チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

合格発表

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バンク・カレッジ合格発表

学校は夏休み中であるので、生徒はまったく登校してこない。日本の高校だとクラブ活動があって休み中でも何人か生徒が登校してくるところだが、こちらの学校にはそもそもクラブ活動がない。午前中は涼しいのだから体育館や屋外のバレーボールやテニスコートに運動しに来ればいいと思うのだが、見事に登校してこない。というより登校禁止になっているのかもしれない。

そんなある日、9時に学校に行ってみると、生徒らしき子供と父兄が連れ立って学校へ入っていくのを見た。ああ、そういえば今日はカレッジの合格発表日だった、と思い出した。学校の裏の日陰になる部分に学部ごとに合格者番号がボードに張り出されている。試験成績順に受験生全員の番号が並んでいて、途中に1本、線が引いてある。線上は合格、それ以下は不合格というわけだ。

受験科目の点数配分は数学が1問3.1点 国語が2,1点、それぞれ25問だから満点は130点である。さすがトップクラスは117点とか9割の正答率だ。合格最低点は5割程度の60点ちょっというところ。銀行学部、金融学部、会計学部、経済法学部の4つがあるが、やはり人気の銀行学部の合格最低点が他の学部より数点高い。

不合格最低点は、と見ると、16点とか正答率が1割台だ。5問択一の試験だから、ランダムに解答欄を塗りつぶしてもこれ以上の点数が取れるはずであるが。

やはりこういった発表は悲喜こもごもだ。喜色満面の女の子、携帯で結果を知らせる男の子。親子連れも目立つ。特に男子生徒に肝っ玉母さん風というのが多い。この国の男性は全員マザコンです、と東洋語学大学の女子学生が言っていたのを思い出した。

校舎の日陰の部分に机と椅子を並べて、年配の婦人が数名すわり、時折、大声で生徒たちに呼びかけている。

あれは何か、とベク君に聞いてみたら、近くにあるテクニカル・カレッジの先生とのこと。

「不合格となった生徒はテクニカル・カレッジへどうぞ、銀行学部、金融学部もあり、バンク・カレッジと同じことが学べます」と勧誘しているのだそうだ。しかし、バンク・カレッジでの入試成績が余りにも悪いと、男子は農学部、女子は裁縫学部にしか入れないという。

でも、テクニカル・カレッジに入っても、そこで勉強をがんばれば大学受験で巻き返すことができるとのこと。

新学期は9月から始まり、新一年生の授業もその時から始まるが、入学式は10月にはいってから、という。どうして、と聞いてもいつもそうですと、はかばかしい答えが返ってこない。受験しなくても合格する生徒や、多少、合格点数が足りない生徒の調整などに時間がかかる、ということらしい。

そういえばコネも学力もなく、試験時間終了後、30分以上粘って、携帯で両親から答えを教えてもらっていた女子生徒はどうなった?と聞くと、ベク君は「合格しました」とニコニコ顔だ。君が答えを教えたからじゃないのか、というと「いえ、私が教えたのは2問だけです」などいう。

「8割以上の生徒がコネかお金ではいるのだから、こういう生徒が一人くらいいても悪くないでしょう」と言う。それ、おかしいんじゃないか、と言う自分に対して、「困っている子を助けるのは当然のことでしょう?」とまで言うので、こちらも引き下がった。

コネも金もなく、一流大学を卒業したベク君にとって彼女は昔の自分を見るような気がしたのだろうか。

携帯で外部と連絡を取らず、また2問とはいえ試験監督から正答を教えてもらえずに不合格になった生徒のことを考えるとどうしても納得がいかない。しかしこの国では何か合理的な説明のつくことなのかもしれない。そしてその説明に納得できる時、日本人としての何かを失ってしまうのではないかと、少し心配になった。

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