ミャンマーの旅(7)
■ヤンゴンへ
ミャンマーの旅4日目はチャイティヨーを出発し、ヤンゴンへ向かう。途中バゴーに寄って、シュエモードー・パゴダ、シュエターリャウン寝釈迦仏を見物した。バゴーからヤンゴンまで70キロ、東京から鎌倉、小田原くらいの距離だ。運転手、その奥さん、それに乗客の我々6名。車は途中でガソリンを入れたが、値段がおかしい。よく見ると1ガロン当たりの価格だった。知人の話によると40年ほど前のミャンマーには、ガソリンスタンドがなく、地方に行く時は予備ガソリン、水を車に積み、宿泊は政府関係の施設のみ、だったそうだ。ガソリンスタンドも近年普及してきたもので、リッター単位、ガロン単位のスタンドが混在する理由は各種の中古設備を輸入したからだろう。
金曜日であったせいかヤンゴン市内に近づくにつれて渋滞が激しくなってきた。昼食時間はとっくに過ぎている。目的地はヤンゴン中央駅近くのホテルだが、大きなバスターミナル(あとで知ったがアウミンガラー・ハイウエイバス・ステーション)を過ぎたあたりで車がほとんど動かなくなった。
ミヤワディから来ている運転手が言い出した。私はヤンゴン市内の土地勘がない、渋滞しているし、いつ目的地に着くかわからない、ついては皆さん、ここで降りて下さい、ここから中央駅までのタクシー代は私が払います。
バンタイプのタクシーが見つかり、6人は乗り移った。運転手は我々から受け取った代金の中から1万チャットをタクシーの運転助手に渡していた。渋滞の中をバンは市内へと向かう。このあたりに来ると、東南アジアの都市ではお馴染みのバイクが1台も走っていないことに気づく。ヤンゴン市内では渋滞と事故を避けるためにバイクと自転車は乗り入れ禁止となっているのだ。
■旅程が決定
2時過ぎにやっと目的地、ビューティランドホテルへ到着した。まずは同行者行きつけの屋台でクイッティオに似たそばを食べる。値段は50円くらい。ホテルにチェックインする時に一悶着、33ドルの2人部屋3室を予約していたのだが、先方ミスにより1室しかない、残りの4人は4人部屋で何とか、という話。旅慣れたIさんの強力ネゴで、4人部屋宿泊者は1泊10ドルということになった。ドルを失くし手許不如意の自分としてはありがたかった。
ここで5日目からの旅程を決める。6名のうちミャンマー経験者3名は空路インレー湖に向かう。チェンライから参加した初心者のうち1名はバスでインレーへ、1名はバスでマンダレーへ、旅程に余裕のない自分はバガンを目指すことにした。バガン遺跡はカンボジアのアンコールワット、インドネシアのボロブドゥールと並び世界三大仏教遺跡と呼ばれ、ミャンマーで最も有名な仏教聖地と言う。実はそれまでバガンがどんなところか知らなかった。先達の勧めに従ったわけだが、同行者にもうご迷惑はかけられない、旅の後半は自力更生でという気持ちもあった。
ホテル隣にある旅行代理店でバガンまでの夜行バス、現地ホテル、並びにバガンからヤンゴンまでのエアチケットを手配した。エアチケットは直行便なら180ドル、途中ローカル空港に寄りながら飛ぶ便なら110ドルと言う。当然安いほうを選ぶ。代金をカードで支払おうとしたが、どうしてもカードが認識されない。同行していたNさんが立て替えてくれたので助かった。
この旅行代理店、ミャンマーデルタトラベルのお姉さんは親切な人で、自分が失くしたヤンゴン-バンコク-チェンマイの航空予定表をエアアジアに問い合わせて再発行してくれた。手間賃を払おうとしたが、手を振ってニッコリ。ミャンマーへの好感度が急上昇した。
■シュエダゴン・パゴダ参拝
「ミャンマーといえばここ!」と言っても過言ではないほど有名なスポットがヤンゴンのシュエダゴン・パゴダ。入場料8千チャット。「聖なる黄金の塔」は高さ100メートルを誇り、この塔を取り巻くように、さまざまな大きさのパゴダ60基が並んでいる。ライトアップで金色が一段と映える。参拝客、坊さん集団、それに観光客で境内は一杯であるが、石畳に正座して静かにお祈りする家族連れも多く、ミャンマー人の信仰心の厚さを感じる。
寺院参拝のあとは精進落とし。経験者3名が先乗りしている19番街へタクシーを走らす。ヤンゴン19番街といえばニューオルリンズのバーボンストリート、あるいは新宿の思い出横丁のように飲み屋の密集地域として知られている。道端にテーブルを張り出して、串焼きを頬張りながら生ビールを飲む人で大賑わい。混雑の中で6人全員邂逅を果たし、焼き鳥とビールでヤンゴンの夜は更けていく。(続く)
写真はシュエダゴン・パゴダと拝む人、最後の2枚は19番街