チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タイ日本友好記念館(その2)

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タイ日本友好記念館(その2)

チェンマイからメーホーソンは直線距離で100キロほどであるが、陸路ではメーマライ、パイを経由して行く北回りの道で245キロ、メーサリンを通る南回りの道で345キロである。1日数本のバスが出ている。どちらのルートを辿っても8時間かかるとガイドブックに書いてある。北部タイは山岳地帯で、メーホーソン、チェンライ両県には2千メートル級の山々がある。これを乗り越えていくから道は急カーブの連続だ。崖崩れの心配があるので、雨期に車で行くことは避けたほうが良いとのこと。

通常、クンユアムを訪れる人は飛行機でメーホーソンに飛ぶ。チェンマイからだと飛行時間35分。そこから車で1時間半かけてクンユアムに行く。チェンマイから車で行く人が少ないのは時間がかかるだけでなく、それだけ危険ということであろうか。陸路で行くことに拘ったのは、この道路を作ったのが日本軍であり、またインパール作戦に破れた日本軍が敗走し、飢え、アメーバ赤痢マラリアなどで亡くなった兵士の遺体で埋め尽くされたという道路だからだ。チェンライ、チェンマイ県で戦病死した日本兵は7千人から1万人といわれている。この道路を日本兵は「白骨街道」と呼んだ。

まず、チェンマイでSさんと落ち合い、そこで一泊、翌朝早めに出発して、午後にメーホーソンに到着し、クンユアムの博物館を見学して、メーホーソン泊まり、3日目はゆっくりチェンマイに戻り、無理せずチェンマイに一泊して、翌朝チェンライに戻る、という3泊4日の日程をたてた。兄と二人で3日、家をあけることになるが、女中さんもここ3ヶ月、同じメンバーで定着しており、また母の病状も安定しているので、心配はなさそうだ。被介護者だけでなく、介護者の生活充実も可能であるところが介護ロングステイのいいところだろう。

ところで、現在、世界に君主制の国家は28カ国ある。このうち、人口1億2千万の我が国は、世界最大・最古の君主国であるが、それに次ぐのが、タイ(6338万人)、英国(6098万人)である。日本とタイとはアジア地域で、植民地とならず、君主制を維持し得た、たった二つの国である。幕末から20世紀初頭にかけて、欧米帝国主義の猛威はとどまるところを知らず、アジアの諸地域は次々と植民地化されていった。
1819 シンガポール(イギリス)
1826~86 ビルマ(イギリス)
1862~84 ベトナム(フランス)
1863 カンボジア(フランス)
1898 フィリッピンアメリカ)
1909 マレー(イギリス)
タイは、東のベトナムから攻め寄るフランス、西のビルマ、および南のマレー半島から忍び寄るイギリスのちょうど中間に位置した。英仏両国は、直接対立を避けるために、タイを緩衝国家(バッファー・ステイト)として、手を出さないでおこうという取り決めを交わした。これはタイにとって非常な幸運であった。しかし、フランスは東から、イギリスは南から領土の蚕食を続ける。領土を失いながらも、タイが独立を維持できたのは、名君ラーマ5世のもと、国民が一致して団結してきたからだろう。

タイは欧米植民地主義に対して、ともに戦ってきたという立場から、日本の行動に対して、欧米諸国とは異なった見方をした。満州建国で、真っ先に満州国を承認したのは、タイであった。その後も、タイ政府は国際連盟の日本非難決議に唯一棄権をして世界を驚かせた。大東亜戦争勃発後、米英はタイが日本と同盟したというので、タイの地方都市の空襲を始めた。そこでタイ政府は、昭和17年1月25日、米英両国に宣戦布告し、日本の盟友として大東亜戦争を戦うことになった。そう、タイは日本と共に戦ったのだ。インパールから敗走した兵士がタイを目指したのはこういった理由からだ。

開戦直後、日本軍はタイにはいり、ビルマに続く道路や鉄道を建設し始めた。これにはタイ政府はじめ現地の人々の協力なしではできなかったことである。開戦後、日本が、マレー、シンガポール、フィリピン、インドネシアビルマを瞬く間に支配下に入れることができたのも現地の人々の協力があってのことだ。日本の東南アジア進出は現地人に歓迎されたのである。

泰緬鉄道やこのメーホーソンへの道路建設を、「強制労働」による「デスロード(死の道)」と書いている本がある。歴史は勝者によって書かれるから反論はしない。しかし、クンユアムの博物館のように静かに慈しみと友情を持って日本の兵士を見てくれる施設があることを我々日本人は知っておくべきだろう。(続く、参考資料は最終回に書きます)

画像は今が盛りのドラゴンフルーツ。
サボテンのような葉っぱの先に実がくっついて大きくなります。
1つ20円くらい。