チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ5年5カ月

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介護ロングステイ5年5カ月

■朝の挨拶
朝7時半に通いの女中、ニイさんが自転車に乗ってやってくる。庭に面したガラス戸を開けて、入ってくるのであるが、食事をしている我々に挨拶をすることは殆どない。こっちが片手をあげればうなずく程度。

タイに来た邦人ビジネスマンが戸惑うのは、タイ人の部下、同僚が挨拶をしないことである。オフィスにのそっとはいってきて、黙っていなくなる。別に悪意があるわけではなく、おはようございます、お疲れさまでしたといった挨拶の習慣が無いだけのこと。もちろん、不機嫌であるとか、相手を無視したいという気があるわけではない。

タイに来た当初は、朝、女中さんに顔を合わせると、つい「サワディーカップ」とワイの合掌をしたものだ。ワイはまず、目下の者が目上に人に対して行うものである。
目上の人からのワイだから、包丁や鍋を置いて慌ててワイをする。日本でいえば主人が畏まって両手をつき頭を下げてきた、という印象をもつらしい。ブアさんからやめてほしいと言われ、その後はワイはせず、サバイ(元気)?と声をかける程度。

■ママさん、ケンレーン(健康)
今朝は女中さん2人掛りで母の体を拭き、天花粉をふりかけ、衣服の交換をしていた。もう歩けなくなって3年になる。自力で立つこともできない。いわゆる寝たきりである。でもベッドの端に座らせると、支えを必要とせず、しっかり腰かけている。週に6回、1時間の整体を続けているので筋力が維持できているのだろう。

身づくろいの後は食事、卵入りお粥、バナナ、それに兄が日本から買ってきたパウチ入り食材など。あまり食べると女中さんが肥った、肥った、と言って量を控えるようだ。

裏の家に80歳の女性がいる。具合が悪く、バナナを茶碗3分の1も食べられない。やせ細っており、女中さんの話では「時間の問題」らしい。それに引き換え、ママさんはご飯を一杯食べてケンレーン、多分100歳まで生きる、などという。そんなに生きてもらったら自分のほうが先に逝ってしまう。

朝食の後は一人で長椅子に腰かけている。30分もするとうたた寝を始めるのであるが、その前が一日の中でも言葉がしっかりしているように思える。お母さん、薬をやめてから元気になったみたいだね、「そうなの」、あとはワヤワヤ何か訴えているようであるが理解できない。まあ楽じゃないけど頑張ってね。不満そうな顔ではあるが頷いている。
昨日と同じく、今日も平穏に過ぎればいうことはない。

■ニイさん、蛇に噛まれる
隣家は我が家と同じ大家の所有であるが空き家となっている。女中さんが管理をする代わりに、隣家の洗濯機を使い、隣の敷地に物干しをすることで話が付いているようだ。もちろん電気代はこちら持ち。母の食事が終わると、ブアは休憩、ニイさんが掃除、洗濯を開始する。隣の家からニイさんがブアさんのところに駆け上がってきた。二人で大騒ぎしている。初め、「ヌー(ネズミ」」が出たと聞いたのでネズミくらいでどうしたのか、と思ったがヌーではなく、ングー(蛇)だった。隣の庭で噛まれたらしい。

日本から友人が来なくなるかもしれないので、あまり書かなかったが、チェンライに蛇は一杯いる。毒蛇もいる。怖いのはアマガサヘビ、白黒、または黄黒の縞模様、噛まれたら全身が麻痺して死ぬことがある。次にラッセルクサリヘビ、これは蝮の仲間で噛まれるとその部分から壊死してくる。よくて指、悪くすれば脚一本切断する羽目になる。
田の蛇と言われるキングコブラはよく見かける。友人宅にも出現して、鎌首を持ち上げて威嚇したという。コブラは一応、シャーと威嚇してくれるからいい。その間に逃げればいいから。

右足薬指をきつく縛って、女中さん2人と病院に行く。本来は血清の関係で噛んだ蛇を叩き殺して持参する必要があるのだが、動転して蛇に逃げられてしまったらしい。
10時に国立病院に着いたが患者が多数いて、診察が受けられたのは昼過ぎだった。毒蛇だったらとっくに死んでいるよ、と医師に笑われたらしい。大したことが無くてよかった。

迎えに行った自分にブアさんが診察代、薬代、昼食代、締めて600Bかかった、とお釣り400Bを返してくれた。これは業務上の事故、労働災害の一種だから雇用主の責任だろうなあ。

でもあとで聞くと洗濯物を干している時、足元に小さな蛇がいたので、足先でチョンチョンと突いたらしい。それで蛇が逆襲した。そうなると本人の過失も考慮されるべきで全額負担は行きすぎか。

でも遅くなった昼食をニイさんから食べさせてもらっている母を見るとそんなケチなことは言えない。



写真はキングコブラアマガサヘビ、ラッセルクサリヘビ