チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

出会った人々

旅行で出会った人々

このところ任国内旅行のレポートが多かったため、中西は旅行ばかりしているといった印象をお持ちの方がおられるかもしれないが、ブハラ、ヒバの旅行は土日を含めて4泊5日の小旅行であった。それにしても初めて訪れる場所は何かと印象が強い。異国の歴史ある街であればなおさらだ。短い旅ではあったが、多くの人に出会った。ブハラ、ヒバを案内してくれた青年協力隊員の看護師さんは強い使命感を持っている。しかしウズベクの医療制度、医療に関する考え方の違いを前にして、自分にできることは何か真剣に悩んでいた。

シニア・ボランティアが決して不真面目、と言うわけではないが、社会生活が長い分だけ物事を多面的に捉えているところがある。ボクシングで言うところのダッキング、ウィービングがうまくなっていて、まともに打ち合うときは打ち合うものの、何とか体力を温存しながら12ラウンドまで持ちこたえるテクニックに長けているとでもいえようか。隊員は若いだけにいたずらにパンチを繰り出しては、スタミナを消耗し、ついつい相手のカウンターを食らって足にくる、といった感じだ。
セコンドではないが、リラックス、リラックス、相手をよく見て、パンチをブロックしていけば勝機はあるぞ、と励ました。インターネットも常時接続できるわけではなく、廻りに仲間の隊員はおろか邦人のいない地方で、隊員は健気に頑張っていると思う。

前にもレポートしたと思うが、看護隊員はウ国で注射などの医療行為をすることができない。看護教育セミナーをドクターや看護部長からは求められるが、肝心の現地看護師はその必要性を余り認めていない。さらにこの国の綿摘みは国家事業であるから、緊急医療センターの看護師さんでも9月から11月にかけて綿畑に行ってしまう。それで患者さんはどうなってしまうのか、と思うところだが、残念だが医療水準は下がらざるを得ない。綿摘みから皆が帰ってくればセミナーをやりますよ、と明るく言うが、20代後半、医療技術者として一番能力が身につく時期に、日進月歩の日本の医療技術に触れることもできず、帰国してちゃんと病院に勤務できるのだろうか、という心配もある。
ウ国でしか得られない貴重な経験もあるとはいえ、その経験を日本の現場で評価してくれるわけではない。忙しい日本の医療現場でその貴重な経験は埋もれていく。そういったハンデを抱えながらも異国で頑張っている隊員のことを日本の人に知ってほしいと思う。

ブハラの1泊朝食付き7ドルのゲスト・ハウスで出会った日本人、大友クンもユニークな若者だった。学生時代からヨーロッパ、オーストラリア、南米を自転車で旅行しているそうで、今回は中国からトルコのシルクロードを5ヶ月かけて走破するという。もうトルコから日本に無事に戻っただろうか。

ゲスト・ハウスの中庭できいた彼の話。
自転車で走っているとこっちの人が飯食ってけ、というでしょ、ラグマン(さぬきうどんの元祖)とかシャシリク(串焼肉)などたべさせてくれるんですが、やはりお金を要求するわけですよ。それでいくらか、と聞くと4千スムとか5千スムというんです。ええ、ボクも少し高いな、とは思うんですが、払えない額ではないし、それで今日、この人たちがいい気分になれるならいいな、と思って払っちゃうんです。勿論10倍くらいのこといわれると怒ったりしますけど。
ざくろの粒を口に運びながら、おっとりと話すこの青年を見直す気になった。タシケントの邦人の中には、「これは後から来る日本人のためにならない」と言って白タクでもバザールでも値切り倒す人がいる。それは後から来る日本人のためではなく、単に時分がしわん坊だからではないか。400スムや500スムのお金は我々にとってどういったこともないのではないか。この茫洋とした青年を見ていて、自分もぼられても相手を悪し様に言うことだけはやめようと思った。

実は、今回の旅行でタシケントに戻る便を1日伸ばしてもらうためウルゲンチ空港に行った。航空券販売窓口で聞いてみると、出発便変更には代金の25%、1万7千スムの手数料がかかるという。このままタシケントに戻るわけにもいかないので、言われるままに手数料を支払った。後でヒバの観光開発センターに派遣されているS隊員にきいてみたら「ああ、やられましたね。手数料なんかかかりませんよ」とのこと、おかしいなとは思ったが空港の窓口でやられるとは。騙すほうも悪いが騙されるほうも悪い、という話である、と達観できたのも大友クンの話が念頭にあったからだと思う。

また、12月に一時帰国する際、バザールで乾燥メロンをお土産として購入した。1本1000スムという通常価格を知っていたので、相手の言い値1500スムでは首を縦に振らない。ウ国滞在8ヶ月の成果だ。1本1000スムとなった後、5本買うから1本800スム、と値切った。不承不承、テキがOKしたので、「おお、今日は勝った」と喜んで4千スム払ったが、家で袋を調べてみたら5本ではなく4本しか入っていなかった。勝ったのはテキのほうだったか、見事にやられた、と笑うことができたのも大友クンのおかげである