チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

教育と起業

教育と起業

「熟練労働者輩出における問題点と展望」というビジネスフォーラムがタシケントのデデマンホテルで開催された。主催はブリティッシュ・カウンシル、ウズベク商工会議所、国連開発計画などである。

このセミナーの目的は
ウズベクの私企業における高度熟練労働力の重要性を訴える
・ 私企業とビジネス教育部門が抱えるギャップについての意見交換
・ よりよいビジネス教育機関構想についての議論を深める
・ 私企業とビジネス教育機関のあるべき姿について英国事例の紹介
といったものだった。

英国はウズベキスタンに、教育関係でかなりの援助をしている。英語で授業を行うウエストミンスター大学ウズベク分校は、英語で経営がを学べる教育機関としてウズベクで一番評価が高い大学だ。2週間、あるいは1月程度の学生、ビジネスマンを対象とした短期留学制度も充実している。このセミナーにはウズベキスタンの経済閣僚や英国大使も参加し、この国の人材育成に対する両国の意気込みを感じさせるものだった。

こういった催しの案内をJICAから頂くのであるが、ウズベクの国情を知る上で有益な情報が豊富に得られるという点で実に有難い。今回はSV仲間のOさんと自分、それに通訳のナフォサットがJICA経由で参加した。デデマンホテルについてみるとクロークに長い列ができている。結構大きなセミナーであるし、コートを預けるクロークの混雑は予め予想されたはずだが、クロークでは係員が一人だけでゆったりと業務をこなしている。熟練労働者を増やす相談も大切だが、単純労働者でもいいからTPOを考えた人員の機動的配置をして欲しいものだと思う。長い列ができていると必ず、割り込む人が出てくる。2,3番目のオバサンが後ろの知り合いに、ホラ、ここに入んなさいよ、アラ、悪いわね、といった具合だ。それに対しクレームをする人が出てこないのも不思議なことだ。

ホテルの大広間にはステージに対してコの字型に机が並べられている。70-80人は座れるだろう。国際会議らしく机の上にはマイクと同時通訳のレシーバーが置かれていた。机の後ろはイス席になっていて、その他大勢の参加者が座れるようになっている。この席にナフォサットと座っていたら、係員が来てJICAの立て札があるテーブル席に座れという。こちらはJICAを代表して参加しているわけではないので、係員に発言を求められることはないんでしょうね、と念押ししてOさんとその席に座った。

会議はまず200名くらいの従業員を抱える企業の人事担当者が、いかに企業が資格を持つ人材を欲しているか、という説明を行った。いわく、マーケッティング、流通、技術関連のプログラムが必要だ、もっと実業に根ざした高度技術教育システムが必要だ、まずは大学と起業との関係強化が望まれる、等々・・

次にいくつかの大学、大学院からビジネス教育の実態が報告された。大学、大学院ではグローバル社会に通用するウズベキスタンのビジネスリーダーを育てているとののことである。しかし説明は就職先一覧やコンピュータ実技の内容(学生はインターネットを使うことができますとか)など、こんなものかなあ、という感じだ。痛ましく思ったのは、ある大学の図書館にはビジネスに関する書籍が何と3000冊以上あります、という説明を聞いたときだ。3千冊の蔵書だったら日本では個人でもそれくらい持っている人はざらだろう。

いくつかの発表を聞いたあと、遅いコーヒーブレイクでコーヒーをすすりながら、ナフォサットを相手に、企業も大学も政府も教育を充実すれば企業活動が盛んになると本当に思っているのか、企業だって大学、大学院卒業生人がすぐ人材として役立つと思っているのか、大学で学べばベンチャーが増えるのか、決してそんなことはない。大学側も外国の援助がないから良いビジネス教育ができないなどと泣き言は言わず、自分でカリキュラムを立ててみてはどうか。

そもそも卒業しても職がない、そのことが問題なのであって、教育制度が整っていないから私企業が振るわないというのは明らかに間違っている、教育に過度の期待をすることで問題の本質を見失っている、などとまくし立てた。ところがそれを横でセミナー関係者が聞いていた。ミスター、実に面白いご意見です、是非、取材に来ている新聞記者のインタビューを受けて下さい、という。

セミナーの趣旨を否定するのもどうかと思い、また午後の授業もあったので、「あー、私はつい正直に後先考えずに何でも言ってしまうし、これから授業があって可愛い生徒が待っているものですから・・」と訳のわからないことを言って、そそくさとナフォサットと会場から逃げ出した。