チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

光と陰

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光と陰

■書けません
暑季に入って、日中の最高気温が35度、36度といった日が続いている。学校はもう夏休みに入っている。タイの子供でもこの暑さでは勉強する気になれない。自分も怠惰になってしまってなかなかブログの原稿を書く気になれない。以前はアップの2日前には書き上げ、翌日、誤字脱字を直し、多少の推敲を経て最終稿としていた。今ではアップ前日にPCの前に座って、さて何を書こうか、と思案する体たらくだ。
原稿を急いで書き上げてそのままアップすることもある。でも1日寝かしていない原稿は出来が良くない。

書きあぐねている時は、他の人のネットブログをのぞいてみる。自分の趣味として保守的な立場から書かれたブログをよく読む。ところが、これまで楽しみにしていた保守系ブログのいくつかが、休眠状態になっている。

民主党政権時代は舌鋒鋭く、政府を糾弾していたが、民主党壊滅と共に書くことがなくなった、力が抜けてしまった、あんなに怒っていたのは何だったのだ、といったことらしい。自分もマスコミや政権批判のブログを何本か書いたことがある。自分では冷静に書いたつもりでも感情が文章に出てしまう。怒りは免疫系に悪い影響を与えるそうで、決して気分のいいものではない。後で読み返すと自己嫌悪に陥る。保守系のブロガーも同じ気持ちになったに違いない。

確かに3年半の民主党時代はひどかった。マニフェストから始まって外交、経済、復興など政権の不手際を並べ立てればきりがないし、話が暗くなるから書きたくもない。
でも、民主党の拙劣な外交政策のお陰で、去年の夏はほとんど「泡沫候補」と言われた安倍元首相が、自民党総裁に返り咲くことができたし、12月の衆議院選挙では自民党が圧倒的な勝利を収めることができた。民主党が、日本が誇りの持てる普通の国家となるきっかけを与えてくれたと思えば、安くはなかったが代償を支払った意味があるというものだ。

■コインの裏表
先年亡くなったアップルの創業者、スティーブ・ジョブスの「スタンフォード大学での卒業式スピーチ」をご存じの方は多いだろう。 (http://www.youtube.com/watch?v=XQB3H6I8t_4)
ジョブスはまず、自分の生い立ちから話し始める。彼は私生児として生まれ、労働者階級の家庭に里子に出される。大学はドロップアウト。自分が創業したアップル社を、自分がスカウトしてきた社長に追い出される、更に膵臓がんで半年の余命と宣告される。しかし彼はその試練がすべて自分のためになった、最善のことだったのだと振り返る。
普通の人間なら、どれをとってもそこで挫折し、自暴自棄になっても仕方ないような過酷な経験だ。でもジョブスはそれらすべてを受け入れ、それを自分の成長の糧としたのだ。

日本にある程度成功したベンチャー企業があった、さらに成長していくと思われていた矢先、社長の高校時代からの友人で経理責任者だった人物が会社の金を持ち逃げしてしまった。会社は苦境に陥る。その時、社長は「ああ、これでまじめに経理を勉強しようという気になった、かえってよかったのだ」といったそうだ。愚痴をこぼさず、人の悪口を言わず、明るく前向きに頑張っていれば、救いの手を伸ばしてくれる人はいるものだ。その後、会社は持ち直し、順調な発展を遂げたという。

この冬は世界的に寒かった。カナダでは例年に比べ積雪量が多く、自動車事故が増えたそうだ。事故件数が増えると保険会社は保険の掛け金を上げる。でも悪いことばかりではない。積雪量が多いと春野菜が順調に育ち、野菜が安く買える。積雪量が多い時、貴方は、ああ、保険の掛け金が上がると顔をしかめるだろうか、それともこの分だと春野菜の供給は問題ないな、とほほ笑むだろうか。もし友達を選ぶならば後者のほほ笑む人と友達になりたいと思う。

■「~のお陰」、「~の所為」
チェンライに来たお陰で、日本にいたら絶対出会わなかったような人と知り合うことができた。問わず語りに、人生の失敗談を話す人もいる。でも最後は「色々あったけれども、そのお陰で、今、こうして楽しく飲めるんだよね」という結論になる。~の所為でこんなところにまで流れてきて、と外に責任を転嫁して、身の不幸を愚痴る人に出会ったことがない。異国に暮らせば問題は起る。でもそれも生活のスパイスと明るく受け止める。
このほうが免疫系も活発になる。チェンライの熟年は実年齢より5歳若く見えると言われるのは、陰より光を見ようという心掛けのお陰かもしれない。


写真は近所で撮った今真っ盛りの花