チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

失われる古来の美風

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失われる古来の美風

■謝罪は潤滑油
コートでやたらと謝る日本人に違和感を覚えたが、どうして邦人は謝るのだろう。そして謝ることはいけないことなのだろうか。斯く言う自分もスマッシュがネットにひっかかる、ロブがラインを越える、そんなミスをする度にパートナーに謝っていた。逆に凡ミスを何回やっても御免の一言もない人とプレーしたら、なんだ、こいつは礼儀を知らん、と不快に思うだろう。とりあえず謝って、人間関係を良好に保つ、これは日本の文化かもしれない。

東京理科大学の奥村哲史教授らが、日米の学生を対象に「1週間に何回謝ったか」について調査をしたところ、日本人の謝罪回数はアメリカ人の2倍以上、との結果が出たという。
欧米では、謝罪会見の慣習はほとんどない。自分に責任のない、部下や親族の過失で謝ることもない。
「謝罪は、アメリカでは責任の所在を明らかにするためのものであるのに対し、日本では、反省を表すためのもので、自らが関わっていない行為に対しても謝るのが特徴的」と奥村教授は分析し、「謝罪は(日本と言う閉鎖的社会の中の)一種の社会的潤滑油」と結論づけている。

また、英語には日本語に比べ、謝罪を表す言葉が少なくソーリーかアポロジャイズくらいだが、日本語なら申し訳ない、ごめんなさい、深く反省しております、お詫びの言葉もありません、と20以上の言い方があるという。

■タイも謝らない
海外でよく聞く「エクスキューズ・ミー」には謝罪の意味はないそうだ。ソーリーには賠償責任が伴うが、エクスキューズ・ミーは乱発しても金を払う必要がない。だからぶつかりそうになった、勘違い、咳が出たときなどやたらと使う。

タイ人もあまり謝らない。一応、コートート(私を罰して下さい)という言い方があるが、あまり聞いたことがない。貴方がウェイトレスに水をかけられても、多分、彼女はマイペンライ(気にしないでね)と微笑みとともに言って済ませるだろう。うちのメバーンも茶碗や急須を割っても謝ったことはない。もう1年以上使っていたし、そろそろ壊れる時期だった、などと言う。なんだとー、お前が割ったんじゃねーか、給料から差っ引いてやる、と言いたいところだが、ぐっとこらえて「マイペンライ、ケガがなくてよかった」などと言ってしまうのは自分もタイに同化してきたせいか。

■縄文以来の謝罪文化
山本夏彦さんの随筆にあったと思うが、明治時代、子供が馬車に轢かれて死んだ、馬車の御者は子供の親の前で土下座し、号泣しながら非を詫びた。すると、父親はもう手を上げなさい、あの子もこういう運命だったのだろう、と共に泣いた。夏彦翁は明治時代は土下座をして心から詫びればそれ以上の責任を問われることはなかった、と書いている。
どうしてこのような考え方があったのか。以下は「ねずさんのひとりごと」の小名木善行氏の解説。

日本において、およそ1万7千年前から約3千年前までが、縄文時代だが、縄文時代の遺跡からは、対人用の武器が見つかっていない。
もちろん、矢じりや石斧は出土しているが、いずれも小さく、対人用の武器としては使えない小型のものばかり。つまり、縄文時代、日本には、人が人を殺すという文化がなかったということだ。
日本人は、はるか1万7千年の昔から、人が人を殺して奪うのではなく、人が人と協力しあって、食料や生きるために必要なものをつくるという文化を熟成させてきた、ということになる。権力者による収奪のない日本では、古くから「モノ作り」がとても大切にされてきた。
そのための技術も進歩した。

勾玉の多くは、翡翠でできているが、翡翠は鉄よりもはるかに硬い。その硬い翡翠を、まだ鉄もなかった時代に、美しく研磨し、穴まで通してできたのが勾玉だ。
そして、そうしたモノづくりの技術を、ただ作ることだけに注ぐのではなく、それを修理しながら大切に使うという文化を熟成させてきた。その「修理しながら」という概念は、人間関係の共同体でも同じスタイルが講じられた。

人間関係が壊れたときは、どちらか一方が殺された諸外国と異なり、わたしたちの祖先は、一度こわれた関係でもそれをなんとか修理して復す努力を続けてきた。日本人が、先に謝るという文化をもっているのも、このことによる。

諸外国は「皆殺しですべてを奪う」の歴史をもつ。弱みを見せたらすべてを失う。今の日本でも在日ヤクザの車と衝突した時、先に謝ったら大変なことになる。森友学園の理事長が安倍さんにご迷惑をかけましたと謝罪できないのも、ヤクザみたいな野党や新聞が怖いからではないか。