チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

カラカルバクスタン共和国(5)

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ヌクス雑感

3日前にサビツキー美術館を訪れた友人は、趣味が絵画鑑賞であり「一日いても飽きない」と言っていたが、我々はそれほど芸術に興味がないので、学芸員アモット君に、どこかいいホテルはないか、ウルゲンチに行く方法は、鉄道駅へ行くバスは、それよりもどこか近くでうまい昼飯が食えるところはないか、などと観光ガイド相手のような質問をしてしまった。
アモット君も前に来た日本人より教養がないなあと思ったかもしれないが、同僚に聞いたり、電話をかけたりして親切に対応してくれた。ホテルだったら、この美術館から歩いて5分のところにありますよ、自ら案内してくれ、値段交渉まで立ち会ってくれた。美術館の裏手にあったホテルは「ジペグ・ジョリ」(写真)という10部屋ほどのこじんまりしたB&B、一泊朝食付きで15ドル。

後で知ったがヌクスには3軒くらいしかいいホテルがなく、ジペグ・ジョリはその中でいちばんいいところだそうだ。JICA専門家の人も長逗留していたことがあるらしい。中庭には19世紀の荷馬車が置いてある。ベッドカバーや壁はカラカラパク特有のキルトで統一されていて、民芸民宿の趣だ。

荷物を置くとすぐに美術館から歩いて10分というオイアイリグ・バザールへ出かける。バザールの周りにはいくつもレストランがあり、値段はそこそこで美味しい店が多いというのは築地の魚市場と同じだ。

カラカルパクスタンの首都ヌクスは人口27万人、ウズベクでも6番目に人口の多い都市という。アラル海の環境悪化に伴い、地方から住民がヌクスに流入しているとのこと。塩と砂埃の乾いた土地をイメージしていたが、道路の横を用水が流れ、緑の多い街だ。朝は気温15度で、長袖でないと肌寒いほどだったが、昼近くなると気温が上がってきてTシャツ1枚で充分となる。空は抜けるように青く、風は爽やかだ。バザールまでの道は桑の木の並木道になっていて、木には実が一杯付いていた。

1930年代にソ連によって人工的に建設された町なので、ナボイやタシケントと同じく、道路がやたらに広く、官庁、学校の建物はは権威主義的な感じを受ける。ただ高層ビルはなく、高い建物というと5階建てのアパートくらいで落ち着いた雰囲気の街だ。花壇や樹木を配置した公園があちこちにある。花壇には菖蒲、あやめによく似た紫の花が咲いていた。

連れがボロボロのリュックをバザールの靴屋で修繕している間、生鮮食品の売り場を一回り。やはりイチゴなどがタシケントより安い。連れにリュック買い換えたらいいんじゃないの、と言ったら「これはBALIといって大変なブランド品なのです」と無知をたしなめられた。ほとんど縫い直しの再生をしてもらって、800スム(80円)は安いと思った。

シャシリーク(焼肉)の煙を頼りにバザールの食堂へ。昼からビール。平日の昼から、それも今頃日本では友達がオフィスで一生懸命働いている。こんなことをしていていいのだろうか、という罪悪感も冷たいビールの魅力には勝てない。幸先の良い旅の初日を祝って乾杯。

カラカルパク人はカザフ系という。カザフは蒙古騎馬民族の系統だ。バザールあたりを歩く女性を眺めると、目が釣りあがっていて、頬骨が出ている人が多い。どこかで見たことのある顔立ちだと思ったら、相撲の朝青龍にそっくりということに気付いた。「なんだよ、朝青龍がいっぱい歩いているよ。カラカルパクは美人がいないところだな、ガッカリ」とビールの酔いもあって遠慮のないことを言いながら歩く。

昼食のあと、また美術館へ行く。入場券を再度購入する必要はなく、アモット君の知り合いということで、顔パスで入れてもらった。何でも聞いてくださいと言う彼の好意に付け込んで鉄道旅行の相談をする。ヌクス駅に行って駅員に確かめてみたが、モスクワやアルマータなど外国の主要駅に行く列車はあるが次の目的地ウルゲンチに行く列車はないことが確認できた。

ヌクス駅からバスでバザールに戻った。20人乗りのミニバスだ。料金は100スム(10円)。ところが丁度下校時間に当たっていたのだろうか、途中からとんでもないほど混み出した。自分の後ろには17,8歳のウズベク少女がいて大きな胸をぐりぐり押し付けてくる。手の甲がヒヤヒヤするなと思ったら前にいるロシア系女性の腰の生肌に触れている。こちらの若い女性はヘソ出しルックが当たり前でその露出度は半端ではない。後ろからぐりぐり、前はヒヤヒヤ、ここで変な動きをしたら「タシケントのU教授」という有難くないあだ名が付く恐れがある。ひたすらじっとしてこれで100スムは本当に安いなあ、とカラカルパク不美人説を撤回した。