チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

タシケントの春

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タシケントの春

タシケントの春は突然やってくる。3月末でも10度くらいに気温が下がり、セーターを着込む日がある。一昨年は4月にはいって降雪があり、市民を震え上がらせた。今年は3月末から4月初めにかけて、現地の人も驚くくらい雨が多かった。それでもバラの深紅の新芽が顔をのぞかせ、街路樹の枝が淡緑に色を変え、水分を吸った土からは若草がいっせいに萌え出した。
サクランボやアーモンド、アプリコットの白い花がいっせいに咲き始めたのが4月の初め。ところが4月10日ごろから日中の気温がドンドン上がり、30度を越す日も珍しくない。タシケントの春はわずか2週間くらいだった。木々の葉っぱもこの間、薄緑からあっという間にたくましい青葉に変わってしまう。幼児期から青少年期を経ないで突然ヒゲのオジサンになってしまった人を見るような感じだ。

この、冬から夏へ変わる期間、寒くなったり、また突然、暑くなったりするので体調管理が大変だ。邦人で風邪を引いてしまう人もいる。日本人のいるアパートはスチーム暖房になっているので、いつも暖かく、つい外気温を忘れてしまう。外へ出てみて思ったより冷えるとわかったり、あるいは汗をかくような仕儀になる。それに日中の温度差が大きい。朝14,5度でも昼を過ぎると真夏の30度になったりする。そして日が落ちると急激に気温が下がってくる。

地域集中暖房となっているので、早めにスチームが切られた地域では、寒さがぶり返すと毛布をかぶって震えるか、慌てて電気ヒータを買いに走ることになる。逆にスチームが入り続けている地域では窓を全開にして外の冷気を入れないと汗だくになってしまうことがある。

暖房システム切り替えの時に困ることが一つある。それはその時期、お湯が出なくなることだ。いつもは蛇口をひねれば熱いお湯が出ていたのに、冷水しか出てこなくなる。これが自分のアパートでは1週間も続いている。

外人の多く住む高級住宅地、市の中心オイベックあたりでは、この断水期間が1,2日だという。偉い人や外人のためには当局も配慮をするらしい。自分の住んでいる旧市街は、そういう恩恵を受けることができないようだ。大家に文句を言っても仕方ないので、ひたすらお湯が出てくることをアラーの神に祈るしかない。

お湯が出なくて風呂はどうしているのか、と心配してくださる方もおられるかもしれない。
ありがとうございます。実は風呂にはちゃんと毎日入っています。

こういったお湯の断水は、毎年のことなのでちゃんと市民は対策を講じている。その一つが電熱コイル((写真)だ。よく海外旅行必携スグレモノの中にこの小型品が紹介されている。コップの中に放り込んでおくと4,5分でお湯が沸くという、電球のフィラメントのような形をしたものだ。ウ国で手に入る電熱コイルは長さ40センチくらいではあるが、バスタブ一杯の水を2時間ほどでお湯に変えてくれる。バザールでも売っているが、使用中の電熱コイルは先輩SVより受け継いだ由緒あるものである。少し錆びも出ていて風格を感じさせる。水没してしまうと感電する恐れがあるので、紐をつけ、万一滑っても本体全部が水に浸からないよう、バスタブの蛇口や洗濯機に結び付けている。

時間をかけてじっくり沸かしたお風呂なので、いつもとありがたみが違う。ゆっくり浸かると小さな幸せを感じてしまう。

ところが、この電熱コイル、2,3日前よりちょっと異変が起きた。コイルを入れたバスタブの水をかき混ぜると、明らかにビリビリとくるのだ。錆びの部分から漏電しているらしい。とんだ「電気風呂」だ。007シリーズでジェームス・ボンドが悪役をバスタブに叩き込んで、浴室の電熱器をバスタブに放り込む。ジュッという音とともに悪役は動かなくなるというシーンを思い出した。
映画の悪役は服を着ていたが、自分の場合、事故が起こるとかなりみっともない格好で倒れていることになると思う。人間はいつか死ぬのではあるが、花のもとにて春死なん、というほどカッコよくないにしてもバスタブに長々と寝そべっているところを発見されるような死に方だけはしたくない。
これからバザールへ新しい電熱コイルを買いに行きます。