チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

日本での1日

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日本での1日

■この日は池袋
日本では連日友人、知人とアポがあり、文字通り休みのない日々。会食のみならず、そのまま友人宅へ泊まり込んで少なからずご迷惑をおかけしたことも再々。

忙しかったものの緊張していたせいか1,2度の二日酔いを除けば、ほぼ体調には問題なく過ごせた。日頃、テニスをしているから、多少の筋力は付いているのでは、と思っていたが、帰国2目にしてふくらはぎの筋肉が痛くなった。心当たりといえば、チェンライに比べて、日本は歩いたり、階段を上る機会が多かったことくらい。テニスと歩くのでは使う筋肉が違うらしい。年からいえば腰をかがめ、すり足でヨタヨタ歩いてもいいのだが、美しい日本の街を歩くには相応しくない。イヤフォーンから流れるオフコースの曲に合わせ、心の中で「歩調取れ-」と言いながら、前を行く若者を追い越したりした。

今回お目にかかった先輩の中には杖をついての散歩中、通学の生徒に追い抜かれて、悔しい思いをしているという方もおられる。だからそのカタキを取る、というほどでもないが、自分なりに頑張っているつもりである。こういった態度が可愛くない年寄りと言われるゆえんかもしれない。

池袋のメトロポリタンホテルで、友人に昼食をごちそうになった。友人と勝手に書いて申し訳ないが、自分よりかなり年上の方である。話を楽しそうに聞いていながら、時折、鋭い皮肉で自分をたしなめる。この年になると、あんたのそういうところがなあ、と自分の痛いところをついてくれる人は少なくなる。別に精神的マゾではないのだが、怒られるために会っていると言っていいくらい。暖かく非難するというこの方の卓越した話法をいつか自分も身につけたいものだ、といつも思っている。

■久しぶりの邦画
ホテルで書店に寄るという友人と別れた。次の予定は4時過ぎに西国分寺駅前での待ち合わせ。国立に住む友人宅での会食だ。時間が空くので、池袋で映画を見ることにした。なにせ、タイの田舎者だから池袋東口を出て、映画街を探しまわるのだが、家電量販店やら怪しげな飲み屋ばかりで映画館に中々行きつけない。

これじゃ時間が無くなっちゃうよ、と少し焦り始めた頃、飲食街の一角に新文芸坐という映画館を発見。昔、飯田橋に佳作座という古い映画ばかり上映する映画館があったが、それに類する映画館のようだ。先ごろ亡くなった加藤武の追悼公演というか彼が出演した映画を集中して上映中。10分後に始まる映画は「銭ゲバ」。ジョージ秋山の原作漫画は読んだことがある。「銭のためなら何でもするズラ」、極度の貧困から、殺人を繰り返し、富と名誉を掴む蒲郡風太郎の波乱万丈のストーリー。風太郎を唐十郎、そのろくでもない父親役が加藤武風太郎に殺される社長令嬢を緑魔子が演じている。

終了時間が丁度良かったし、これ以上映画館を探すと次の約束にも差し支えるので、この映画に決めた。1970年公開の東宝映画。一切ビデオ化されていないとあとで知ったが、それもそのはず、全然面白くない。見ていると心が暗くなって生きているのが嫌になるほど重苦しい映画だった。わずかに、風太郎の秘密を知って、金を強請りに来る父親、加藤武のあっけらかんとした悪党ぶりが救いか。

銭ゲバのゲバはゲバルトから来ているそうだ。ゲバルトと言っても若い人には通じないだろう。ドイツ語で暴力行為、左派過激派は対国家権力のみならず、内部でもゲバ棒を振って抗争を繰り返していた。左派の暗さは銭ゲバこと蒲郡風太郎の底知れぬ心の闇とおぞましさに通じるところがある。平日の午後ということもあって、観客は熟年世代が8割、三派全学連世代だ。あまりの内容に、途中で席を立つ人もいた。時間の都合とはいえ、もう少しましな映画を見ればよかった。

■池袋から国立へ
国立の友人とは学校も会社も違うが、もう40年来の付き合いである。ドラゴンボートに誘ってくれたのも彼だ。香港、ベルギーのブラッセルに出張した折、丁度そこの駐在員をしていた彼と会ったことがある。逆に自分がウズベキスタンにいた時に、わざわざタシケントへ訪ねてきてくれた。銀行勤めの経験があるものだから、代わりにバンクカレッジで授業をやって貰った。能力なき教師としても本当にお世話になった。2年前には退職記念としてチェンライにもご夫婦で来てくれた。

熱燗とサンマの刺身(自分の希望)を御馳走してくれたこともさることながら、彼が中学時代の仲間3人を一緒に招いてくれたことも有難かった。彼の友人たちは自分のブログを読んでいないから、それ、ブログに書いてありましたよね、などと言わない。同じ話題、ギャグが使える。嬉しい。

でもこの日はウズやチェンライの話よりも彼らが前週に行った山梨、長野の一泊旅行の話が中心だった。今でも中学の同級生が当時の先生と一緒に遠足に行くとのこと。写真を見せてもらったが、どれが生徒か先生かわからない。みんな爺さんと婆さんばかりだ。でも往年の中学生が元青年教師と旅行に行く、羨ましい話ではある。お前は山を下りると必ずソフトクリームを食べる、おかしいんじゃないか、おかしくないよ、それが普通じゃないのかい・・・。和気藹藹とした10代からの友人同士の話は、横で聞いていてもほのぼのとした気分になる。

その日、強烈な印象があったから銭ゲバの話などしてしまった。良い雰囲気を壊したかもしれない。深く反省している。