■チェンマイ一泊、メーソットへ。
チェンライからバンコク経由でヤンゴンに飛べば数時間以内で到着する。しかし今回の旅の目的の一つは陸路ミャンマーに入国し、バスでヤンゴンまで行く、というものである。バスであってもゆとりを持って行動する。時間と多少のお金を持つ我々に相応しい。空路ヤンゴンに入り、そこで合流する同行者から、陸路なんてお金がないの、と同情されたが、実は航空チケットのほうが割安である。何事も損得で考えては人生面白みが薄れるというものだ。
初日、チェンライからチェンマイへバス移動。チェンライから直接、国境のメーソットに行くバスがないのでチェンマイでまず一泊、夜は和食店で、寿司と刺身の夜食。チェンマイも和食の店が増え、味もよくなってきたように思う。タイ暮らしも長くなり、和食に対する期待値が下がっているのかもしれない。
二日目、朝8時半のバスに乗るために7時半にホテルを出てチェンマイアーケードバスターミナルへ。ここは4名の集団行動。バスターミナルへ早く着いたので、各自朝食をとる。定刻になると大きなリュックを背負った外人が多数バスに乗り込んできた。単独旅行と思しき邦人女性もいる。見ていたら顔をそむけたので話しかけなかった。
バスは走り始めるとすぐガソリンスタンドにはいって給油。チェンライからチェンコンに行ったとき、車掌が乗客から集金をし、そのお金でガソリンスタンドでの支払いをしていたことがある。ラオスでもメコンの川中島、コーン島に渡った時、渡し船の船頭が渡し賃を受け取るとすぐ、近くの島で燃料を入れていた。こちらでは運賃をそのまま油代に流用するようだ。
チェンマイからメーソットまで400キロ、約6時間、途中、昼食休憩がある。経路としてはチェンマイを南下してタークから12号線を経てメーソットへ。数年前、タークからメーソットまで行ったことがある。片側一車線の山道、という印象だったが、現在、片側二車線に拡張工事中、ゆくゆくはタイ、ミャンマーへの幹線、アジアハイウェイの主要道路となる意気込みが感じられた。
■メーソットからミヤワディへ
メーソットのバス停から国境までは4キロほど離れている。ソンテウやトゥクトゥクが待機しているので心配はない。メーソットの先はミャンマーのミヤワディであるが、実はその名もうろ覚えだった。今回は旅慣れた人たちとの団体旅行だから、言うがままについていくだけ、何も心配はない。この先どこをどう回るのかわからないが、ヤンゴンで6人が揃い、ヤンゴンからパガンへ行く人、インレー湖に行く人、あるいはマンダレー、アンダマン海やベンガル湾沿いのビーチリゾートに行く人などに分かれるらしい。ヤンゴンで安寿と厨子王になるのか。心細いがいざとなれば誰かに付いて行けばいい。ともあれヤンゴンまではお任せの旅だ。
タイ側の出国手続きは簡単、友好橋というムーイ川に架かる橋を渡ってミャンマー、ミヤワディの入管に向かう。橋の上には物乞いの親子や子供で一杯。タイは軍政になってから物乞い禁止令が出され、市場などにたむろしていた物乞いが一掃された。物乞いを見て異国へ来たことを実感する。友好橋から川面を見ると渡し舟が見えた。当然、密入国、密出国であるが、パスポートなど持たない一般庶民にとっては手続きのいらない渡し舟のほうがずっと便利だ。
数年前、ムーイ川の川べりに来た時は、トラック用ゴムチューブの上にお客を乗せて、対岸まで渡す人がいた。女性をチューブに腰かけさせて、自分は水に入り、バタ足でチューブを押す。結構川の流れは早く、出発地点からかなり下流で対岸へ着く。男はチューブを引きながら川べりを上流へ歩き、また客を乗せてバタ足で川を渉る。飽きもせず、そんな風景を眺めていた。あの時はミヤワディへのビザなし入国は認められていたのだろうか。今はメーサイと同じく500B払えば日帰り入国ができる。
■ミヤワディ一
ミャンマーの入管には外人用窓口があり、それほど時間がかからなかった。友好橋を下りると、タイとは風景が一変する。先ず道がゴミだらけ、汚くて歩きにくい。歩行者がやたらと多く、その顔の色黒率が高い。その黒い顔に、タナカという木片から作られたおしろいを塗っている。女性、子供、男性も塗っている。日焼け止めになり、涼しく感じるそうだ。踝まであるスカートを穿いた男性を多く見かけるが、これはロンジーというミャンマーの民族衣装。
風景はともかく、先ずは換金しなければ。(続く)
写真は順にチェンマイバス停、メーソット行バス、メーソットイミグレーション、友好橋から見たムーイ川、渡し舟が見える、あとはミヤワディ市内