チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

ランパーンの鍾乳洞

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ランパーンの鍾乳洞

■行けるうちが花
ミャンマーを旅してつくづく思ったことがある。それは「5年後は多分ムリ」ということだ。シュエサンドーパゴダやポッパ山からの絶景を眺めるためには目も眩むような、あるいは何百段の階段を登る必要がある。観光客は老いも若きも登っているが、年取っているといっても同年輩、あるいは自分より年下と思われる熟年が多い。明らかに80を越えた、ひとつ冥途の土産にポッパ山に登ろう、といった超後期高齢者は見なかった。自分も一般観光客に交じって、パゴダに登り、ポッパ山からの絶景を眺めた。でも日本人男性の健康年齢は72歳である。足はガクガク、腰はイテえし、もう登れネーヨー、自分にもこんな泣き言を言う時期がすぐに来る。

旅は若いうちにしておけ、とはよく言ったものだ。自分から見たら今の定年世代はまだ若い。時間と多少のお金があるならば体が動くうちに奥様と一緒に旅に出て頂きたいと思う。行きたくても行けなくなる時は必ず来るし、行けたとしても体力不足のため、絶景を目にすることを断念せざるを得なくなるかもしれない。独り旅ではなく伴侶と一緒なら楽しさは倍増。
人様にお勧めするというより、連れ合いのいない自分に言い聞かせているという気もする。

■タム・パータイ国立公園
ランパーンはチェンライから260キロ離れた北タイの県である。東京の人が静岡県や長野県にドライブに行く感覚でしばしば訪れるようになった。1月ほど前、ランパーン県、必見の場所として、マエモ火力発電所の露天掘りの炭鉱、それに先史時代に描かれたプラトゥーパの岩絵をご紹介した。この2つは坂や階段が少ないので80歳を越えても再訪可能だろう。今回は足腰が丈夫なうちしか行けないであろうランパーンの名所、タム・パータイ国立公園をご紹介したい。

さて、タイには200ほどの国立公園がある。国立とする目的は登録された地域の環境を保護する事である。公園は大まかに、陸地の保護を目的とした国立公園と、海とその環境に関わりのある陸地の保護を目的にした海洋国立公園、また海鳥公園などがある。北タイには53の国立公園が登録されており、他地区に比べてその数が多い。主要道路を走れば1つや2つの国立公園を見つけることができる。チェンライから国道1号線を南下して200キロほど行くと右手にタム・パータイ国立公園がある。

1号線を200mほど山側に入ると駐車場、レストラン、それに公園事務所がある。国立公園にはキャンプ場が付設されているところが多い。ここもキャンプ場があったが、学校の林間学校を除いてキャンプ場を使用しているケースを見たことはない。
タイは昔、海の底だったせいで石灰岩からなる山が多い。石灰岩は雨水に含まれる酸で溶かされるから、タイ各地、至るところに洞窟がある。タム・パータイ国立公園の洞窟はただの洞窟ではなく鍾乳洞である。この鍾乳洞をもって国立公園となっている。

事務所から20代の女性職員が出てきて、ご案内しますという。事務所左手にある階段を彼女と一緒に登る。階段は400段はあったと思う。ラテライトの自然石でできているが、1段の高さがまちまちで登るのが容易でない。レンジャー隊員のようなカーキ色のシャツを着たお嬢さん職員の足元を見たらなんとサンダル、彼女も、アー、疲れたと言って階段の途中で休むこと暫し。こっちも息が上がる。5年後はもう無理だ。階段を登り切った山の中腹に洞窟があった。

■壮大な鍾乳石
洞窟は数キロメートルほどの奥行があるが、入り口から400mまでが見学路として整備されている。お嬢さん職員は強力なサーチライトで鍾乳石を照らしながら、これは2頭の象と言われる鍾乳石です、などとガイドしてくれる。ライトにきらきらと光る鍾乳石が瀑布となってこちらに流れてくるような錯覚を覚える。壮大かつ幻想的である。見学路脇にいくつか黒い穴がある。そっちに行くと酸素が無くなりますとお嬢さんが脅かす。ガイドを兼ねて、見学者が脇道に迷い込まないよう、監視役を務めているのだろう。
水が滴り落ちている場所があり、地面から1僂曚匹領患ができていた。鍾乳石は100年で1竸びるそうだ。この鍾乳洞は数百万年かかってできたという。静寂が支配する洞窟内は我々だけ。貸し切り状態だ。

こんな貴重な体験をさせてもらって代金は無料。お嬢さんによると、そのうち入場料を頂くことになるかもしれませんという。山口県秋芳洞の入場料は1200円、タム・パータイ国立公園に行くのはガイド付き、無料開放の今のうちか。



写真は公園の看板、レンジャーのお嬢さん、足元に注目、後ろは階段、鍾乳洞入口と内部。