チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ラフ広域ダンス大会

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ラフ広域ダンス大会

■ラフのダンス大会に行く
Hさんのお宅に招かれて、鄙びた、昔ながらの村のラフ踊りを体験した。ほぼ暗闇の中での踊りは村人のホスピタリティと相まって忘れがたいものであった。(写真一番上がHさんご夫婦)

タイに同化されていく山岳民族ではあるが、その一方でラフ族の伝統を維持し、民族の誇りを高めようという動きもある。その一つとして、近県のラフ族が一堂に会して一大ダンスコンテストが開かれるという。ラフ正月であるから学業や仕事で都会に出ている若い人もラフの盛装でたくさん来るという。もちろん行くことにした。

会場となるブゥカイ村はチェンライ市内から15キロ、パーラートの滝があるポーンプラ森林公園近くにある。自宅から会場となるブゥカイ村までバイクで30分ちょっとの距離だ。山岳民族が皆、人里離れた僻地に住んでいるかというとそうでもない。森林公園の手前の道を右に入り、山を登っていく。500mも行かないうちに、なにやらにぎやかになってきて、ラフ衣装の人たちでいっぱいになってきた。ラフの正装に身を固めたHさん夫婦をすぐ見つけることができた。日本人会の仲間も2人いた。

この日のダンス大会に集まるラフ族はラフニというグループだけだという。ラフ族の中ではラフニが全体の半数を占める。ラフニのほかラフナ、ラフシ、ラフプッ、ラフシェレなど多くのグループに分かれる。数え方によってはラフ族は50部族を超えるという。Hさんの村にはラフナやラフシから嫁いできた女性がいるというが、ラフ族は女系社会と聞いている。通婚の状況を調べていくだけでも部族間の上下関係が分かって面白いのではないかと思う。

■県知事も参加
そうこうするうちに狭い山道に盛装したラフ女性たちが2列に並び始めた。以前、アカ族のダンス大会と同じでこの列の間をハイランクの人が通るのだろう。そのうち歓声と拍手の中を中年の夫婦がにこやかに山道を上がってきた。両側のラフ少女から米や花びらを振りかけてもらっている。別に新婚さんではない。この二人はチェンライ県知事ご夫妻である。奥さんが県知事、亭主はクリントン役か。市内の看板でよくお目に掛る。
県知事は広場から一段高い民家のテラスに立ち、村ごとに整列した約100名のラフを前に挨拶、我々日本人は列の外で聞いていたのだが、知事はここに日本人の方も多数来られているようです、このお祭りが益々盛んになって外国からたくさんの観光客を呼び込めるようにしましょう、などとアドリブを飛ばしていた。

■ダンスは続く
広場にしつらえられたコチェを中心に時計回りに踊りが始まる。ラフの踊りはあまり手を動かさない。また腰を折ったり曲げたりもしない。笙、太鼓、シンバルの単調な音に合わせてステップを踏むだけだ。ステップといっても足を高く上げるようなことはなく、石けり程度に爪先を蹴りだす程度。
「ノッ」と呼ばれる笙の笛は瓢箪と長短の竹を組み合わせた民族楽器。ノッを吹くのは男性に限られているようだ。彼の後ろに太鼓、シンバルの女性、そのあとに12,3人の女性が続く。彼女らは先頭の男性の足にいつも注目している。ステップには32通りの踏み方があり、ステップを巧みに変えながら踊りが進む。そのステップ指令を出しているのが先頭の男性だ。笙の笛の男性がいない場合は先頭で太鼓をたたく女性が踊りの主導権をとる。

ひとしきり踊ると別の村のグループが一列に山道を上がってきて、広場に入ってくる。コチェを回りながらグループが入れ替わっていく。踊りは神様に奉納するものではあるが、日本の神楽やバリ島のレゴンダンス、あるいはインド東部のオリッシーは踊りにドラマ性があり、それなりに面白い。しかしラフの舞踊にはドラマ性はなく、単調で、どの村の踊りもあまり変わり映えしないように思われた。何度か見るうちにステップの踏み替えの妙、技巧にはまっていくのかもしれないが。

踊り手は皆、ラフの民族衣装であるが、中に髪を茶色に染め、ハイヒールを履いて踊っている娘さんがいる。Hさんの話では都会にマッサージ師として出稼ぎに出ている女性だという。「まあその稼ぎで親に家を立ててあげているのですから・・・」と口を濁していた。Hさんの村ではエイズで死ぬ女性が年間1,2名いるという。スッピンのラフ女性に交じって、アイシャドウの濃い彼女は踊りの輪でひときわ目立つ。見詰めていたら、挑戦するような鋭い眼差しを向けてきた。あわてて目をそらしてしまうのは我ながら意気地がない。

写真はラフ族のダンス大会の様子