チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

住宅事情

住宅事情

SVは勤め先が違うし、単独行動だから邦人との付き合いを避けようと思えばそれは可能である。フォーマルにはJICA事務所に月に一回、SV会と称して集合し、情報交換会を行う。それとは別に、川魚のフライが食べられるレストランやウズベク人に教えてもらった美味しいシャシリークの店とかに集合して、時には隊員、専門家を交えて親睦を深めている。オレは日本人とは付き合わないというような人はおらず、会食して楽しい人ばかりだ。そういった集まりで話題になることの一つが住環境の問題だ。

最近は寒さのせいか、停電が多い。長くても1,2時間で復旧するのであるが、パソコンのバッテリーはいつ切れるか分からないし、夕食後であればもう布団をかぶって寝るしかない。バンク・カレッジでもよく停電する。先日、研究室で授業の資料を書いていたら、停電のために1時間の労働が無になってしまった。通電後、気を取り直して再度PCに向かっていたら、また画面が真っ暗になって、30分の労働が無駄になった。2度あることは3度あるというが、3度目の停電の時はある程度セーブをかけていたので、おー、やったね、という気分になることができた。学校の停電の理由は、学校が電気会社にお金を払っていないからだ、と通訳が言っていたが本当だろうか。

停電は、地区によって回数や時間がちがう。日本人の多く住む高級住宅地、オイベックあたりは停電が少ないと聞く。自分の住んでいる旧市街、庶民の街チョルス方面は停電回数が多いような気がする。昨年、ナボイ劇場に週5回通ったことがあるが、あの時は夕方になると停電し、何時に復旧するかわからない。真暗闇でやることもないし、仕方ないのでバレエやオペラを見に行っていたというだけである。どういうわけか劇場が停電することはない。

水漏れはみなが盛り上がる話題の一つだ。多くのアパートは旧ソ連時代の上水道配管となっているが、鉄管の質が悪いのかそれが今、腐食する年代に差し掛かっているらしい。突然、天井から水が降ってきて床は大洪水という場合もあるし、染み出してきた水を吸った天井が2メートル四方にわたって落っこちてきたという人もいる。階下に住む人が深夜怒鳴り込んでくることもある。自分も一階下の住人と大家に午前2時に叩き起こされたことがある。水が天井から漏れてきているが、風呂の水の出し忘れではないかとのクレーム。まさに寝耳に水の話だ。住人と大家が室内を点検してバツの悪そうな顔で引き上げた。

あるSVは漏水が壁を伝って、それが電気系統に影響して、ブレーカーが落ちてしまった。電気、配管の修理屋がきたが、そのうち乾燥すれば直るでしょう、とのことで何もしてもらえず一週間電気の使えない日が続いたそうだ。困るのは冷蔵庫の中身だが、単身でそれ程も影響はなかったらしい。こちらは220ボルトだから、水漏れが感電死に繋がる可能性もある。

今年の冬は20年来の寒波、ウズベク人もびっくりするくらいの寒さだった。我々の入っているアパートはスチーム暖房、窓は2重窓となっている。暖かいはずであるが、零下20度となるとスチーム暖房がいくら頑張っても寒さに追いつかない。2重のガラス窓といっても窓と壁には隙間があって外気が入り込んでくる。一般に家の造りはいい加減だ。カレッジの教室では先生が生徒に命じて、窓と壁の隙間に棉を詰めさせていた。北向きの教室はスチームが入っていても寒く、生徒は全員、部厚いコートを着たまま授業を受ける。教師たるもの、余りみっともない格好はできないとこっちはコートを脱ぎ、背広で授業を行ったがしんしんとする寒さのため、鼻水が出てきてしまった。

下水が溢れる、お湯が出なくて風呂に入れない、逆に水が出なくて熱湯だけ出てくる、、ガスの火力が弱くて、スパゲティを食べるのに1時間かかる、とか怨嗟の声は尽きないのだが、それぞれの体験を持ち寄って対策を練る。大家に温熱ヒーターを買ってもらえ、どこそこのプールに行けば温水シャワーが使える、ポリビンに湯冷ましを大量に用意するのは常識などと対応策が次々と出てくる。

でも一番いいのはそこ、引っ越したらどうですか、ということになる。こちらは敷金、礼金無しだし、荷物も少ないから引越しは簡単だ。3-6ヶ月毎に引越しを繰り返したという人もいるが、一般的に日本人は引越しに億劫なようだ。それにEUの経済制裁も一部緩和され、米国との関係も好転の兆しがあり、外国人が増えるとの予想から賃貸アパートの大家は強気なっている。またインフレの影響もあって賃貸料は上昇傾向だ。やはり、値上げ通告で追い出されない限り、皆、対応策を取って今の場所に住み続けるのだろう。