれが紹介されていた。でも彼らは政治向きのことには興味がないようで、党大会の映像が出ると、中国任侠モノにチャンネルを切り替える。

一体、何をしにラオスに来ているのか。

ラオスと中国
中国にとってラオスは国境を接する国である。アメリカはもちろん、ソ連の影響下にあることも好ましくない。中国は1950年代のラオス解放闘争のころ、ラオスを援助してきた。その後、ラオス社会主義国イデオロギー対立からソ連側につき、中国の干渉を嫌っていた。ところが、ソ連が1989年に崩壊し、1970年代には援助総額の大半を担っていたソ連からの援助がゼロとなった。この機に乗じて中国のラオス援助漬けが始まった。ラオスの人口は600万ほどであり、市場としての魅力はないが、インド洋へのルート確保、メコン川流域開発、国境沿いの治安維持等、中国にとって国際的重要拠点である。また、ラオスには未開発のボーキサイト、金、銅などの豊富な鉱物資源がある。中国は援助の見返りとして活発な天然資源開発投資を行っている。

2009年にラオスは東南アジア競技大会を開催したが、メインスタジアムの建設は中国の資本、労働者によって建設された。競技場建設とセットになっているのがビエンチャンの新都市開発事業である。中国企業ラオス政府より50年(75年に延長可能)の運営権を得て、1600ヘクタールの土地を得た。中国企業は広大な開発地域から得られる運営費で、スタジアムや新都市の建設費を回収する。建設工事のために5万人の中国人労働者がラオス国内に流入することはラオス国内でも論議を呼んだという。

■まずはビヤラオで
GHにいる中国人は道路建設の労働者で、まだ建設機材が来ないので待機しているそうです、とリー君が教えてくれた。リー君は中国語も話す。この日の晩飯はトムヤンガイ(鶏の激辛スープ)。
タイ料理でやめてほしいのはレモングラスとかミカンの葉など、食えないものが一緒に出てくることだ。そういえば日本人はトムヤンクンに入っているレモングラスをガシガシ噛んで食べようとしますね、とリー君が笑う。彼はいろいろな外人観光客のガイドをしているようだ。

中国人の団体さんのガイドは楽です、という。朝、料理を数皿並べ、とにかく飲み食いさせる。たらふく食べるとその日の観光予定はすべてキャンセルになるのだそうだ。夜になると女を調達して来い、と札びらを切る。扱いやすいとのこと。

ラオスは中国と対等な国ではない。アランはリパブリック・オブ・チャイナ・ラオスと国名を変えたらどうか、という。中国ラオス自治区と言い換えてもいい。
実はリー君もアランも大の中国嫌い、ムン最初の夜は、中国問題で盛り上がった。(続く)

ごあいさつ
遅ればせながら明けましておめでとうございます。新年にあたり、皆様のご健勝、ご多幸を心からお祈り申し上げます。松葉杖と共に迎えた正月で、めでたさも中ぐらいですが、本年もよろしくご教導のほどお願い申し上げます。

写真は「入口」「ゲストハウス」「ムンの道」