■気力の元
大手企業の社長の話。彼は大きな経営判断を迫られた時、必ず問いかける。今、自分の健康状態はどうか、疲れていないか。人間、虫歯一本でも痛みがあれば、それが気になってろくな判断ができない。健康でなければバランスの取れた精神状態は保てない。体に不安があれば考え方も臆病になる。後悔しない決定を下すために、身心の健全さを確認する、社長でなくても参考にすべき心構えと言える。
自分も、今日は天気がいいからスクータでツーリングに出かけようと思う時がある。こういう時は自分としては気力が充実している、と感じる。テニスのやりすぎで疲れがたまっている、昨日は飲みすぎであまり寝ていない、体調が悪い時は、スクータに乗ろうという気にならない。体の調子がよくないのに、スクータで遠出したら、カーブを曲がり切れず、谷に転げ落ちるかも、飛び出した犬を避けようとスリップしてコケるかも・・・・、よくないことばかり考える。
男女とも日本人の平均寿命は80歳を越えているが、それとは別に健康寿命というものがある。これは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」で、男性の場合、71.19歳、その後の10年は程度の差はあれ、人さまに迷惑をかけて暮らすことになるらしい。
自分もあと何年かすれば、体力も気力も衰え、スクータに乗ることはなくなるだろう。年寄りは世間の片隅でひっそりと消えていく、これでいいのだ。
■4野党推薦
都知事選に鳥越俊太郎氏が出馬した。76歳、大腸、肝臓、肺のガンで4回の手術を受けている。素晴らしい気力、体力だ。出馬理由は改憲勢力が3分の2を超えたから、とのことだが、憲法改正は国会でしか発議できない。どうして国政に参加しないのか。
昭和15年生まれ、終戦の時は20歳でした、の会見は自分も見た。人から若いといわれるとか、自分が罹ったがんの話、出馬会見とは老人の自慢話か。東京都をこう変えたいという話は無く、公約はこれから考えます、とのこと。元スピードの今井絵理子氏が参院選に当選し、沖縄問題にはこれから取り組む、と発言したところ、何も政策がないのか、とマスコミのバッシングを受けた。鳥越氏の「公約はこれから」発言に対してマスコミは沈黙する。
知名度に頼る選挙はよくない、人となり、公約を見極めて投票しよう、と言っていたのはマスコミではないか。与党の有名人はダメで野党の推す有名人なら構わない、というなら理由を教えてほしい。
告示直前に共産党の宇都宮健児氏が立候補を取りやめた。前2回の都知事選に出て、前回は100万票の次点で、告示前はやる気十分だった。都政への識見もしっかりしており、自分も宇都宮氏の気概を評価する一人だった。しかし、彼も組織の一員、上部の指令で自分の信念をあっさり捨てる。宇都宮氏がもし都知事になったとしても、共産党の指示でいくらでも政策を変えたに違いない。
共産党とはどういうものか、を知るうえで彼の立候補辞退はいいヒントとなる。やはり共産党は信用できない。
■哀れな左翼老人
鳥越氏は当時の安倍官房長官が、北朝鮮から拉致被害者を帰国させたとき、「一時帰国と言う約束なんですよ、拉致被害者を北朝鮮から拉致するのか」と大声を上げてスタジオを黙らせた。これだけは許せないと、作家の百田尚樹さんは言っている。TBSのキャスタ－として吉田清治を呼んで慰安婦問題を報じ続けた。
ちょっとググれば、「どこの国が日本を攻めるんですか、そんなの虚構です」、「北朝鮮籍の人にも無条件で選挙権を与えるべき」、「人の住んでいない尖閣など中国にくれてやればいい」、習近平氏の強引な来日謁見時の「天皇は我々の税金で食ってるんだから働いて当たり前だ！習近平さんも小沢さんも何も悪くない！」と言った発言が次々に出てくる。都知事になれば韓国人学校への都有地提供、朝鮮人学校への補助等が即座に実行されるだろう。
知らないことは知らないと言えるところに鳥越さんのすごさを感じる、とヨイショする人もいるが、出馬会見の時から言うことが支離滅裂。この人で本当に大丈夫か。人前に出る度に票が減るので、街頭演説は1日1回、有力候補とのテレビ討論もキャンセル。「出たい人より出したい人」ではなく、これでは人前に「出せない人」ではないか。
4度のがん手術を支え、生き方、身の処し方に影響を受けた本は鴨長明の方丈記とのこと。
「朝に死に、夕に生るるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける」、方丈の庵に籠り、世の無常を斜めに見る余生を送っていれば、生き恥をかかずに済んだものを、と鳥越氏のために残念に思う。
写真は、「冷やでよし、燗でよし、酔い心地よし」、鳥越公約のような大吟醸酒。あとは最近撮った花。
