チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

鎖国の連鎖

鎖国の連鎖

 

■外出禁止令

ここ10日の武漢肺炎をめぐる各国の動きは慌ただしい。タイではミャンマーラオスカンボジアなど隣接する諸国の国境を閉じたかと思うと、26日に非常事態宣言を出して、外国人の入国を禁じてしまった。事実上の鎖国である。

タイ国中でタイ正月、4月のソンクランの水かけは中止になった。日本に置き換えてみれば、正月の初詣でが一律禁止されたに等しい

3月28日現在でタイの武漢肺炎による死者は6名であるが、感染者は1245名と加速度的に増えている。と日本の感染者数を追い越すのは時間の問題だろう。

 

チェンライにいる兄の話だと、先週末テニスをしていたら、兵士の一団がやってきて、テニスを中止し帰宅するようにと命じたという。警察でなく、軍隊が出てくるのがすごい。車で運動場を出ると同時に正門が閉じられたとか。

県外への移動、老人の外出、集会等が禁止されている。チェンライのホテルでパーティを開いていた一団が警察に逮捕された、との報道もあった。ビヤバー、レストランは休業、旅行は勿論、テニスも宴会もできないのでは何のためにチェンライにいるのか、という邦人のボヤキも聞こえてくる。

 

■東京のようす

この土日、東京には外出自粛要請は出ているものの、昨日の土曜に外出してみたところ、公園では親子が遊んでいたし、スーパーにも豊富に品物が並んで普通に買い物客がいた。日曜は季節外れの雪が積もり、寒くて頼まれても外出したくなかったから、外の様子はわからない。

チェンライの友人が、安倍首相の国民に対する呼びかけを聞いたが、優柔不断でまどっころしい、と言ってきた。でも日本は法治国家だから法律がなければ首相といえども何もできない。例えば外出禁止を宣言し、違反者をしょっ引くことは、今のところ法律上できない。小池都知事が「東京封鎖」の可能性に言及したが、残念ながら都にはその権限がない。

 

■英国ジョンソン首相の演説

3月23日、武漢肺炎戦戦略として英国は全土封鎖に踏み切った。その時のジョンソン首相の国民向け演説。以下引用。

演説の要点は次の5点である。

1. 食料品など生活必需品以外の店はすべて閉鎖、
2. 市民は食料品・薬等の買い物・散歩など1日1度の運動のときだけ外出可
3. 通勤が必須であるごく一部の例外を除き自宅勤務
4. 公共の場での二人以上のいかなる集会も禁止、結婚式・宗教集会などいかなるイベントも禁止
5. これらを守らない場合は警察による罰金や介入がありえる。

・外食産業は、店舗には入らない形での持ち帰り用販売のみ許可する。これに伴い、多くのレストラン、カフェやファスト・フードは閉鎖した。

・ロンドンの多くの地下鉄の駅も閉鎖された。地下鉄はこれらの駅を飛ばして運転している。つまり、主要駅に警察などによる関所をつくりさえすれば、強制力をもって人の流れを厳密に制御できる準備は整っている。

・27日現在のところは、フランスなどがとる警察権力による強硬な対応ではなく、自粛に依存した体制をとっている。

・4ヶ月間にわたる高齢者の完全な外出禁止を準備。ウーバーなどを利用して、無料で食事を届ける。
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・オリンピックに使用されたイベント会場ExCeLが「NHSナイチンゲール」という巨大な野戦病院になる。4000の病床、500の人工呼吸器と、2つの遺体安置室を設置する。

バーミンガムでは空港に1500体分の仮設遺体収容所、12000体まで拡張可能で、空港の隣のイベントセンターを野戦病院として使用予定。

 

■戦後74年のツケ

タイは軍事独裁の国だから、プラユット首相が決めればその通り実行される。でも民主国家である英国がこのような強硬策を取るとは思わなかった。それだけ危機感が高いということだろう。

日本政府も「専門家の意見を聞きながら」武漢肺炎対抗策を考えていると思うが、英国並みの強硬策をとれるだろうか。安倍首相が非常事態宣言を出したとしても、タイや英国から見れば、「生ぬるい」対策となるだろう。友人の指摘した「優柔不断さ」は安倍政権に付きまとうに違いない。これは国家の非常時であっても指導力を発揮させてはならないという平和憲法と関係があると思うのだが、この件については別の機会に。

優柔不断に見えても政府の要請や指示に、節度を持って従う日本国民の民度に一縷の望みを託したいと思う。