チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ソンクラン前後

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ソンクラン前後

■水掛けと甘茶
今年のタイ正月、ソンクランは無事に終わったようだ。ソンクランは4月13日から15日の3日間だが、今年は12日と16日が休日となり5連休となった。ソンクランサンスクリット語で「通過する」といった意味らしい。古代インド天文学では1年を12の星座宮に分け、太陽が星座宮を通過していくことをソンクランと呼んだ。12回の通過の中で春のソンクランを正月とし、それが4月に定着したらしい。暑季であり、かつ農閑期だから水かけ祭りに相応しい。ミャンマーラオス、中国南部でも水かけが行われるが、水かけはガンジス川の沐浴、お釈迦様の灌仏会などにその由来があるとのこと。

ソンクランが近づくとスーパーの一角に釈迦像が飾られ、通る人が花が浮いたタライから水を汲んで仏様にかけ、いくらかのタンブンをする。自分が小学低学年の頃、銭湯に行くと甘茶が無料で飲める日があった。同じ起源をもつ仏教儀式なのだろう。

数年前まではソンクランが近くなると、獲物を狙う目つきの子供たちがソイ(小路)の陰からバイクに水を浴びせかけていたものだ。用心して期間中の外出は控えたが、水かけの子供の数がめっきり減ったように思う。タイの合計特殊出生率(2015年)は1.50、日本の1.46とあまり変わらない。タイには子供がうじゃうじゃの時代が過ぎたせいだろうか。

■危険な1週間
子供よりも水かけに熱心なのは大人、期間中、戦闘員並びにドラム缶を乗せたトラックが続々と市内中心に向かっていた。買い物のついでにちょっと見物しようと市内に車を走らせたが、途中で渋滞して全く動かない。停まったトラックと歩道から水かけが始まっている。昼過ぎから皆、酒を飲みながら夜半まで水掛け。交通整理の警官にも焼酎やビールが振舞われる。ほとんどが酔っぱらい運転だから交通事故が激増する。2016年にはソンクラン前後を含む7日間で交通事故によりタイ全土で442人が死亡、3656人が負傷したという。1日あたり60人以上だ。

バンコクチェンマイなど各地の水掛けはチェンライにも増して盛り上がり、ほとんど狂気の世界となる。日本からも水掛け参加ツアーがやってくる。数年前まで自分も水掛けに参戦していたことを想うと、一度は経験してみて下さい、と言いたくなる。でも2度、3度と参加するのは如何なものかと思うのは、やはり年を取ったせいだろう。

■正月行事
ソンクランをタイ正月と呼ぶが、北タイではソンクラン初日の13日は1年最後の大晦日で家の大掃除をする日らしい。14日が元旦にあたるが、翌日のお寺参りのため、各家では市場に行っていろいろなものを買い集める。自分も14日に近くの朝市に行ったが、いつもに増して賑やかで出店数も多い。ブアさんが2mほどの木の枝を買う。この枝に幟を結び付け、お寺の一角にある砂山に刺す。ポリ袋に入れてきた砂も砂山に撒く。多くの人が寄進する砂は寺の建築や道路の補修に使われるそうだ。この儀式に拘らず、ソンクランとその前後、やたらお寺の行事が多い。

テニスに行けねーじゃねーか、と不平を言うとブアさんは1年に1回のこと、テニスはいつでも行けます、私もソンクランで休みたいけれどずっとママさんのお世話をしているのだから、と付き合わされる。これは毎年のお決まりのやり取り、伝統芸能みたいなものだ。

お寺では善男善女が集まってタンブンをする。屋台を開いて食物を参拝客にタンブンする人もいる。日本でいう施餓鬼と同様の風習だと思う。ブアさんは次々とアイスクリームや果物を自分に運んでくるばかりでなく、パッタイ(タイ風やきそば)、串焼き、鳥唐揚げ等をポリ袋に詰めてもらう。ゲーンという辛いスープも袋2つは確保する。お持ち帰り用だ。持ち帰った食物は我々の昼食、さらには夜食となって出てくる。

施餓鬼供養の食べ物を有り難く頂くのもなあ、と複雑な気持ちにならないでもない。でもブアさんの作る料理より美味しかったりするし、お寺参りはママさんのためなのだから、と説得されるとあまり反対はできない。

■猛暑のあとのスコール
ソンクラン前後、数回お寺に行った。本堂には入らず、寺の木陰でお経が終わるのを待つ。待つ間、ブルートゥースで日本のニュースを視聴する。自宅でPCに向かってやっていることと変わらない。
ソンクラン休みの最終日16日の夜から大雨となり、断続的に17日朝まで降り続いた。17、18日の夜もスコールがあった。ソンクラン期間中、35度以上の猛暑が続いていたので、雨のあとの25度前後の気温は爽やかで気持ちいい。スコールでチェンライ暮しの唯一の欠点、煙害も雨と共に消える。南国らしい今の気候を自分は気に入っている。


水掛けの写真はネットから、タンブン、砂山の幟など