チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

高齢者市場を狙え

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高齢者市場を狙え

武蔵小山商店街
日本では品川区荏原の自宅に滞在した。小学校から大学、さらに結婚する30歳までこの家で過ごした。銀座、新宿、渋谷には30分以内で行ける便利な場所であるが、まだ下町の人情が残っているところだ。最寄駅は東急線武蔵小山武蔵小山と言えば武蔵小山商店街がすぐ思い浮かぶ。品川観光スポット152選の12位に位置する。武蔵小山駅から中原街道まで800m、250軒のアーケード商店街だ。今でも日本一の長さを誇るという。昔から活気があり、人通りが多かった。でもシャッターを閉めている店はないものの、古くからの店が結構姿を消している。空き店舗は1週間単位でおつまみや漬物、地方物産を売る業者に貸し出されている。ファーストフードばかりでなく、蕎麦、ラーメン、てんぷらなどのレストランも多くなった、
最近はマッサージ店、ペットショップ、薬品の量販店が目立つ。チェンライでタイマッサージを受けるなら2時間で1000円程度であるが、日本では60分2980円(税別)といったところ。日本のマッサージは1分100円、つまり60分で6000円だったことを思うと相当安くなっている。足腰に疲れを感じる高齢者なら、まあ月に2,3回はマッサージ治療を受けられるのではないか。でもマッサージといい、ペットといい、漬物、地方物産、外食店などは、高齢者をターゲットとしているのではないかと思う。

■日本の高齢者は金持
ビジネスの基本は金を持っている人を相手にしろ、ということだ。少子高齢化の世の中、若い人はあまりお金を持っていない。その点、日本の高齢者は金持だ。2009年に総務省統計局が実施した「全国消費実態調査」の中に「家計資産に関する結果」という項目がある。家計資産とは、貯蓄から負債を差し引いた金融資産、自宅の土地や建物といった住宅・宅地資産、車や家財道具などの耐久消費財等資産の3つを合計したものになる。
これによると60代の1世帯あたりの家計資産の平均額は4925万円、同じく70代以上は5024万円。ちなみに70代以上の資産別金額の内訳を見ると、金融資産が1860万円、住宅・宅地資産が3069万円、耐久消費財等資産が95万円、締めて5024万円。同じく全国消費実態調査によると、「高齢無職世帯」の貯蓄現在高は2053万円という。昔、経営コンサルタント大前研一氏が日本のシニアは平均3000万円以上残して死ぬ、と言っていたが、あながち間違いではないだろう。

墓場にお金は持って行けない。健康なうちにお金を使いたい。こう考える高齢者は少なくない。子供が自立して出ていくと代わりにペットを飼う。犬と違って散歩に連れて行く必要のない猫がよく売れる。薬品量販店ではサプリがよく売れる。マツキヨでは高齢者のために開店時間を1時間繰り上げた。
海外旅行に行っても言葉ができないのでは、と英会話教本が売れているという。趣味と自己実現を兼ねて定年後、外国語を学び直す。子供の頃から向学心が薄かった自分としては、ご同輩の勤勉さには頭が下がる。えい、と高級国産車を購入した同級生もいる。裕福な高齢者は進んで日本のGDP押し上げに協力して貰いたい。

■お一人様市場
日本では外出が多く、家では殆ど料理しなかった。下町だからごみの分別は厳しく、うっかりすると生ごみを出す日は1週間後となる。人と会うため外食が多かったが、スーパーで出来合いのおかずを買って済ますこともあった。スーパーではお寿司にしても炊き込みご飯にしても弁当にしても種類が多く、どれを買っていいか迷ってしまう。皆、私は美味しいですよ、買って、買ってと呼びかけてくるようだ。ご飯ものだけだと栄養が偏るか、とポテトサラダや治部煮なども籠の中に入れるのだが、その量が自分のような高齢者一人用のサイズになっている。若い時の話だが、ハンバーグを作ったが、材料を入れるたびに量が増えて、膨大な数のハンバーグを食べつくすのに2週間かかったことがある。自分で作ると作りすぎてしまうし、一人分だけ作ってもおいしくない。惣菜コーナーも少量、多品種、高齢者をターゲットにしていることがわかる。

ラーメンが食べたくて日高屋に行った。首都圏で400店舗を越える中華食堂だ。昼であったが自分より年配と思える老婦人が入ってきた。タイの食堂では女性が一人で入店することは殆どない。NYでもロンドンでもそうだろう。彼女はピンと背筋を伸ばし、「野菜炒め定食と生一つ」と注文した。生ビールの中ジョッキが来た。姿勢を崩すことなく、ジョッキを傾ける彼女に人としての誇りと矜持を見た気がした。老人斯くあるべし。