チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

介護ロングステイ4年9カ月

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■この道はいつか来た道、ああ、そうだよ・・・・
東京に戻っていた時、地元商店街や銀座、築地の魚市場などを歩き回った。チェンライでは週に3,4度テニスをやっているのだが、やはり使う筋肉が違うとみえて歩いた後、足の筋肉が痛くなった。
チェンライでは、自宅から目的地まで車かバイクになる。考えてみれば、チェンライではテクテク歩くという経験はほとんどない。人間歩くのが一番健康にいいそうだ。でも現代人は歩く時間が取れないから次善の策としてジョギングをしている。
チェンライでも早朝や夕方に旧飛行場を散歩している人は多い。激しい運動ができなくなったら散歩をするような生活になるのだろうか。それともボンヤリとベッドで寝ているような生活になるのだろうか

武蔵小山商店街や戸越銀座商店街を歩くと、母の車いすを押してこのあたりを歩いたことを思い出す。商店街までの道は母が車いすに掴まって自分で歩いていた。商店街の鮮魚店では、毎回のことなのだが、店のお姉さんに「これ、息子」と紹介していた。お姉さんはいつも「いい息子さんですね」と応える。お店の邪魔にならないよう、少し離れた花屋さんの前を車いすで行ったり来たりして、魚屋から出てくる兄を待ったものだ。

ここの道には段差があって、車輪を乗り上げて母が驚いて大声を出したな、気をつけろ、と兄に怒られたな、などと5年前のことをはっきりと思い出す。あの頃はまだ母も元気だった。

■薬の効果を信じない
認知症は進行性の病気で決して治癒することはない。効く薬はない。脳の状態はまだ科学的、医学的に解明されていない。普通、睡眠薬を飲むと健常な人は眠くなる。脳内物質の代謝異常が原因といわれる認知症の場合、睡眠薬が興奮剤として作用することもあるし、初めは効果がないように見えても突然、まとめて薬が効いて24時間寝っぱなしという状況もおこるらしい。

クリミナルマインド、CSIなどの米国の捜査ドラマをよく見る。事件がおこると捜査官は、この殺人によって誰が利益を受けるかを考えて犯人を絞り込む。
薬品でも同じだ。多国籍企業のノバルティスはこれを飲まないと高血圧で血管が破れると患者を脅して、データを改竄した降圧剤、ディオパンを販売していた。データ捏造に関わった大学や研究者も、製薬会社からの研究補助金が欲しかったのだろう。
知り合いの医者が、薬で効くのはアスピリンくらい、あとは気休め、体の回復力が第一といっていた。ディオパンの場合、患者、家族の不安を逆手にとって、金のためにみんなグルになって薬を処方、販売していたといっては言い過ぎか。

認知症薬レミニールを4mg、4週間後に8mg、そして更に4週間後、12mg処方された患者がいる。患者は町内会の踊りに出るほど元気な認知症初期の婦人だった。薬を飲み始めて、突然眠くなることがあるとこぼしていたそうだが、レミニールを12mg飲むようになって、自宅の風呂で溺死した。同じレミニール8mgを服用している母が、時折、ガクッと頭を垂れて寝入ってしまうことがある。だからこの婦人の娘さんがネットで告発しているように、薬の副作用による事故死という可能性は充分ある。保険点数を稼ぐためだったとはいわないが、薬量を増やしていった医師はどうかと思う。

レミニールの量をタヌー医師の指示通り、8mgから倍の16mgにした途端、母は気を失った。8mgに戻して飲み続けているが、薬が効いているという兆候はない。

■出安居
陰歴11月の満月の日は、お籠りしていた坊さんがお寺から出てくる出安居(オークパンサー)の日だ。今年は10月19日。女中のブアさんに連れられて近くのホエドイ寺に行った。朝早くから参道にはタンブンを渡そうと、1キロほどの善男善女の列ができていた。写真をとって帰ろうとすると、ブアさんが寺の本堂に連れていく。本堂には何百人もの人が座っている。出安居のお祝いで坊さんに黄色の袈裟を献納する「トートカティナ」という儀式が始まるらしい。

儀式の始めにマイクで自分が呼びだされ吃驚仰天。信者代表、袈裟献納役だ。傍らのブアに幾ら出した、と詰問すると3600バーツ、ここ3カ月、おかず代の残りを貯めたという。どうも最近、おかずがしょぼいと思ったがそういうことだったのか。団地の世話役夫妻など近所の知り合いが、おお、信心深い日本人だと微笑んで見ている。仕方ない、合掌を繰り返し、正座してお経を聞いた。

これでママさんは健康で長生きできます、とブアさんが断言する。確かに薬よりタンブンのほうが効き目があるのではないか、と自分でも思う。

写真はタンブンの行列。