





今年の思い出
■一身にして二国を生きる
師走である。振り返ってこの1年はどうだったか。先ず、今年は2回帰国した。望郷の念に駆られて、というわけではなく、海外医療費の還付請求とかマイナカードの再発行、健診受診など野暮用が多かった。チェンライで過ごしていると日本に戻って友人と会おうかな、などと思い、東京に戻ってしばらくすればチェンライののんびりした生活が恋しくなる。
考えてみればこの1年、日・タイのいいところを経験してきたと言える。タイ人の伴侶を持つ邦人は稀に旅行者として一時帰国することはあっても本拠はタイである。自分も我が本拠はチェンライと思っているが、それも心身ともに健康な時だけだろう。古川柳の「故郷へ回る六部の気の弱り」ではないが、芸能人の名前が思い出せなかったり、トイレが近くなったりするとまだ病気になってもいないのに、ああ、もうお迎えも近い、日本で安心の医療を受けるほうがいいのではないか、などと考えてしまう。
前回の帰国時、86歳になる大先輩にお目にかかった。自分は「食べ放題、飲み放題」は体の不調をきたすので避ける傾向があるが、先輩の命令でこの夜は2時間ビール飲み放題コースとなった。先輩は数杯の大ジョッキを空け、更にワインも注文する。こっちは泥酔寸前だが先輩は泰然自若、今日はジムに行ってバーベルを持ち上げてきたなどと言われる。この先輩を思い出すと自分もまだまだと希望が湧いてくる。
日本に行けばこういった先輩に刺激を受ける。もちろんチェンライでも先輩、友人はいるが日本のあの美味しい生ビールを飲みながら、とはいかない。よい刺激は口から出る言葉と口に入る酒の影響がありそうだ。
■花火はしょぼい
いつも朝はテニス、あとはPCに向かって疲れればゴロリの生活である。健康的な生活ではあるが半月もこういった生活を続けていると旅に出たくなる。以前はバイクで数百キロ飛ばしてシャム湾に、とかラオスツーリング1週間という旅も平気だったが、今年はトードタイ、チェンセーン、ナーン、チェンマイ、メーホーソーンなどせいぜい片道200キロ範囲の、それも車での小旅行が多かった。
今年は10年振りに見物したチェンマイのロイクラトンが印象に残っている。置き忘れた携帯が戻ってきた件はそれとして、チェンマイの観光客の多さには吃驚した。チェンライのロイクラトンや土曜市の人出に驚いていた自分がいかに田舎者になっていたことか。チェンマイはやはり大都会、タイを代表する観光地である。ピン川沿いに屋台が立ち並び、雑踏の中で食べる人、呑む人、川面には花火が打ちかけられる。花火はコムロイ、パレードと並んでチェンマイ・ロイクラトンの花である。ポスターには隅田川の花火じゃないかと思うほど夜空一杯に広がる花火があしらわれている。
でも実際は川岸から対岸に向かって火炎弾が飛ぶだけ。軍用機がミサイル除けに発射するフレアとほぼ同様で華やかさはない。でも爆竹よりは爆発音は大きいし、連発弾となればそれなりに気分は盛り上がる。12時近くなってドーンと大きな花火が上がった。空に大きな花が咲いたようだ。これは日本から輸入した花火に違いない。これまでのフレア花火とは格が違う。残念なことに単発でしばらく日本製花火は上がらない。諦めて寝ようかと思っていると腹に響くドーンが来る。慌てて窓際に行くともう終わっている。
■比較すべきもないが
日本では年間100回くらい花火大会があるそうだ。今年の隅田川花火大会では約2万発の花火が打ち上げられた。利根川の花火大会では2尺玉を含め約3万発の花火が打ち上げられた。2018年の記録によると、日本全国の花火大会での平均打ち上げ数はおおよそ一大会あたり4,260発となるそうだが、規模の大きい有名な花火大会だけを取ると平均2万4千発とのこと。時間にして概ね90分、次から次へ大輪の花火が上がるのだからみんな首が痛くなる。
チェンマイのロイクラトンで打ち上げられた花火の数は出ていない。でも2022年のカウントダウン参加者の報告によると「日付が切り替わる時間には、花火も打ち上げられ、強い光を放つ花火と、天の川のように空に上がって流れていくコムロイがとても幻想的な景色を作り出していた。打ち上げられた花火は650発以上とのこと」となっている。ロイクラトンでもほぼ同数の花火打ち上げだったと思われ、彼我の格差は歴然としている。
JICA、経産省、外務省、文化庁、どこでもいいが日本のサポートでタイでも日本並みの花火大会が開催されないものか。打ち上げ花火は日本が世界に誇る文化です。