チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

チェントンバス旅行(1)

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チェントンバス旅行(1)

■ランナー王国ゆかりの地
チェンライ県北端、国境の町メーサイ、川幅約10mのサイ川を挟んで向こう側はミャンマーのタチレクという町になる。タチレクを含む一帯はシャン州と呼ばれ、タイ、中国の雲南省ラオスと国境を接している。広さは15万6千平方キロと言うから九州の約4倍、北海道の約2倍の広さがある。民族もシャン族、ビルマ族、コーカン族、ワ族、イギリス系ビルマ人(Anglo-Burmese)、カチン族、ダヌ族、インダー族、パラウン族、パオ族、タウンヨー族、更にはアカ族、ラフ族等の少数山岳民族、総計500万を越える人々が住んでいる。多くの自治区と独立紛争を抱える地域であって、ミャンマー軍とシャン軍の小競り合いで砲弾がメーサイにまで飛んできて国境が封鎖されることもあった。

タチレクから150キロほど離れたところにチェントンという町があることは知っていた。ランナー王国の前身であるグンヤーン王国は元の侵攻を恐れて、雲南省景洪から逃げ出し、最初に都をチェントンに置いた。1243年のことという。それでも元が怖かったグンヤーン王国のメンライ王は1262年にチェンライに遷都、さらに1296年にチェンマイに都を移している。これがランナー王国の成立と考えられている。ランナー王国は北タイから今のビルマ、シャン州、ラオスの一部を版図としていた。チェントンにはメンライ王の息子の一人が藩主として封じられた。でもその後、チェントン軍はビルマ軍と一緒に本家ランナー王国に攻めこんだこともあるから、それほど血筋には拘らなかったのだろう。もっとも徳川慶喜に反旗を翻して勤皇方に付いた御三家の水戸や尾張の例もあるから特別なことでもないのかもしれない。

■なかなか行けなかった
ともかくランナー王国ゆかりの都、チェントンに行きたいとかねがね思っていたが、メーサイからタチレクに入ってもその先には行けないという時期が長く続いていた。民族紛争でシャン州の治安がよくなかったせいである。10年近く前になるがタチレクからチェントンまでバスが走っていると聞いて、タチレクのバスターミナルに行ったことがある。確かに行くことはできるが、ミャンマー政府指定の旅行代理店でガイドを雇う必要があるという。ガイドの日当は1日25ドル、他にも費用がかかることだし、とその時はあきらめた。そういった秘境であったが、そのうち道路が整備され、治安もよくなってきたので、タチレクからチェントンへ行きやすくなった。日本人会で昨年2月にチェントン1泊2日のツアーがあったのだが、行きそびれた。この時期はまだミャンマー入国にあたってはは観光ビザが必要だった。1昨年の11月に陸路、ミヤワディからヤンゴン、パガンとミャンマーを旅行したが、チェンマイにあるミャンマー総領事館に泊りがけでビザを取りに行った覚えがある。ビザ代の他に宿泊費、前祝いの宴会を含めると結構な金額になる。

ところが昨年10月、ミャンマー政府は日本旅券所有者の観光ビザ免除制度をスタートした。ミャンマーロヒンギャ問題で西欧からの非難を浴びており、欧米からの観光客が激減した。観光ビザ免除制度は少しでも観光収入の落ち込みを防ごうという意図があってのことと思われる。ビザ免除なら確かにお得感がある。

■煙害のチェンライ脱出
3月下旬、チェンライは連日PM2.5指数300越えとなっていた。100を越えたら健康に注意という。こういった日にテニスをするのは自殺行為に近い。チェントンは、シャン高原にあって確か標高800mと聞いた。チェンライより空気がいいのではないか。タチレクからバスが朝8時と12時、2便出ていて、それに乗り遅れてもミニバスが頻繁に走っているとのこと。距離は153キロ、4時間で行ける。チェンライからバスでカンボジアラオス、果ては中国雲南省まで行ったことがあるが、窮屈な座席での長旅は老いの身にとってはきつかった。でもチェントンまで4時間ならば気楽なものだ。窓の外を眺めているうちに着いてしまうだろう。チェントン近郊には植民地時代、英国人が競って別荘を構えたルイモェーという標高1600mのリゾートエリアがあるらしい。ミャンマーのスイスと言っていいかもしれない。チェンライの標高は約500m、群馬の上毛高原と同じくらいだから日中温度差が大きく朝晩は過ごしやすい。チェントンの標高800mは那須高原妙高高原と同じくらい、暑季とはいえチェンライより涼しい筈だ。シャン高原の澄んだ空気を吸いたい。

朝、出勤してきたニイさんに「これからミャンマーへ行ってくる」。もう今晩のおかず買ってきたのよー、という彼女を残してスクータで国境、メーサイに向かう。



地図のチャイントンがチェントンになります。