チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

最近ハマっていること

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最近ハマっていること

■干物作り
チェンライは海から遠く離れているため、スーパーに海の魚が並ぶことは多くない。まあ例外としてよく見かけるのは、冷凍のサンマとサバである。いずれも輸入品で、日本のサンマ、サバに比べると一回り小さい。日本であったらハマチの餌くらいにしか使えない20-25センチの小サバも店頭に並ぶ。値段はサンマは一匹9B(約30円)、サバは一匹15B(約50円)だ。それほど高くない。

但し、どの商品もそうであるが、いつも売っているとは限らないし、同じサンマであっても値段がよく上下する。欲しいと思った時、かつ値段がそこそこの時、さらに解凍状況を確認し、素早く買い求めないと、あとであのとき買っておけば、と後悔することになる。

乾季で空気が乾いているから、というわけでもないが、最近、魚の干物作りに凝っている。近年は冷凍技術が進歩しているのか、意外と魚の鮮度が高い。解凍前、あるいは解凍後間もない魚であれば、煮物、焼き物ばかりでなく、干物にしても日本製とそん色ないものが作れることが分かった。

■サンマの開き製造手順
干物作りはそれほど難しくはない。まずサンマの首の根元に刃を入れ、背から尾に骨に沿って切っていく。背開きだ。はらわたを取り除き、塩水で洗う。普通はこの背開きのサンマを濃い塩水に1,2分漬けて引き上げ、陰干しにするのであるが、自分の場合、日本酒と水を半々、それに塩を適量加えた「立て水」を作り、それに1,2分浸したサンマを干すようにしている。塩水だけのものよりもうまみが出るような気がする。

サンマを干す場合、大ざるに乗せて日光にさらしていたが、濡れた魚肉や皮がざるにくっついて、身がはがれて見栄えが悪くなってしまった。
そこで、まず立て水に漬けたサンマを一匹ずつ、ひもで縛って干し、1時間ほど経って表面が乾いたところで、ざるに並べ替えるという方法をとった。
これで人様に差し上げても恥ずかしくないサンマの開きが出来上がった。

でもこの方法だと、結び目からサンマの尾が抜けて地面に落っこちてしまう、尾をきつく縛るため解くことができず、仕方なくハサミでひもを切るため、干物作りの度にひもが無駄になるなどの問題点があった。

そこで文房具店に行き、1ダース30Bのダブルクリップを買った。ひもにクリップを等間隔で12個結びつけた。シッポをクリップで挟めば地面に落ちる心配もなく、手早く12匹のサンマを処理できる。もちろんひもとクリップは再使用可能である。クリップ30Bの投資は干物製造にあたって資本装備率を高めた、と経済学では言う。不良品を削減し、製造手順が合理化された点では経済効率の高い投資であったと思う。

■サンマはご進物用
サンマを干す時間は日中の日が差している間、4,5時間である。それ以上干すと身の表面がいくらか固くなる。
サンマの開きを作るのはタイが初めてではない。タシケントにいた時、カチカチに凍ったサンマがアライスクバザールの魚屋に入荷することがあった。1キロのパック入り。ウズベクでサンマが買えることはめったにない。狭い日本人社会に貴重品入荷の口コミ情報が駆け巡り、2,3日で売り切れとなる。
ウズベクでもサンマの開きを作り、海外協力隊員や仲間に配って喜ばれたものだ。ただ、タシケントはスイカの皮まで乾いてしまう土地柄で、試しに2日干しの開きを作ってみたら、カラカラになってしまった。友人に「固すぎて煎餅を食っているようだったよ」と苦情を言われたことを懐かしく思い出す。

サンマの開きを食べたことはないという日本人はほとんどいないだろう。異国にあっては何か遠い郷愁を呼び覚ます食材だ。喜んで下さる人が多いので、主としてご進物用に作っている感じだ。わざわざ電話でおいしかったと報告してくれる人もいる。大体、諸物価高騰のチェンライで、この値段であれだけ喜ばれるものも少ないのではないだろうか。

差し上げる場合、開きのほうが見た目がいいのだが、頭を切り落とし、はらわたを抜いただけの丸干しも日持ちがして美味しい。サバも3枚におろして立て水にちょっと漬けて生干しを作る。「ノルウェー産の冷凍サバが、関サバに変身していました」という友人の講評は大げさとは思うが、生産者としてはそこまで言ってもらえると嬉しい。

最近のチェンライの空は野焼き、山焼きによる煙害でうすぼんやりと霞んでいる。空気がいがらっぽく、黒い燃えカスもちらちら落ちてくる。開きを作ろうと思ったら燻製ができてしまった、というほどではないが、乾燥時間には気を使ってしまう。


「ウズべキスタン当時、スイカ、メロンの皮は腐る前に乾燥」「クリップとひも」「サバ」「サンマの開き」