チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

大学入試

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大学入試

8月1日に全ウズベキスタンの大学入学試験が行われた。この国には私立大学はなく、国立大学一本で滑り止めはないから、この統一試験日に受験生はすべてをかける。この日、いつものように学校へ行こうとマシュルートカ(8人乗りの乗り合いバス)に乗ったら、途中の地下鉄ベルーニイ駅でおろされた。この先通行禁止だという、ベルーニイ駅の先はタシケント工科大学(写真)になっていて、そこへ通じる道路が警察によって封鎖されている。日本でいったら大学の入試日に本郷通りや早稲田通りが通行禁止になるわけで、不都合なことおびただしい。それでも人々は文句を言わず、警察官の指示に従っている。この日は少し遠回りのマシュルートカで学校に行くことができた。

受験科目は、大学によって違う。世界経済大学は英語、数学、ウズベク語、タシケント法科大学は歴史、英語、ウズベク語。タシケント工科大学は数学、物理、ウズベク語といった具合だ。医学部は生物、化学などが試験科目に入るらしい。各科目36問、4つの答えの中からひとつの正解を選ぶマークシート方式だ。各科目同じ点数ではなく、大学により重要科目は1問3点、非重要科目は1点という具合に点数の傾斜配分があり、総合計点で合否が決まる。タシケント法科大学の場合、歴史は1問につき3,1、英語が2,1、国語が1,1総合226,8点満点である。1日に試験があって12日に合格発表が行われる。

一発勝負なので受験生は大変だ。卒業すれば法曹資格を保証されるタシケント法科大学(教育省ではなく法務省管轄)は定員450名に対し、5000名を越える受験生が押し寄せる。この大学の受験生にはかなり厳しい身体検査が施され、携帯、カンニングペーパーなどを持ち込むのは難しい。

何度か書いたが、この国の試験には「カンニング」と「コネ」がつきものだ。カンニングを防ぐため、試験当日の午前中、タシケント市内の携帯電話のメール、写メールが使えなくなった。公式発表は機械のメンテナンスのため、となっていたが誰も額面どおりに受け取ってはいない。しかし、これで試験の不正行為が防げるかというとそうではない。メールがだめなら、試験会場から外部へ電話して先生に答えを教えてもらうという手がある。そんな馬鹿な、と思われるだろうが、試験監督にあらかじめ500ドルくらいのお金を渡しておくと試験中電話をしても大目に見てもらえる。そういったズルをする受験生に対して他の受験生は騒がないのか、というと騒がない。ああ、あの人はお金を払ったのだから仕方がない、と冷静でいるそうだ。

他にも事前に問題を漏らしてもらって、正解を覚えて試験に臨む、という手もある。これも漏らしてくれる人と依頼する人の人間関係にもよるが数百ドルから1000ドルかかる。

替え玉受験もかなりある。自分が受けたのではとても合格するだけの成績を取ることが難しい、と思う受験生が、優秀な学生に頼んで代わりに受験してもらう。これも、替え玉と試験監督と両方にお金がいる。ヤマがあたるとは限らないが、カンニングペーパーを持ち込むのは普通のことである。

お金がなくてもお父さんが政府の偉い人だと何とかなる。この場合は無試験入学も可能だ。国立大学にコネ入学というのもどうかと思うが、本当である。でもこういった学生は中学、高校と勉強していないので大学の授業についていけない。しかし、普通の先生は政府高官に逆らっては職を失う、というリスクがあるから、その子弟には進級試験でも合格点をつける。だから、親が偉ければ入学から卒業まで問題はない。ただし、不正、コネ入学者はたとえ大学を無事卒業しても得られないものがある。それは周囲からの尊敬だ。

お金もコネもない受験生はどうすればいいの?、と聞くと、通訳のベク君は、それはひたすら勉強することです。お金やコネでは入れる人は全体の4割くらいです、我々貧乏人は勉強して試験成績で高得点を取ることです、と話してくれた。

学校の帰り、バスで大学の近くを通った。たくさんの父兄が門前に集まっているのがみえた。子供の試験成績を心配する親心はどこの国も変わらない。彼らは6割の確率に賭けてがんばっているのだろうか、それとも4割の中に入ろうと物心両面で一生懸命になっているのだろうか。バスは門前の人だかりをあっという間に過ぎていった。