チェンライの市場から

「市場に並べられた商品からその国の生活がわかる」と言われます。当ブログを通じてチェンライに暮らす人々の生活を知って頂きたいと思います。 チェンライに来たのは2009年から、介護ロングステイは2018年8月母の死去で終わりとなり、一人で新しい生活を始めました。

塩の買い出し

塩の井戸、まだ現役

塩の製造設備

ストックは十分

品揃えが増えた

ゲストハウスのベランダから

同上

 

塩の買い出し

■古代塩

チェンライ土産として、熱狂的に受け入れられているものが2つある。一つは我々が愛飲している花園珈琲、もう一つはナーン県ボークルアの塩である。珈琲だって塩だってそんなに変わりがないんじゃないの、という向きもあるだろうし、自分もそう思う。でも日本の友人、知人の中には兄や自分が持ち帰る珈琲豆と塩に信仰に近い愛着を持つ人がいる。

次男が何年かぶりにチェンライに遊びに来ることになった。遅ればせの短い夏休みである。彼は土産として塩を持ち帰りたいという。でも塩を手に入れるためにボークルアまでの1泊旅行をする気は無いらしい。確かに貴重な休暇だ。「あー、いいよ、オレが車で買いに行ってくるよ」。いくつになっても子供に甘い親で困ったものである。

ボークルアの塩については何度か書いている。チェンライから山道を300キロ、ナーン県のラオス国境に近い谷あいにボークルアの村はある。ボークルアとはタイ語で「塩の井戸」の意味だ。ここには塩の井戸があり、古来より井戸から汲み上げた塩水を煮詰めて塩を生産している。その昔、塩は貴重品だったから、ボークルアの争奪戦が今のラオス、タイ、カンボジアで繰り広げられたらしい。

ボークルアの塩水は、60億年前の海水が閉じ込められたもの、とか90億年前にかつて海だった頃の海水が岩塩となりそれが地下水に沁み込んだ、といった説明がネットに上がっている。でも地球が誕生したのが46億年前と言われているからこれは間違いだ。3億年前、古生代の海水が閉じ込められたものと以前のブログに書いている。出処がわからないが3億年の古代塩と皆には喧伝している。

■土産店の進化

ナーン県はチェンライ県の隣にある。ナーンとチェンライには別の王国(土豪国)があった。それもそのはず、両県は険しい山で遮られていて、攻め込むのは簡単でない。

朝、家を出て昼過ぎにやっとボークルアに着いた。土産物屋や食堂が立ち並ぶ一角を過ぎると左手に井戸がある。掘っ立て小屋には塩水を煮詰めるための竈と大鍋があって見学できる。雨季で薪集めが大変なので製塩作業は休み。原料の塩水はタダ、薪も山から取ってくるからタダ、コストは塩を入れる袋代くらいか。塩の釜炊きを見たことがある。薪で24時間煮詰めると釜の底に塩が溜まってくる。この塩をザルに上げ、水気を切る。精製塩と違ってザルの塩にはマグネシウムカリウム、カルシウム、ヨードなど不純物が微量含まれるが、これらが古代塩の味をまろやかにしているそうだ。

10年前は2キロ入りの塩しか売っていなかったが、今回はきれいに小分けされ、説明ワッペンが張られた各種の袋、瓶があった。更にはフレーク状に結晶した古代塩もある。また古代塩を使用した漬物も販売されていた。それなりに営業努力を重ねているものと見える。週末だったせいか、バンコクやペッチャブリなど他県ナンバーの車も来ていた。観光名所として更に多くの人が訪れるようになるかもしれない。

■プアで一泊

塩は買ったしどうするか。ボークルア近辺には国立公園があり、リゾートホテルもあるが、この日はボークルアから数十キロ、チェンライ寄りにあるプアの街に泊まることにした。プアにもその昔、王国があり、街の入り口には城壁の一部が残っていた。

プアにはいくつかのホテル、GH がある。飛び込みで適当なGHにチェックイン。あとで知ったが口コミランキングで8.8の高評価を得ているだけあって清潔で気持ちのいいGHだった。3階のベランダからはラオスに続くアジアハイウェイ、広い青田、その向こうには雲がたなびく山が見えた。まるで東北の温泉郷にいるみたい。

GHお勧めの食堂方面に歩いていったら土曜市の真っ盛り、女子中学生や親子連れで結構な人出、露店はチェンマイやチェンライと比べて食べ物の店が多い。その上、値段はチェンマイの約半額の世界だ。露店の裏手は広場になっていてブルーシートの上に何十もの座卓が置かれている。みな、露店で買ってきた食物をここで食べる。蟹の空揚げ、北タイの発酵ソーセージ、ネーム、鶏の丸焼き等を並べて兄とビールで乾杯、隣の座卓では女子高生が4人楽しそうにパッタイを食べている。美人ではないがこの年頃の子の表情は非常に豊かだ。澄ましてるとと思えば眉間にしわを寄せ、その直後に目を見張って笑い転げる。その横の座卓では幼児を連れた家族連れ、子供はじっとしていない。とにかく、見ていて飽きないのだ。チェンマイに比べ素朴で心が安らぐ。

そういえばボークルア、プアではファランを一人も見かけなかった。外人がいない、はタイでは秘境と言っていい。行くなら今のうちです。