チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

バンク・カレッジ入学試験

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今年1月のチェンライ・フラワーフェスティバルから 

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同上

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同上

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同上

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同上

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同上 やはり蘭はいいですね

 

バンク・カレッジ入学試験 

2006年8月にアップした「入学試験」を加筆訂正の上再録します。

 ■競争率は1.7

通訳のベク君が「明日、カレッジの入学試験です。学校へ来ますか」と言う。試験監督見習いとして参加することにした。

当日、朝7時半に学校についてみると、車がたくさん駐車しており、父兄に見送られながら受験生が次々に校門をくぐって行く。校庭に受験番号、試験教室名を書いたプラカードを持った先生が立っていて、そこに受験生が列を作って並んでいる。今年の入学定員700名に対して受験生は1200名とのことである。

順次揃ったところから教師に先導されて教室に移動する。教室は原則30名ずつ入る。机の上にはA4大のボール紙が置かれている。下敷きではなく、計算用紙、メモ用紙を兼ねている紙だ。

8時前に教室に入るが試験は9時からという。1時間以上待たされるのか、と思っていたら、封印された袋に入った試験用紙を携えた先生が入ってきて、受験生に用紙を配り始めた。配り終わったら即、試験開始だ。8時22分くらいだったが黒板には8時25分から10時25分までと書いてある。全校一斉にベルで開始時間を知らせるのではなく、問題を配り終わったらそれから2時間という形で各教室、五月雨式に試験が始まる。

 

■複数の問題用紙

試験科目は数学と国語の2科目。それぞれ25問出題され、5つの答えからひとつを選ぶマークシート方式のテストだ。受験票の他には青のボールペンだけが持ち込める。ボールペンでマークシートを塗りつぶすわけだから、一度塗ってしまったら訂正はきかない。だからボール紙にとりあえず答えを書いている生徒が多い。さすがウズベクと思ったのは前後左右の受験生がなにやらこそこそ話し始めることである。実はカンニングを防ぐため、テスト問題は各自違ったものが配られている。だから話をしても自分の問題の答えがわかるわけではないが、「なんか私の問題難しいわ。あなたのほうはどう?」くらいのノリで話している。日本だったらすぐ監督は注意するところだがこちらは黙認だ。

問題用紙を覗き込んでみると数学では、たとえば64の8%はいくつですか、という問題があって、AからEまで数字が並んでいる。(5.12が正解)こんな簡単なものばかりではなく、ルートの分数計算、三角関数因数分解、果てはロガリズムの対数計算まであって、自分だったらとても合格点は取れないと思った。

かなりの計算をしないと答えは出ないはずなのに、ボール紙を使って問題を解いている受験生は半分くらいだ。あとはじっと問題を眺めて、やおら解答用紙の適当なところを塗りつぶす。

 一番ひどいと思ったのは最前列に座っていた受験生だ。問題用紙を見ずに、解答用紙の1番がA、2番がB、3番がC、と言う具合に塗りつぶし、Eまで来るとD、Cと戻っていく。だから解答用紙はきれいなジグザグ模様になっている。ふざけている、こいつは何のために試験を受けに来ているんだろう。ベク君に後で聞いてみたところ、「もう、受かることが判っているので、形だけ試験を受けに来ているのでしょう」とのこと。

どうやら事前に8割くらいの生徒の合格が事前に決まっているらしい。相場は数百ドルというところだ。お父さんが政府の役人という生徒も優先される。マークシート方式の解答用紙はパソコンで処理、採点されるので結果は1日で判明するが合格発表は10日後という。その間に親と学校幹部とのネゴが活発に行われる。金もない、コネもないという受験生はどうするか。それはトップ10%に入れるよう必死に勉強しなければならない。 

 

■電話をかけまくる受験生

金もコネも、更に学力もない女子受験生が一人いた。試験終了前30分になると、答案用紙、問題用紙を試験監督に渡して退室していいので、皆、次から次へ退室していく。しかしその生徒は、全員いなくなったあと、一人教室に残って、携帯で問題を読み上げて誰かと相談している。他の受験生がいるときから電話していたが、周りが騒ぐ様子もなかった。10時25分の試験終了時間が過ぎても、「先生、少し待ってください」と言って電話をしたり、マークシートを塗りつぶしたり、必死になっている。試験監督のベクが怒って、用紙を取り上げるか、と思ったら後ろから「正解はBではないのか」などと言っている。一体全体これはどうなっているのか?

結局、彼女が用紙を提出したのはリミットを30分以上過ぎた11時だった。解答用紙を袋に入れながら、ベク君に「あれはねえだろ」となじったら、返答は「困っている子を助けるのは当たり前のことでしょう」。一瞬、自分が間違っているのか、と思った。

 

尚、哀願するように自分を見ていた彼女と新学期に再会、無事合格したようだ。